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娘に子宮頸がんワクチンを打ちました
みなさん、初めまして。
マーガレットこどもクリニックで看護師をしている森山といいます。
今後時々現れると思いますので、どうぞよろしくお願いします!
私には、今、高2になる娘がいます。
去年の9月に1回目の子宮頸がん予防ワクチンを打ち始め、無事に3回全て打ち終わりました。
みなさんは子宮頸がん予防ワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン、以下HPVワクチン)のこと、ご存知ですか??
私は恥ずかしながら、ワクチンの存在は知っていましたが、副反応の報道以外のことは、正直あまり知りませんでした。
娘もまだ小さかったりで、自分ごととして考えられてなかったような気もします。
ところが、自分が小児科のクリニックで働き始めたこともあり、
HPVワクチンの公費接種期間(無料で接種できる期間)が高1の間まで、ということを知り、ちょっと焦ってしまったんです。
HPVワクチンの接種スケジュールは全部で3回。
最近多く使われているワクチン「ガーダシル4価」の場合、
1回目接種⇒2ヶ月後に2回目⇒1回目から半年後に3回目
という接種スケジュールなので、打ち終わるまでに半年かかります。
国立感染症研究所 日本の予防接種スケジュール (2020/9/23 4価ワクチンの定期接種期間に誤記があったため図を差替)
公費の対象になるのは高校1年生の間までなので、
つまり、高1の9月中に1回目を接種しないと、全て公費で打ち終わりません。
公費の期間を逃して、自費(自腹)で打つ場合は、1回の接種につき1万6千円から2万円ほどかかり、3回合計で5万円前後かかってしまいます。
今、高1の女の子さんも、今ならギリギリ間に合うので、ぜひお急ぎくださいー!!
自腹で打つのは高くて辛い、、ので、
無料期間が終わっちゃう前に、調べてから打つか打たないか決めよう!
ということで、
まずはHPVワクチンについて調べ始めました。
調べてわかったこと
半信半疑で調べ始めたHPVワクチン。
一番は後遺症が心配だったんですが、調べてみると、すでに名古屋スタディと呼ばれる研究で結果が出ていました。
こちらの記事は論文ではないですが、論文の概要がわかりやすくまとめられています。
ー「月経不順」「関節や体が痛む」「身体がだるい」など、接種後に現れるとされている24の症状について起こりやすさを比較したところ、いずれも統計的に意味のある差は見られなかった。ー
HPVワクチンと有害な症状との因果関係がないとのこと。
これなら心配する必要はないんじゃないかなと思い始めました。
ワクチン接種後に何かしらの症状が出た女の子たちはその後どうしているのか心配でしたが、
厚労省による追跡調査の結果が見つかり、確認することができました。
ほとんどの子が回復しているということで、これも一安心。
厚生労働省 資料4-1 副反応追跡調査結果について
WHO(世界保健機関)は、「乏しいエビデンスに基づく政策決定」と、HPVワクチンの積極的勧奨を差し止めている日本を、名指しで指摘していました。なんと。。。
私に言われてるわけじゃないんだけど、なんだか悲しい。
おまけに海外では、接種率がかなり高い国も多いそうで、80%を超えている国もたくさんありました。
日本の接種率は1%未満。。。この差はひどい。。
各国のワクチン接種プログラム対象女子の接種率
子宮頸がん予防情報サイトもっと守ろう.jp 厚労省ー定期の予防接種実施者数
しかもです。男の子、男性も接種したほうがいいと言うじゃないですか。よく考えたら、性交渉で移るんだから、当然なんですがね、、、。
子宮頸がんワクチンというので、てっきり女性が打つワクチンだと思っていたら、子宮頸がん以外にも予防できるがん、病気(尖圭コンジローマ、中咽頭がんなど)があるそうで、海外では男の子に対しても公費で接種できる国もあるそうです。
日本と海外の差に驚きました。。。
いざ、接種!
調べていくうちに、だんだんと分かってきたHPVワクチン。
これは我が子に接種せねば!!ということで、早速予約を取ることにしました。
ところがです。自宅にない。問診票が。。。
公費で受ける予防接種って、普段は自宅に問診票が郵送されていますよね?? でもHPVワクチンの問診票は自宅にないのです。
またうっかり捨てちゃったのか、私。。。と一瞬不安になりましたが。
HPVワクチンの問診票は区役所に取りに行く必要があります。(問診票の入手方法は自治体によって違うと思いますので、お住いの自治体にご確認ください。)
私は横浜市内に住んでいます。早速、市のサイトを見てみると、
「現在、子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的にはお勧めしていません。」
と、HPVワクチンのページトップに堂々と記載されていました。
え、どうしよ。打って大丈夫なん?? やめといたほうがいいん? と、若干ひるみました(汗)
でもでも、私は調べたのだ。HPVワクチンは全然怖くない!と、思い直し、いや若干自分に言い聞かせつつ、区役所に電話して問診票がほしいことを伝えました。
そこでもまた
「現在、積極的にお勧めしていませんが、よろしいですか? かかりつけ医さんとはよく相談されましたか?」
と念を押されて、再度ひるむ。。。
が、やっぱり私はもう調べたんだもん! HPVワクチン、打たせたいのよ!!!と気を取り直し、
「はい、大丈夫ですから問診票がほしいです。どうしたらいいですか?」
と質問。
「じゃあ今度、区役所まで取りに来てくださいね。」
と、無事入手できそうな様子になってきました(でもまだ入手できてない)。
そして区役所まで問診票を取りに行くと、またまた「積極的にお勧めしてないですが、よいですか」と念を押されてしまうのですが、もう大丈夫、この下り、すでに私は慣れています(笑)
今度はひるむことなく、「はい大丈夫です。ください。」と伝えて、やっと問診票ゲット!!!
いよいよ近くのお医者さんで接種しようということで、予約の電話を入れたところ、ここでは意外に「お勧めしてませんよ」とか言われることもなく予約完了。ただし、よほど打つ人が少ないんでしょう、ワクチンは基本取り寄せになるということで、1週間ほど先の予約になりました。
いよいよ!!接種の日!!!
娘はもうすっかりお姉さん、注射で泣いたりしないので、いざ診察室に入っても大丈夫(当たり前w)。
病院では、診察室に入って
「はい、今日は子宮頸がんワクチンですね。体調は大丈夫ですか? じゃあ打ちましょー。ブスっ」
っと、あっさり終了しました。(表現悪かったらごめんなさい。ちゃんと丁寧に対応してもらいました^^;)
娘の感想は「痛かったよ。てか、3回もやんの(-_-)」というだけで、まあどうということはなかったです。普通です、普通。
ってな具合で、途中で色々とビビりポイントがありつつ、なんとか公費で打てるうちに接種開始することができました。あーよかった。
自分の周りはどうだろう??
我が子には無事に接種できたんですが、周りの子達はどうしてるんだろうと気になってきました。せっかく無料で打てるんだし、それで命が助かるかもしれないし、子宮を取ってしまって赤ちゃんが産めなくなることも防げるかもしれないし。
と思い、ご近所さんや娘に、みんな接種してるのか聞いてみました。するとやっぱり、接種したっていう話を聞いたことがないとのこと。唯一、HPVワクチンの公費接種が始まった当初、自宅に問診票が郵送されてきていた時期に対象年齢だったお子さんは接種したということでしたが、他に接種した話は全然出てきませんでした。
行政から問診票が送られて来ない、ってことは、接種しないほうがいいんじゃないかと思ってしまう、という声も聞かれました。
そりゃあそうだよなーー、とホントに思います。私も自分で調べて接種しようと思いましたが、途中で何度も気持ちが揺らぐポイントがあったわけで、それでも接種しようというのは、相当に勇気がいることなんじゃないですかねえ。
子宮頸がん患者さんとの出会い
そんな風に、世間では接種するのがメジャーになっていないHPVワクチン。それでも私が興味を持って、娘に打たせたいと思ったのはなんでだろうと考えてみました。
私、実は昔、大学病院の婦人科病棟で働いていたことがあります。
そこで子宮頸がんにかかった患者さんに複数出会いました。やっぱり私の脳裏には、あの時出会った患者さんたちのことが残ってるいのかもしれません。
大学病院だったので、入院される患者さんはそれなりに進行している方も多かったです。中には転移があったり、残念ながら命を落とした方もあります。
マザーキラーと呼ばれる子宮頸がんですが、私が出会った患者さんにも、かわいい小さな子どもを抱えた素敵なママがいらっしゃいました。ママじゃない患者さんでも、新婚さんだったり、未婚の女性だったり。若い世代の方も多かったです。
もちろん、患者さん全員が命を落とすということはなく、治療して元気に退院される方もたくさんあります。それでも、若い女性が抗がん剤で髪の毛が抜け落ちたり、手術で子宮や卵巣を取ってしまって妊娠が望めなくなったり、術後の後遺症で排尿障害に悩まされたり、簡単には受け入れられないような経験を迫られてしまいます。
※子宮頸がんの術式の中で、排尿に関係する神経に触ってしまうものがあり、術後、自力で尿を出す機能が低下することがあります。
あの、サラサラの長い髪が自慢の患者さん、抗がん剤治療の前に一緒に髪の毛を短く切って、「どうせ抜けちゃうんですけどねー」とか患者さんが言葉にしながら、これからやってくる脱毛の心の準備したなー、とか。
ラブラブの新婚さんで、結婚したばかりなのに子宮を取ることになってしまって、でもご夫婦仲良しで励まし合ってて、無事に退院されたなーとか。
ほんと、思い出しちゃいます。
それがワクチンで予防できるなら、命が助かるなら。こんな素敵なことはないんじゃないでしょうか。
子どもたちに予防の恩恵を
私自身は、調べていくうちに、こんな素敵なワクチン、打たない手はない、と思うようになりました。
これから未来を背負っていく若い世代に、ぜひこのワクチンの恩恵を届けたい。病気にならずにすむ、そういう、予防に勝る医療はないんじゃないでしょうか。
毎年約1万人の女性がかかり、約3000人が死亡するという子宮頸がん。
一人でも命を救い、苦しむ人を減らしたい。ほんとにそう思います。
HPVワクチンの啓蒙に尽力されてきた村中璃子先生が、このようなnoteの記事を書かれていました。
このまま日本でHPVワクチンの接種が進まなかった場合、向こう10年で10万個の子宮が失われることになるとのこと。その中にはきっと、子育て中の女性の子宮、これから出産しようとする女性の子宮もたくさんあるでしょう。
もしかしたら、我が子や、身近な子どもたちも含まれているかもしれません。
我が子にも、我が子のお友達にも、そのまたお友達にも。日本中の若者に、このワクチンの恩恵が届くことを願って止みません。
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ぜひ読んでみてもらいたいリンク集
子宮頸がんワクチンについてーまりあクリニック
子宮頸がんワクチンと副作用ー大槻レディースクリニック
思春期のあなたに大切なワクチンがありますー東京小児科医会・東京産婦人科医会
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マーガレットこどもクリニックWebsite
https://margaret-kodomo.jp/