フランスと東京 子育てはどっちが大変だった?

こんにちは。マーガレットこどもクリニックの小川です。受付業務をしています。

私は夫と1歳半の長女、0歳の長男と共にフランスに渡り、東北部の小さな町に約4年暮らしました。
二十数年前の事ですが、日本との違いや戸惑った事をお話ししたいと思います。


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【幼稚園】
渡仏数年後にこども達が通ったのは、家から徒歩1分の所にある「Echole maternelle Le Muget (すずらん幼稚園)」でした。
3才児、4才児、5才児が各1クラスずつの3年保育です。

保育時間は朝9時から12時、14時から16時。
そう、お昼ご飯は家に帰って食べるのです。
なので、12時にお迎えに行き、直ぐにご飯を食べさせ、少しお昼寝をして再び登園。
これ、結構大変でした。

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一人は起きたけど、もう一人は爆睡中なんていつもの事。

あー体が二つ欲しいー

しかも、遅刻は厳禁。少しでも遅れると校長先生から注意を受けます。

そして、なんと水曜日はお休み。土日はお休みなので、週休3日制です。
ワーキングママは一時保育園(後述)に預けていたようです。

昼食を家で食べない子ども(多分ワーキングママの子ども)は、バスで食堂に移動して食べます。勉強の場と食事の場を分けるのは、美食の国ならではでしょうか。

幼稚園と言えどもきちんとした授業があり、通信簿もありました。
(なんて書いてあったか分かりませんでしたが)
そして、課題が良くできた子どもにはご褒美(小さなカード)が渡されます。

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先生は「勉強を教える人」なので、子どもが授業中に「オシッコー」と言うと、主事さんが呼ばれてトイレに連れて行きます。
靴紐を結んだり、教材を切ったり準備するのも主事さんの仕事です。

日本では子どもを平等に扱うため、出来た子だけにご褒美なんてないし、先生は授業以外の雑用が多いですよね。
大きな違いです。


【ギャルドリー】
町には「ギャルドリー」という一時保育園がありました。
就労の有無に関係なく、誰でも気軽に廉価で利用出来ます。

当時の私は子どもとずっと家にいて、「せっかくフランスに住んでいるのに、綺麗な町並みも見たこともない」と悶々としていました。
理由も聞かれずに長男を預け、一人で町歩きをした時の解放感は今も覚えています。

日本では孤育てが問題になっていますね。お母さん達が気軽にガス抜き出来るような一時保育園があれば、一つの解決策になるのではないでしょうか。

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【小児科】
私が利用した小児科 ロット先生は、戸建ての自宅の一部を診察室に利用していました。

診察は完全予約制で、他の患者さんに会ったことはありません。

受付の人も看護師さんも診察券も保険証もなく、名前を言うとデスクからカルテを出します。
診察後に説明を聞いて、処方箋を渡され、代金を払います。
その代金も先生がデスクにしまっていました。

予防接種も同じです。「次はこれを持って来てね」とワクチンが書かれた処方箋を渡されます。
そう、ワクチンは薬局で買って持って行くのです。これにはビックリ。
しかも、二人分だと結構な額だったと記憶しています。

そして診察代も薬代も全て全額自己負担です。つまり、ある程度のお金がないと、具合が悪くても診察を受けられない。

日本は保険証と医療証があれば、ぼほ無料で医療が受けられます。
この国民皆健康保険は日本が誇るべき制度だと思います。
(現在のフランスは事情が異なるようです)


【薬局】
クリニックの隣に薬局はありません。
ただ、薬局は一律で緑の十字のネオン看板を掲げてあるので、一目で見つける事ができるので安心です。

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考えてみれば、日本の薬局って他の店舗と見た目は変わらないですよね。
一目で薬局と分かるって意外と大事な事かもしれません。

また、店内には不要になったり余った薬を寄付するボックスがありました。
何故か薬って余ったりしませんか。それを必要な人に回していく。
安全性が確認できれば、素晴らしい制度だと思います。

以上が私のフランス子育て話です。

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帰国後、次男が生まれ東京での子育ても経験しました。

そこで、フランスと東京、子育てはどっちが大変だったでしょうか

うーむ

結論から言えば、どっちも大変ー💦

フランスでは「住環境」や「車移動」等で恵まれていました。
住まいは、庭の広い一戸建てだったので、夜泣きをしてもご近所を気にする必要はなし。また基本は車移動なので、駅の階段でベヒーカーを持って上がる事もありません。

ですが、言葉が不自由な国で子どもが手術になった時は不安で一杯でしたし、幼稚園にはどうやって入園するのかも分からない。

言葉の壁は大きいです。

一方、東京はとにかく便利。お店は夜遅くまで開いているので、オムツが無い!っといっても大丈夫。そして子どもが一人で徒歩通学していても安全です。
でも、少しおおらかさに欠けている気がします。

電車の中で子どもが騒がないか、とても気を遣いますし、運動会の声援がうるさいとクレームがあると聞いた事もあります。

子育ては、どの国でも誰でも大変です。ただ、「人との繋がり」があれば乗り越えていけると思います。

私もフランスでも東京でも回りに迷惑をかけながら、そして沢山の人に助けてもらいました。


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必死で覚えたフランス語でしたが、帰国後二十数年間全く使いませんでした。
ところが、突然陽の目をみる事となります。

そう、クリニックにフランス人の患者さんが来院されたのです。

小さいお子さんを抱えて苦労している姿を見て、思わずフランス語で話しかけるとキョトンとされ、でも少し安心した様な表情になりました。

予約も問診票も全て漢字ですから分からないですよね。
私の拙いフランス語がお役に立てて嬉しかったです。

クリニックには他の外国籍の方も来院されます。言葉も文化も異なる国での子育て、特に病気の時は不安で一杯だと思います。

子どもを思う気持ちはみな同じですよね。私は今子育てを応援することで、かつて助けて頂いたお返ししたいと思っています。


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最後に在仏の長い友人との会話をお伝えします。

私:「あの綺麗な青や緑の眼で話されたら、固まって何も話せないの。」
友人:「大丈夫よ。向こうも黒髪で神秘的な黒い眼で見つめられて、固まってるから。」


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