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第57回:太宰治は人間失格

 題名を見て、私が間違えたと思ったでしょ? 太宰治の人間失格について話をするのかな?と思ったでしょ? 違います。愛人に子供を産ませたり、無理心中を繰り返し自分だけが生き残ったりと人間失格な「太宰治」のお話です。


太宰治(wikipediaより引用)

 さて、太宰治と聞いて皆様はどんな作品を思いだしますか? 「人間失格」ですか?「斜陽」ですか? それとも「走れメロス」ですか? ちなみに私は「斜陽」が好きだった気がします。ストーリー忘れちゃったのでもう一回読まないと‥‥ですけどねw 

 てことで、今日は、そんな「太宰治」の比較的軽い方の「クズ」エピソード、「走れメロス」のお話。

 さて、まずは「走れメロス」のお話の「復習から」羊飼いのメロスは純朴で正義感の強い青年でした。 彼は妹の結婚式を挙げるため、シラクスの町へ買い物にきましたが、昔は賑やかだったシラクスはとても寂しく落ち込んでいました。 メロスは町の人から、王様が人間不信に陥ったため人々を虐殺しているという事実を聞き、激怒します。 そして、邪智暴虐の王を暗殺しようと決意した彼は短剣を携えて城へ侵入するもすぐに捕まります。

 そして、 短剣で人殺しをしようとしたにもかかわらず、こともあろうか王に向かって「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ」と言い放ちます。

 当然メロスの死刑が確定するのですが、 メロスは、妹のもとに帰って結婚式を挙げてあげたいので、三日後の日没まで猶予をくれと頼みこみます。 そんな寝言は当然聞き入られるわけないのですが、王はメロスが親友セリヌンティウスを人質として差し出すことを条件にメロスの願いを聞き届けます。

 人間不信の王の狙いは、メロスが親友を裏切り逃げおおせ、親友が後悔でむせび泣く様子を観察することだったのです。

 そんな王の思いも知らずメロスは一睡もせず走って家に戻り、妹の結婚式を挙げます。 そして最後の一日の明け方、目を覚ましたメロスはシラクスへとひた走ります。 豪雨で増水した川の濁流を泳ぎ切り、襲ってきた山賊にも打ち勝ったメロスでしたが、ついに体力の限界を迎えて動けなくなってしまいます。

 一度は諦めかけたメロスですが、それでも自分を信じて待っている親友のもとへ走り始めます。 血を吐いてボロボロになりながらも、彼は日没直前の瞬間、処刑台の前へと滑り込みます。

 シクラスの町でメロスと再会したセリヌンティウスは、一度だけメロスを疑ったことを白状し、メロスもまた一度だけ友を裏切りかけたことを白状します。 その後2 人は一度ずつ互いの頬を殴り、そして熱い抱擁をお互いの絆を確認しあいます。 そして、その美しい友情にほだされた王はメロスを許し、さらには「自分も仲間に入れてくれ」と懇願するのでした。

 今にして見れば「かなり都合のいい友情」にも見えますが、総じていい話ですよね? では、この話の元ネタとなった太宰治の「熱海事件」についてお話をします。

 太宰は熱海の宿屋に入り浸って家に帰ってきませんでした。 そこで心配した奥さんは、夫の友人である檀一雄さんに宿賃と交通費を託し、様子を見て欲しいと頼みます。

 しかし、愛人をつくりまくり放蕩の限りを尽くす太宰が素直に帰宅するはずなく、 それどころか檀さんを引きとめて豪遊し、奥さんからもらったお金
も使い込んでしまったのです。

 流石に困った太宰は、檀さんに宿賃のメドがつくまで人質になって欲しいと頼んで檀さんを旅館に残し、東京の恩師・井伏鱒二氏の自宅に行くことを告げます。 しかし、待てど暮らせど太宰は熱海に帰らない。

 そこで檀氏は宿に頼み込み数日の猶予をいただき、大慌てで井伏氏の自宅に向かったのです。

 檀氏が井伏氏の自宅に駆け込むと、檀氏は信じられない光景を目のあたりにします。 なんと、二人は何事もなかったかのように呑気に将棋を指しているではないですか! 檀氏は怒り心頭で太宰に問い詰めますが、このクズがいった言葉は、

「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね」

 とまるで自分が一番苦労をしているかのような発言をし、檀氏をたしなめたのです。 檀氏は自分をおさえ太宰に何をしていたのかを問いただすと、 どうやらこの「クズ」は恩師に借金するタイミングをつかむために、わざと日々恩師と将棋をして過ごしていたと答えるのです。 さすが「太宰治」ですよね?

 さて、この後に『走れメロス』が発表されるのですが、 この件が檀さんの「重要な心情の発展になっていはしないか?(平たく言えば嫌われてないか?)」を心配して作品に書き残したのですが、 こんな「男」がこんな理由で書いた小説が、教科書にのる日本の教育って本当に大丈夫か?と思いませんか?

 残念ながら、日本文学の巨匠は「クズ」ぞろいです。まともなのは「福沢諭吉」くらいじゃないかな?と思えるくらいです。

 ちなみにこのエピソード、「太宰治」にしては、まともな方です。 興味を持った方は、数年前に太宰治の人生を描いた映画がありましたので見てみてはどうでしょう?

 まぁ、あれです。何がか優れている人ってのは、何かが欠けていて初めてバランスが取れるもんなのですよね。きっと。

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