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「見た目じゃなくて味で評価したい」廃棄される運命のフルーツに光を!“伝説のシェフ”が生み出すあまおうと日田梨の完熟ジャム(稀人マルシェ@阪急メンズ東京)

本格ナポリピッツァ、イタリアンのレストラン「サルヴァトーレ・クオモ」は今、全国で63店舗を展開している。オーナーシェフ、サルヴァトーレ・クオモさんは、自身の名を冠したこのレストランをはじめ、これまで国内外250店舗以上のプロデュースに携わってきたナポリピッツァの伝道師だ。

NewsPicks【「日本の宝」を見つけて地方移住。“伝説のシェフ”がフードロスに向き合う理由】より一部抜粋

「自分たちの故郷ナポリ、そして父親を表現しよう」


クオモさんは1972年、ナポリ人の父と日本人の母の間に長男として生まれた。父が日本への移住を決断し、家族で千葉市内に移り住んだのが1984年、クオモさんが12歳の時。父と母はナポリの家庭料理を出すレストランを開き、クオモさんとふたりの弟は地元の学校に通った。しかし言葉の壁に苦しみ、ひとりの弟と1年でイタリアに戻り、クオモは北イタリアの料理学校に通った。

そのまま料理人を目指すつもりだったが、卒業前に父が癌になったため、18歳の時、日本に戻った。それから間もなくして、父が亡くなった。その後も日本に残ったのは、父が日本にお墓を建てることを望んだからだ。「父を異国にひとりで残していくわけにはいかない」と思ったという。

転機が訪れたのは、イタリア語学校で料理を教えていた1995年、23歳の時。アシスタントをしていた女性の父親と意気投合し、中目黒の目黒川沿いにレストランを出すことになった。店名は「サルヴァトーレ」。のちに大規模展開する「サルヴァトーレ・クオモ」の初代ともいえる存在だ。弟ふたりを呼び寄せたクオモさんは、考えた。

「自分たちの故郷ナポリ、そして父親を表現しよう」

営業時間はディナーだけ、コース中心のメニューなど当時珍しいスタイルだった「サルヴァトーレ」は、オープンしてすぐ行列ができる店になった。その人気ぶりは、店を開いた年の8月、弟とともに人気テレビ番組『料理の鉄人』に出演していることからもわかる。

一度、多忙がたたり体調を崩してイタリアに帰国したが、2000年、再び日本に戻って飲食業界にチャレンジ。そこから飛ぶ鳥を落とす勢いで店舗を拡げていく。2006年には、ナポリで開かれる世界最高峰のピッツァの祭典「Pizzafest」に「PIZZA SALVATORE CUOMO」チームを率いて出場し、テクニカル部門で最優秀賞を受賞。翌年は総合部門準優勝、その次の年は総合部門第3位に輝いた。

(撮影:川内イオ)

海外展開も進め、2019年7月、フィリピンのマニラに「Salvatore Cuomo Café」、2023年にはインドネシアのジャカルタに「Casa Cuomo Italian Dining」を開いている。これまで料理人として250以上の店舗をプロデュースし、上場も経験して、「料理人として考えられないような成功をしたと思った」と振り返る。

捨てられる梨の山が「ゴールドに見えた」


「コロナもあって子どもの環境を変えたかった」というクオモさんは、2021年12月、大分県日田市に家族で移住。畑に大量の梨が山積みされているのを目にした時、恒例の生産者からそれが廃棄されるものだと知って愕然とした。「自分たちは高齢だから、梨が採りきれない」「ちょっとでも傷がつくと高く売れないから捨てる」「このゴミはお金を払って引き取ってもらっている」……

クオモさんは思わず、生産者に「レストランで皮付きのフルーツを食べたことあります?」と聞いた。自分たちは必ずフルーツの皮をむいて調理する。それなのに、皮に傷がついたから捨てるということが、まったく理解できなかった。あまりの衝撃にしばらくその場から動けなかったクオモさんだが、冷静になると、捨てられる梨の山が「ゴールドに見えた」という。

「農業をやる人たちがいなくなっちゃうと、レストランはもう終わりだから。この人たちが儲かるような仕組みを作ったら面白いだろうなと思ったんだよね」

市場に出る前に、「規格外」などの理由で畑の肥やしになったり、廃棄されたりする農作物は全国で年間200万トンに及ぶと推定されている(東京農業大学農友会農村調査部「農作物の生産現場で発生する食品ロス」)。

実情を知ったクオモさんは、日田市に食品研究所「LAB3680」を構え、規格外の果物を生産者から仕入れてジェラートの開発に取り掛かった。果物はコストが高いため、一般的なジェラートに含まれる果実は10~15%、多くても20~30%にとどまる。クオモさんは規格外の果物を仕入れることで、果実の含有量が50%を超えるジェラートを生み出した。さらに、仕入れられるフルーツの量が増えたこともあり、ジャムの開発もスタートした。

「農家の人は規格外の食材を作ろうと思って作ってないんだよ。どれに対しても同じ力をかけているわけ。それなのに見た目でA級、B級を決めるのが、果たして正しいことなのか。味で評価してあげたいと思うし、そうなるべきだと思う」

今回、稀人マルシェ@阪急メンズ東京で用意したのは、規格外のフルーツを使ったジャム。完熟したフルーツ本来の甘み、酸味、香り、舌触り、そして安全性を大切にしているため、保存料、人工香料、着色料などの添加物は使用していない。

クオモさんが腕によりをかけて生み出したジャム、いかがでしょうか?

無添加・完熟あまおう苺のジャム(90グラム)
福岡県産の「あまおう」を、贅沢に使用。自然で濃厚な甘みの中に、ほどよい酸味を感じるのが特徴で、あまおう独特の綺麗な赤色と、果肉感を残せるよう、分単位で火加減を調整している。

日本有数の梨ブランド 日田梨のジャム(90グラム)
​日本有数の梨の産地・大分県日田市で収穫された新鮮な梨を使用。梨の甘みと芳醇な香りを引き立てるため、大分県産のカボス果汁を合わせている。

僕が取材した稀人たちの「おいしいもの」を集めた稀人マルシェ、いよいよ10/2(水)に開幕!期間は10月2日~8日の1週間(平日12時~20時、土日11時〜20時)。いつも通り、食品は全品僕の買い取りです。それだけ質と味に自信があるんです!みんなに味わってほしいんです!

僕は期間中、毎日会場にいるからぜひ遊びに来てください!!!

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