似顔絵_タラバミント_2_4

日報 2月16日 「無理しない」が生むもの

記入者:タラバミント


毎朝、僕は7時半に目が覚める。
起きるわけじゃない。目が開くだけだ。

眠気が充満するあたたかな布団の中で、僕は思う。
「なぜ“スッ”と起きられないのか?」と。

約束事がある時は、
義務感から無理やりにでも起き上がる。
その時の身体の重さは、まるで鉛のようだ。
頭には霧がかかっていて、気分も悪い。

一瞬でも気をゆるめると、
なまあたたかな布団に吸い戻されてしまう。
無理して起きようとすればするほど、
反比例のように布団の磁力に引っ張られるんだ。



そこで僕は、無理しないことにした。

無理してもできないのならば、
いっそ、無理を辞めよう。

身体が起きられるベストなタイミングで、
気持ちよく起きればいいじゃないか。



そう決めた翌日、
僕はやっぱり7時半に目が覚めた。

でも、何かが違った。

同じ7時半なのに、
昨日とまるで気分が違うんだ。

第一に、
「目覚めに対する強迫観念」がゼロだった。微塵もなかった。

そのせいだろうか。

いつにも増して布団が柔らかく、
冬の朝、布団の中に温もりがあることをありがたく思った。



その翌日も僕は7時半に目覚め、
同じように爽やかな心地で布団の中にいた。

驚くべきはその後だ。

あんなに辛い思いをして布団から脱出していたのに、
僕は脱皮するがごとく布団をめくりあげ、
うーんと伸びをして、長い息を吐くと、
自然と起きる腹づもりが整っている。

(よし……)
と、一息ついてから、僕はヌックリと立ち上がる。



前からうすうす思っていたことだけど、確信した。

僕はもう、何事も無理しない。

無理しなかった結果、
無理じゃなくなったんだ。

がんばろうと意気込めば意気込むほど、
反対側でそれと同じエネルギーが生まれるんだとしたら、
気持ちの持ちよう一つで、状況はひっくり返せるのかもしれない。



脳みその指示じゃなくて、
「無理しないでベストを尽くす方法」を探したほうが、
一生、自分に幻滅しないで生きられそうだな。

師匠と同じやり方で修行しても、
弟子の能力は永遠に発揮されない。
ましてや親子なんて。



無理しない自分は、
ベストを実現できる最強の自分だ。

僕はそれを胸に、
明日も7時半に目覚めよう。



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