第20話:夜空に星はなぜ輝くか?〜オルバースのパラドックス〜
宇宙にまたたく幾千もの星。ほんと夜空って綺麗ですよね。私は天体観測が趣味なので、イライラした時はよく車で星を見に行いきます。最高の場所をしっているのでw
ということで、今日はそんな夜空を彩る星の話、オルバースのパラドックスについて話していきましょう! まず長さ20mmの正方形と半径10mmの円、つまり正方形の内接円があったとします。そこに、もし400個のビーズをランダムにばらまいたら円に何個のビーズが入ると思いますか?
そんなの簡単じゃん。面積比の数だけ円の中に入るにきまっていますよね。ちなみに面積は下記のようになるので、
正方形の面積:20×20=400mm^2
円の面積:3.14×10×10=314mm^2
ビーズは正方形には400個のビーズが一様に広がり、そのうちの314個は円の中に入るって寸法です。あ、ちなみに、これはモンテカルロ法という数値計算的なテクニックの一つです。ね、面白いでしょ?
で、これを星空に応用すると、無数の星は宇宙に一様に広がっているはずでなので、星座もできるはずもなく、夜空のように真っ暗な空間もできるわけもなく、空全体が明るく輝いていないとオカシイ。というのがオルバースのパラドックスになるわけです。
うーん、一見すると正しそうに見えるこの理論。でも、地球からみる夜空は、明るく輝くどころか真っ暗です。じゃあ、なんでこのような矛盾が生まれたのでしょうか?
これ、色々な説明の仕方ができるんですが、まずはこれから説明していきましょうか? まず、宇宙は3次元空間ですので、地球から観測する星々には距離のファクターがかかります。例えば、近くに見ている星の大きさを1とすると、2倍先にある星の大きさは2の2乗の1、つまり1/4になります。すると距離が遠い分だけ光が減衰し、弱くなるから遠い星の光は見えないんじゃないか? だから夜空は輝かない。これでオルバースのパラドックスは解決した! と考えるじゃないですか?
でも、宇宙ではそうはならないのです。宇宙は真空ですから、光を減衰させるものがないのです。だから、距離が遠くなろうが光が減衰することはなく光が届くのです。それが証拠に、ケンタウルス座のリギルは4.3光年にあるのに-0.01等星(数が少ないほど明るい)、オリオン座のリゲルは863光年先にあるにも関わらず、ほぼ同じの0.1等星です。つまり、星の明るさは距離には関係なく、星が放っている光に依存するのです。
であるのなら、尚のこと、夜空は輝いていないといけないですよね? でも輝いてはいない。では、なんでこんなことが起きるのでしょうか? ということで、今回は主な理由の2つを紹介しますね!
①宇宙を光で満たすほどの星が存在しない
ま、これは想像がつきやすいですよね。星の数は変わらないですが、宇宙の膨張速度はすざましく、光の3倍(諸説あり)の速度で膨張してます。いや、まぁ、この時点で光速より速いものは存在しないというアインシュタインの理屈が間違ってはいるのですが、これはまた別の機会にはなすとしてですね、つまり、星の数は同じなのに宇宙が広がってるから、どんどん宇宙はどんどん暗くなっているんですよね。これは納得していただけると思います。
ちなみに宇宙が広がる前、つまり宇宙が生まれてから約4億年の時には下の図のように宇宙は光で満ち溢れていたんですよね。だから、オルバースのパラドックスは正しくはあったんですよ。ということで、これが1つ目の理由になります。
②遠くの星の光がまだ地球に届いていない
これが二つ目の理由です。光は光の速度なんですが、先程も言いましたように、宇宙は光の3倍の速さで広がっています。宇宙は生まれてから137億年しかたっていませんので、137億光年先の星の光は地球にはとどかいないのです。そして、それ以上の速度で宇宙が広がっている以上、137億光年以上離れる星もこれから出てくるわけで、それによって光が届かなくなるので、夜空は暗くなる一方なんですね。ま、ここらへんは「ハッブル–ルメートルの法則」とか分かってくると面白いのですが、今回説明するのは止めておきましょう。この理論、難しいので‥‥。
というわけで、他にも色々理由はあるのですが、ざっくりというとこんな感じです。ね、宇宙物理学って面白いでしょ? これを読んで宇宙に興味をもった学生さんは、是非、物理学の道を目指してくださいね!!
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!