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読書ノート 『ゴールデンタイムの消費期限』
早熟の天才たちが抱える苦悩を見ていると、才能に恵まれなかった凡人とさほど変わりません。
抱える苦悩の性質が違うだけで、好きなことを続けていくのには相応の苦悩がつきまとうものです。
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作品:ゴールデンタイムの消費期限
作者:斜線堂有紀
出版:KADOKAWA
頁数:368
文庫本:2024.1.23
才能がない自分でも、生きている意味はあるのか――?
小学生でデビューし、スランプに陥っていた高校生小説家・綴喜文彰。また傑作を書けるようになると誘われ、あるプロジェクトに参加する。向かった山奥には、料理人、ヴァイオリニストなど5人の元・天才たちがいた。彼らのミッションとは、AI・レミントンの力を利用し、天才として世間に返り咲くこと――。借り物の才能で幸せになれるのか? 天才ではない自分に価値はあるのか? 等身大の悩みが胸に突き刺さる、共感必至の青春小説!
手にとった理由
若者が挫折をのり越えようと奮闘する姿は見ていて勇気をもらえる。
所感と感想
芸術分野にて、AIを使った作品だと公言すると物議を呼びますね。
最近だと芥川賞を受賞した九段理江さんの「東京都同情塔」があります。
私はAI肯定派です。
有効に利用しないのは勿体無いと考えてしまいます。
ビッグデータから学習したAIに教わることと、その道のプロから教わることの違いがよくわかりません。
教わる相手は違っても、もとを辿れば同じソースなのだとしたら、人間に師事することも、機械から教わることも、どちらも変わらないように思えます。
きっと人間の些末なプライドが邪魔しているだけのような気がします。
若いときは、そんな些末なプライドに固執するべき、と考えているので見ていて微笑ましいです。
若くして天才と呼ばれた人間をすこし不憫に思います。勝手に期待されて、利用されて、才能が枯渇したとみられると叩いて見限られる。
心が折れるときって、爆発的な怒りの後に、凪いだ状態になるんですよ。
心のエネルギーが空っぽになって、草木のように動けなくなります。雨にうたれ、風にふかれ、太陽をあびて、大地に根をはるように、ゆっくりと回復しなければなりません。
物語では6人の若き元天才たちが共に悩み、ぶつかり合うことで、自分の本音と向き合うことになります。
青春小説を読んでいると眩しすぎて、年甲斐もなく新しいことにチャレンジしたくなります。
もしかしたら、いまさらだけど自分の才能と出会えるかもしれない。そんな恥ずかしい夢をみてしまう自分がいます。
自分とどう向き合ったらいいか迷っている少年少女へ読んでもらいたい物語です。