私たちのこと|MARGINAL NOTES
※ MARGINAL NOTES は、編集者と五人の執筆者によるWEB ZINEです。毎月一つの主題で、各執筆者が随筆を寄稿します。
声明
自身の「読みたい欲望」に従うことにした。
このひとの文章を読みたい。
このひと自身のことを読みたい。
五人の書き手に声をかけ、毎月随筆を書いてもらうことにした。公開されている彼らの文章は多くない。しかし、強烈に私の「読みたい欲望」を呼び覚ます文章を書く人たちだ。MAGINAL NOTES とは「傍注」の意味だ。
二十代で編集者になった。編集の技術など、いちどもまともに習うことはなく四十を過ぎた。読むことが好き、それだけだった。ひとの仕事を観察し、咀嚼し、少しずつできることを増やした。技術が身につく実感は、あった。狙いどおり市場が動けば快感だった。しかし、いつしか、自分の目が濁っていることに気がついた。
手癖や経験でできることが増えるほど、無垢だった感覚は死ぬ。
その著者は有名なんです? そのテーマの市場性は? その本は役に立つんです? インフルエンス力は? 類書は? PRは? データは?
読むことが好き、それだけだった。しかしそれを仕事にすると、現実はシビアで、好きが憎しみに変わる一歩手前で、私は思いとどまった。意味を求めて無意味なものがない。自分にうんざりだ。商いをいったん完全に切り離し、「読みたい欲望」だけに切実に従った文章を、私はずっと編みたかったのだ。
編集Lily
編集者
#0: 編集Lily(Editor Lily)
書籍編集者。大阪生まれ、大阪育ち、京都、ロンドン経由、東京在住。現在、CCCメディアハウス所属。my rap gods:ルイ=フェルディナン・セリーヌ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、エミネム。
■ X|note(個人)|note(画家・仙石裕美との交換日記)
執筆者
#1: 鰐部祥平(Shohei WANIBE)
1978年愛知県生まれ。中学3年で登校拒否、高校中退、暴走族の構成員とドロップアウトの連続。現在は自動車部品工場に勤務。文章力が評価され、ノンフィクション書評サイト「HONZ」のメンバーに。趣味は読書、日本刀収集、骨董品収集、HIPHOP。
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#2: 山下陽光(Hikaru YAMASHITA)
1977年長崎県生まれ。文化服装学院を卒業後、劇団員や借金取り、古着屋「素人の乱シランプリ」店長他を経て、服飾ブランド「途中でやめる」をスタート。著書に『バイトやめる学校』。「おもしろ金儲け」を多角的に実験するアーテイストであり、デザイナー。
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#3: 関野哲也(Tetsuya SEKINO)
1977年、静岡県生まれ。リヨン第三大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。フランス語の翻訳者/通訳者として働くが、双極性障害を発症。その後、福祉施設職員、工場勤務などを経験。「生きることがそのまま哲学すること」という考えのもと、読み、訳し、研究し、書いている。著書に『よくよく考え抜いたら、世界はきらめいていた』他。
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#4: 安達眞弓(Mayumi ADACHI)
英語・フランス語圏の小説、80~90年代のドラマと音楽、映画に溺れて育つ。いくつになっても隙あらば歌う出版翻訳者。訳書に『この、あざやかな闇』『僕は僕のままで』、『どんなわたしも愛してる』、『死んだレモン』、『悪い夢さえ見なければ』、『ペインスケール』、『ジミ・ヘンドリクスかく語りき』他、多数。
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#5: 栗下直也(Naoya KURISHITA)
1980年東京都生まれ。横浜国立大学大学院博士課程前期課程修了後、無職、専門紙記者を経て独立。著述家、書評家。経済記者出身でありながら、なぜか酒がらみの文章が多い。連載に「サボる偉人」、「あの人の引き際」、「名経営者のB面」、「こんなとこにもガバナンス!」。著書に『政治家の酒癖』、『人生で大切なことは泥酔に学んだ』他。
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