第21話:イギリス料理は本当にまずいのか?
イギリスのロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズがアメリカ公演のため訪米した際に
「ニューヨークにはロクな食べ物がないから、毎日フランスから料理を届けさせている」
と発言し、ニューヨークのメディアが
「イギリス人が不味いと言いだす料理を出しているのは、どこの店なんだ?」
と反論したそうですが、今日はそんなイギリス料理のお話です。
さて皆さんは、イギリス料理といえばまず何を思い浮かべますか? 当然これ「フィッシュアンドチップス」ですよね!
私はイギリスに行ったことがあるのですが、これがあまり「おいしくない」。 「下味」はついていないし、「下処理」もしてないし、「新聞紙」で包装するから「フライ」に「インク」がべっとりついちゃうし、とんでもないのです、この食べ物。ちなみにイギリス人は「フィッシュアンドチップス」を包む新聞紙にこだわっていて「タイムズ」よりも「ザ・サン」で包んだほうが「美味しくなる」という人もいるとかいないとかw
あ、一応言っておきますが、日本のフィッシュアンドチップスはちゃんと下味ついてて下処理しててお皿で出てきます。だから「日本」では安心して食べてくださいね。まさに日本人の魔改造‥‥なのかな? って感じですw。ただ、これでもイギリス料理としては「美味しい」ほうという闇なんですw。
次に紹介するのが「ハギス」。写真と料理の説明はhttps://world-food.info/Haggis より引用させていただきました。
さて、写真を見るからしてまずそうですが、この食べ物、食べてみるとわかるんですが、意外なことに「クソマズイ」のです。 って、もともこもないですねw でもこの「ハギス」色々な逸話が残っていて、面白いので一部を紹介しますね!
・アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領は、2005年のエディンバラでのG8の会合に「ハギス料理が出されることを懸念している」と発言しました
・フランスのジャック・シラク大統領は、2005 年ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、 ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相との会談の中で、イギリス料理を揶揄し「ハギスのようなひどい料理を食べるような連中は信用がならないということだ」と言及。当然イギリスの新聞はこれに猛反発したのですが、イギリスのジャック・ストロー外務大臣は「ハギスに関してなら、シラク大統領のご説はごもっとも」と賛意を示しましたw
さて次は「スターゲージ・パイ」です。
あ、これ見たことある! と思ったあなたは鋭い。これ映画「魔女の宅急便」で「キキ」と「おばあちゃん」が一緒に作って孫に届けた「パイ」なんです。でも、これを見て皆様どう思います?
「あたし、このパイ嫌いなのよね‥‥」といったモブキャラに激怒していた皆様、考え方を改めたくなりました? そうなんですよ「ニシンのパイ」とか劇中で言っちゃってますからイメージつかないですが、この「スターゲージパイ」をちゃんと劇中で表現していたら、彼女の認識の正しさに脱帽したくなった人多いんじゃないですか?
あ、今、味はおいしそうだから、見た目だけをどうにかしろと思った人いますね? そう思った人、そこに正座。これから私の話を聞いてから、もう一度同じことを言えるかどうか、試してみてください!
今から500 年前、コーンウォール西部の港町マウゼル。もうすぐクリスマスにもかかわらず、村には飢えに苦しむ人がたくさんあふれています。それを見かねたトム・バーコックは、クリスマスくらいは村人全員にお腹いっぱいになってもいたいと思ったトム・バーコックは、12月23日、嵐にもかかわらず漁に出ることを決意し、荒れ狂う海に漁船を漕ぎだしたのです。
そしてトム・バーコックスは、悪天候にもかかわらず、荒れた海にもかかわらず、飢えで苦しむ人達全員お腹いっぱいに食べられる量の魚を捕って村に戻ってきます。そしてその姿をみた村人たちは、トム・バーコックスに敬意を表し、ちゃんとトム・バーコックスが取ってきた魚がパイに入っていることが見えるように「わざわざ」魚の頭部を突き出してパイを作ったのです。これこそがスターゲージーパイなのです。
それ以降マウゼルでは、毎年12月23日にトム・バーコックス・イヴ祭が開催され、 今でも巨大なスターゲージ・パイを作り、村人全員がそれを食べることによって、トム・バーコックの功績を今でも称えているのです!
はい感動したでしょ? 食べたく・・・はならないですよね。こんな感動的な話をしても、見た目がひどいですよもんね、これw。 さすがイギリス料理、マズイものはマズい、もしくはマズそうに見えて仕方がない、そう結論づけるしかできないですよね? でも、なぜこんな風になってしまったのか不思議に思いませんか? 今日は諸説ある中、その中で有力な説の一つを軽く紹介しますね。
実はイギリスには伝統的な料理があったのです。スコッチエッグとか、ポークパイとか、スコーンとか、ハギスwとか結構あるでしょ? でもこの食文化、18世紀から始まった産業革命によって破壊されてしまうのです。
産業革命当時、イギリスは労働者を都市部の工場に集めていました。その結果、イギリスの人口の四分の三が都市部に集中するくらいの過密化が進んでしまいます。すると地方の過疎化が進むわけで、その結果、農業や酪農をする人が減ってしまい、イギリスの食料生産量がガタ落ちしたのがこの時期なんです。こうして、イギリスは食料の多くを外国から輸入することになってしまったのです。なんか日本みたいな話ですねw
ちなみに、農業や酪農を捨てて都市部にくるくらいなので、工場労働が楽なのか? と問われればそうでもないのです。当時の工場勤務者の労働時間は16時間~19時間程度でしたので、超絶ブラックだったんですよね。そう考えると今の労働基準法はすばらしいw
って、話を戻して。当時こんな労働時間でしたから、工場で働く労働者は家で昼食を食べる事ができませんでした。だから工場で昼食を食べざる得なかったのです。となると手軽に食べれる料理がもてはやされてるわけでして、結果、インスタント食品が発達するんですよ。それが、イギリスのスーパーの食品売り場にインスタント食品が溢れている理由なんですよね。
ちなみにこの時代の労働者に好まれたのが、安くて腹一杯になる「フィッシュ&チップス」と少ない量で栄養価が高い「ウナギ」でした。 そしてイギリス人が考え出した簡単に作れ、栄養たっぷりの至高のウナギ料理こそが「ウナギのゼリー寄せ」だったのです!
って、このまま話が終わってしまうとイギリス人に怒られてしまうので、最後に私のおすすめのおいしいイギリス料理を紹介します。それは「スティッキー・トッフィー・プディング」です。これ、めちゃくちゃうまいのです。そして日本でも売っているのです。皆様も、是非。食べてみてくださいね!
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