今の不安は、きっと、私の形をしている。
1.
先日久しぶりに、もう存在しないアイドルグループの一人をTVで見ました。そして、その変わり様に驚きました。
勿論アイドルだって歳を取るのは承知です。ただ、老けた……というのには少し違う気がしました。
端的に言えば、顔が変わっていました。
よく見れば、自分の知っている『彼』なんですが、顔つきがまるで違って見えました。悪くする整形などするよしもないから、あれは時間が作ってきた、顔なんだろうと思います。
2.
後になって思い出したのは、最近読んだマンガ(「鬼灯の冷徹」三十巻)の言葉でした。
『毒を吐くのは 毒を吸ってきたからです』
周囲は敵だらけ。心無い言葉、中傷誹謗、そんな毒を浴びせられ続ければ、同じような言葉や毒が出てくる確率は高い。
(逆に回りに敵が少なく、暖かい気持ちや言葉をかけられていれば、他を思いやったり美しくなる余裕が出てくる)
公平不公平の話でなく、あくまで確率の問題とのことでした。
彼の変貌は、もしかしたら彼の環境が作ったものかもしれません。
……では、私は今、どんな顔をしているでしょうか。
3.
今、私は、多分他の人も皆、毎日大きい不安にさらされています。
多大な影響を持つウイルスの蔓延、不確かな情報。
生活習慣のみならず、その足元にある基盤も不安定になっています。
実際、ただ毎日生きているだけで、息が苦しくなったり、頭が痛くなったり、眠れなくなったりしています。
だけど、これは自然なことなんです。
これだけの不安要因に囲まれて、悪意すら感じる重い情報を吸っていれば、明るく元気に生きられる確率は、とても低いでしょう。
でもそれじゃあ、苦しいだけです。
だから、まず不安を少しずつ遠ざけようと思いました。
4.
このウイルスの致命的な弱点は、自分で動けないことです。
つまり、媒介する人間がいなければ、そこで消えるということです。
まず極力外に出ない。
食料品の買い物に行くときは、歩きか自転車。
知人に会っても、頭を下げるのみで、絶対に話さない。
家に戻ったら、手洗い。うがい。
せっけんを泡立て、水を流しながらハッピーバースデーを二回歌いましょう(妙にハイテンションになってきます)。
これだけで「感染しない」のです。
感染しない……という言葉を自分で書いて読むだけで、少し気分が上がってきました。あと少しです。
5.
他の不安は、終わった後、考えましょう。
何度も言います、まず生き延びましょう。それ以外は後で考えましょう。
好きな本を読み、映画を観て、ゲームをしましょう!
植物を育ててもいいし、作りかけのハンドメイドや、いつか作ろうと思ってた料理のレシピを出してきましょう。
落ち着く歌を聞いたら、夜は早く休んで、これを機会に健康になるのもアリです。
この状況はぜったいに、終わります。
(希望的観測でいえば……全世界の人が外に出なければ二週間で終わりますが、それは不可能なので、出来る人すべてが家にいれば、一か月で下火になるはずです。それから、三か月で収束。一年後か、もう少しあとには、人間の体に免疫ができます。もしかしたらワクチンもできるかもしれません。いずれは、インフルエンザと同じような扱いになります……あなたや私が今、家にこもるなら!)
生きて、来年の桜を観たいです。
なるべくたくさんの人と笑い合うために、私はきしむ体を伸ばし深呼吸をしました。