NORIKIYOライブ

【HIPHOP初心者向け】NORIKIYOおすすめ曲5選

 私は、「NORIKIYO」というアーティストが好きです。あまりにも好きなので、勝手におすすめの曲を選び、簡単に紹介したいと思います。今回は、選曲を行うに至った経緯も踏まえ、日頃、HIPHOPに馴染みが無い人たちでも抵抗なく聴ける曲を選びました。
 なお、選曲自体は「馬鹿と鋏と」や「平成エクスプレス」等の直近にリリースしたアルバムの発売前に行ったため、その2作の収録曲を含んでいません。ご承知のほどよろしくお願いします。

新しく、別の観点からNORIKIYOのおすすめ曲を選定しました。もし、ご興味があればご覧になってください。

1.選曲の経緯と基準

 発端は職場の先輩との雑談です。好きな音楽の話題になり、私がNORIKIYOのライブを観るために地方遠征することを伝えたら、「そこまで人を惹きつけるアーティストの曲をぜひ聴いてみたい」と言われました。

 先輩はHIPHOP関連の曲は殆ど聞かず、せいぜいKICK THE CAN CREWやケツメイシといったメジャーグループの曲を聞いたことがある程度だと言っていました。当然、アンダーグランドの曲は聴いたことが無く、メジャーシーン以外で活躍しているアーティストの曲は知りませんでした。
 メジャーシーン以外のHIPHOPの曲に多い「イリーガル(違法)な内容や暴力的な内容」を聴くことに抵抗感があるとも言っていました。
 また、先輩はApple MusicやSpotify等のサブスクリプションサービスを使っておらず、曲を紹介しても無料で気軽に聴くことが難しい可能性がありました。

 こうした背景から以下の2つの基準を意識して曲を選びました。
  (1)イリーガルなことをテーマにしていない曲であること
  (2)Youtubeに公式PVがあること

2.おすすめ曲5選・雑紹介

  実際に選んだのは以下の5曲です。他にも素晴らしい曲は沢山ありますが、先輩に対しては先ずこの5曲でNORIKIYOの魅力を知って貰い、興味を持ってもらえたら、より深いNORIKIYO沼に引きずりこもうと考えてました。

 (1)Go so far  

  6th アルバム「如雨露」の収録曲です。NORIKIYOの作品の中でも有名な曲の1つで、タイトル通りの「後ろを振り向かず、前に進む」という明快なメッセージとシンプルなビートが癖になる曲です。ライブのセットリストにもよく入っており、観客がかなり盛り上がる曲です。但し、ライブでの歌われ方は、2018年と2019年で違っていました。

  2018年は、セットリスト終盤で登場することが多く、ほぼフルで歌っていたので、観客全員での合唱状態になり、ライブの終わりに向けて観客のボルテージが最高潮になっていく様は毎回鳥肌モノでした。一方で、2019年は、最初の1バース程度しか歌わない構成になり、「え、ここで終わるの?」と不完全燃焼になることも多々ありました。

  特に、終盤のリリックにある

手紙出すよ、せめて10通。まだ、これでやっと6枚目。届いてるといいな、そうお前へ

数字の「6」の部分は、ライブ時点でのアルバム発表数を入れて、観客が叫ぶのがテンプレになっており、自分も一緒に被せて叫ぶと会場全体との一体感が産まれて最高に楽しめます。2019年は、この叫びができなかったので、なおさら不完全燃焼状態でした。

 (2)夜に口笛(feat.鋼田テフロン)

  4thアルバム「花水木」の収録曲です。ビートは軽快な曲調ですが、リリックは哀愁を感じるものになっています。深夜に散歩をしつつ考え事をしたいときに聴きたくなります。 恐らく、NORIKIYOというアーティストにとって、4thアルバム「花水木」や 5thアルバム「雲と泥と手」を発表した2013〜2014 年は大きな転換点だったのではないかと思います。

  詩集かつ自叙伝でもある「路傍に添える」には、3th アルバム「メランコリック現代」の発表以降、なかなか納得できるリリックが書けなかったとあります。そのため、アウトプットではなくインプットの時期と割り切り、多くの漫画を読みつつ、小学校時代の自分を振り返っていたそうです。

 また、HIPHOPシーンの大御所である「Zeebra」のライブでの醜態を痛烈に批判したことで有名な「Go Home」も「花水木」には収録されています。恐らく、この曲で知名度はさらに上がった一方で、「大御所をディスった曲はどんなものか」といった野次馬を引きつけて、したく無い苦労もしたのかなと想像しています。

 そして、なにより大きな出来事として、恵比寿リキッドルームでの初のワンマンライブを2014/8/31に行っていることです。まだまだファンの裾野が狭いJapanese HIPHOPでは収容人数千人程度のライブハウスを単独で埋めることは難しく、それを達成できたのはNORIKIYO自身にとっても大きな経験だったのではないかと思います。 こうした発表時期の背景を踏まえると、リリックの内容がまた違った風に聴こえてきます。気軽に聴ける一方で、深く楽しむことができる曲だと思うので、ぜひ何度も聴いてもらえたらと思います。

 (3)Bitter Days 

  EP「実験的断片集」の収録曲です。落ち着いたトーンのビートでどこか寂しげな雰囲気を漂わせる曲です。また、リリックも自身の過去を反省する自戒の念を込めた内容になっています。

 有名ですが、NORIKIYOは、20代の頃まで詐欺や違法薬物の売買等の犯罪行為で生活をしていたようです。そうした行為の状況を写実的に描きつつ、心の中で生じる葛藤を芸術的な作品へと昇華したのが1thアルバム「EXIT」や2thアルバム「アウトレットブルース」だと思います。

 しかし、音楽的な成功により犯罪行為から手を引き、年齢を重ねて、より普遍的なテーマの作品が多くなっていきます。特に歳を重ねた人間なら誰もが抱える「過去のあやまちへの後悔」をテーマにした名曲がたくさんあります。そうした曲の1つがこの「Bitter Days」だと思います。

 豆知識として、この曲をライブで歌ったのは2019/8/24時点で合計3回だと思います。なぜなら、2019年の町田The Cafeのライブで「今から歌う曲は、発表直後のライブ以来」と発言し、その後、2019/8/23に行われた川崎Club Ciitaでのツアーファイナルで歌っているからです。もし、ツアー中に他の場所で歌われていたら教えてください。

 (4)秘密(feat.鋼田テフロン) 

 3th アルバム「メランコリック現代」の収録曲です。暗い雰囲気のビートと深いメッセージ性のリリックが独特の世界観を作り、引き込まれてしまう曲です。この曲もNORIKIYOの有名曲の1つで、セットリストの定番です。

 2018年の頃は、ライブの登場曲として使われることが多く、会場の雰囲気を一気にロックしていました。鋼田テフロンのフックと共にNORIKIYOが登場すると観客が叫びだし、そのままフックを大合唱する流れは何度経験しても最高に盛り上がります。未だに、この曲を聴くたびにNORIKIYOのステージが始まる気分になれるのでワクワクします。

 2019年は「Go so far」と同様に一部分しか歌わない構成になりましたが、フックだけでも観客の盛り上がりが最高潮になるので、不完全燃焼になることありません。但し、フルバージョンであれば、NORIKIYOが

秘密でいい。秘密でいい。本当のことは歪(いびつ)でもいい

の部分を情感たっぷりに歌ってくれて、思わず感動します。そんな感動を久しぶりに味わいたいので、早くフルバージョンを生で聴きたいです。

 (5)Beats&Rhyme(MACCHO , NORIKIYO , 般若& DABO) 

 これまでの4曲と打って変わって4人のアーティストによるマイクリレーの曲です。NORIKIYOも客演の1人でしかなく、NORIKIYOのいずれのアルバムにも収録されていません。この曲は、歌っているメンツが「誰なのか。そして各人がどれほど凄いのか」がポイントです。この4人は、今なおシーンの最前線で活動しており、Japanese HIPHOP版アベンジャーズとでも表現できる豪華なメンツになっています。そんな4人の奇跡のマイクリレーというだけでも1度聴いてみる価値があると思います。

 聴く際は、リリックのメッセージ性や内容よりも、先ず各人のラップスキルの卓越さとその違いを感じるのが良いと思います。4名それぞれが方向性が違うけど、めちゃくちゃラップが上手く、聴いていて気持ちが良くなれます。実際、4人は生のライブでも音源と変わらない水準の素晴らしいパフォーマンスをしてくれるので、必ず会場をロックしてくれます。なお、般若やNORIKIYOのライブの中盤あたりで他のメンツが登場して、この曲が始まると、会場の前方で観客が少しでも前に行こうと押し合いが始まり、ちょっとした暴動になるので注意が必要です。

 NORIKIYOは、1978年生まれ世代(いわゆる78 年式)のMACCHOと般若に対して、音楽への姿勢やステージ上での立ち振る舞い等々を理由に強いリスペクトを持っているようです(同様に78年式のAK−69を尊敬する旨の発言をよくしています)。そのため、この曲以外にも、彼らとの素晴らしい客演作品が数多くあるので、別の機会に紹介したいです。

3.まとめ

 これらの曲を紹介して聴いてもらったおかげで、嬉しいことに職場の先輩は今やNORIKIYOの大ファンになっています。Youtubeで自らNORIKIYOをディグり、私も大好きなクラシック「2 Face(feat.BES)」に出会い、「BESがやばい!!」と言ってくれました。順調にNORIKIYO沼・HIPHOP沼にハマり始めてくれて、とても嬉しいです。 

 また、NORIKIYOは楽曲だけでなく、ハイパフォーマンスなライブも非常に魅力的です。3時間超のワンマンライブの終盤でも高いパフォーマンスを維持し続けて、まさしくプロフェッショナルという姿を見せてくれます。なので、楽曲を聴いて興味を持った方はライブにも足を運んでいただきたいです。

 最後に、私は、NORIKIYOの1ファンでもある一方で、HIPHOP全体のファンでもあります。そのため、NORIKIYO以外にも大好きなHIPHOPアーティストは沢山います(例えば、SALU、RAU DEF、ZORN、AKLO等々)。そのうち、彼らのおすすめ曲も紹介する記事を書きたいと思っているので、読んでいただければ幸いです。どうかよろしくお願いします。

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