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コーヒーにはミルクを

くどうれいんのエッセイ『コーヒーにミルクを入れるような愛』を読んだ。

まずタイトルに惹かれた。

いっとき、コーヒーに砂糖やミルクを入れるなんて、もったいないと思っていた。

がしかし、タイトルとは真逆のお話になる。ホットコーヒーにアイスとミルクをぶち込む著者が結婚なんてしていいのだろうかと悩んでいた。

ああそうか、愛情をもって注ぐのではないのか。真逆の意味であった。

若い頃はコーヒーなんて苦かったり酸っぱかったりして嫌いだった。それこそ向き合おうとしていなかった。

20代のときにカッコつけて彼女のまえでアイスコーヒーをブラックで飲んだ。

……うまかった。

おかわりにホットコーヒーをブラックで飲む……やはりうまい。

「そんなにコーヒーが好きなのね」と笑う彼女に本当のことを言うと声にだして笑っていた。

それからはしばらくブラックコーヒーにハマっていた。しかし甘いコーヒーもいいと思う。

ベトナムのように練乳を入れ、ブラジルのように砂糖を4〜5杯入れる甘いコーヒーも美味しい。ブラジルの人からしたらブラックコーヒーは邪道みたい。

いまは丁寧にドリップしたコーヒーの香りを楽しむ。本来の味を楽しむ。そこには豆本来の甘味があり、ほのかな甘さがのこって心地よい満足感を与えてくれる。

けれどたまにはインスタントコーヒーにスプーン3杯の砂糖と、温めたミルクを半分入れる。甘さとコク深い味わい。インスタントのあっさりとしたコーヒーが控えめなのがいい。

やはりうまい。

ブラックコーヒーに砂糖やミルクを入れるのも愛に変わりはないのである。

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