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第56回:ゲームセンターの革命児!セガ!!

 皆様が学生の頃、ゲームセンターってどんなイメージでした? 暗くて、不良のたまり場と思っている人は学校の先生以外はあんまりいないと思います。

 でもなんで、学校の先生は「ゲームセンター」が不良のたまり場と思っていたのでしょうか? 今日はその謎に迫ってみましょう。

 1970~1980 年代、タイトーのスペースインベーダーが大ヒット。街中にスペースインベーダーのゲーム機が置かれ、ゲーム業界が空前の好景気にわきました。その後、平安京エイリアン、クイックス、JumpBug、Pengo 等のヒットが生まれ、 ゲームを一か所において、皆様に楽しんでいただこう!という空間が生まれました。これがゲームセンターの始まりです。

https://store.steampowered.com/app/744050/Space_Invaders_Extreme/

 当時、街中のゲームセンターは大いに賑わいました。しかし残念ながらお世辞にもガラがいい空間ではありませんでした。では、なぜ当時のゲームセンターはガラが悪かったのか? その原因はゲーム筐体にありました。

 当時のゲーム筐体は、ブラウン管テレビを上に向けたテーブル筐体が主流で、その状態で店内に蛍光灯をつけると 蛍光灯の光がゲーム筐体に反射、ゲームの画面が見にくくなるという「致命的な弱点」がありました。そう、当時のブラウン管の電子銃は弱く、輝度を保てなかったのです。


テーブル筐体(wikipediaより引用)


 その為、店内の電気を消して、皆様に快適にゲームを楽しんでいただくというゲームセンターが主流になっていきました。

 また、当時のゲーム筐体には、もう一つ欠点がありました。それは音です。ゲーム会社は、自分のゲームをお客様にやっていただきたいという一心で、音楽と音量にこだわります。

 ゲームミュージックという分野に名曲が多いのはこの為なのですが、一方、間違った進化をしてしまったものもあります。それが「音の大きさ」で
した。

 当時のゲーム会社は、「いい音楽をいくら鳴らしても、となりの筐体の音にかき消されてしまう」という事に悩んでいました。そこで業を煮やしたメーカーは、アンプの出力最大にし、より大きな音でお客様にアピールしようと考えたのです。

 もうカンのいい人はもうわかりましたね?

 そう、こうして「暗くて」、「音が大きい」、ゲームセンターという「閉鎖空間」が誕生したわけです。

 当時、このような「閉鎖空間」をPTAは快く思いませんでした。このことから、ゲームセンターは「犯罪の温床」と考える人も多く、ゲームセンター怖いというイメージがついたのもこの頃です。実際、カツアゲ等の
犯罪が多かったのも事実でして、私も経験があります。

 ということで、ゲームセンターは、学校でいく事は禁止され、地方条例で厳しく取り締められる空間になってしまったのです。

 そんな「負の状況」を「打破」しようと努力したのが「セガ」でした。セガは手始めにテーブル筐体を廃止、すべてアストロシティに置き換えました。


アストロシティ(https://wiki.arcadeotaku.com/w/Sega_Astro_Cityより引用)

 アストロシティはテレビを斜めに配置した筐体で、これにより天井の照
明の反射が抑えられ、ゲームセンターを明るい店内にするという革命を起こしたのです。またアストロシティの革命はこれだけではありません。アストロシティはスピーカーをユーザーに向けることにより、隣のゲームの音
が入りにくい筐体であったのです。これにより、セガのゲームセンターは「比較的静かで明るい」店内を手に入れたのです。


プリント倶楽部(https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol47/07_page1.htmlより引用)

 セガの努力はこれだけではありませんでした。セガは当時「プリント倶楽部」を発明したアトラスを買収し傘下に収め、本機械を全国の直営ゲームセンターに広める事により、男性客しかこなかったゲームセンターに大量の女性客を呼び込みました。

 また、ゲームに興味の薄いカップル層をターゲットとした「UFO キャッチ
ャー」も市場に導入し、デートスポットとして使える場所にゲームセンターを変革し、ゲームセンターは「誰もが楽しめる健全な空間」に徐々に変化していったのです。


UFO キャッチャー(wikipediaより引用)

 しかし現実はあまりにも非情でした。セガの努力にもかかわらず、「ゲームセンター」は今でもPTA から目の敵にされており、家庭用ゲームの普及もあいまって、ゲームセンターは徐々に縮小。そしてついには、ゲームセンター経営からセガが手を引くことになってしまったのです。

この話で私がいつも思うことは、

「一度ついてしまった印象ってのものは「ナカナカ」変わらないものだな」

ということです。そのため私は、ちゃんと「今」を見て物事を判断したいなといつも思っています。



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