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新サクラ大戦の感想(ネタバレあり)

※この記事は2020年2月上旬に書き始めたものを何ヶ月も放置し、最近になって久しぶりに編集し、完成させたものです。遅くなりました…!


先日(※2020/2/8)「新サクラ大戦」をようやくクリアしました。個人的に思うことが強くあるゲームなので、しっかりとした感想を書いてみることにしました。

ちなみに、1話を終えた時点での大まかな感想は「2019年のゲームを振り返る」でも書いてあります。

■サクラ大戦と二度出会う

感想の前に、自分にとってのサクラ大戦シリーズはどういったものかということを書きます。けっこう長いです。

初めてシリーズを認識したのは、90年代後半〜2000年ごろのゲーム雑誌やゲーム屋で見た映像だったと思います。「なんかやたらと宣伝してて、すごいゲーム扱いされてるなぁ」というのがはじめの印象でした。と同時に、アニメっぽいキャラクター、女の子ばっかり、ロボットも出てくる…「これはオタクが好むゲームだ!」とも認識しました。

当時のいわゆる「オタク」は決して好意的に見られることはなく、変な人ばっかりで気持ち悪いんだという風潮が当たり前で、自分もそれに倣って(感化されて)気持ち悪いものだと思っていました。まあ、そんな自分も他の人から見ればゲームオタクで同類だと思われてたんでしょうけども。それを分かっていながら当時の自分は「ゲームが好きなだけ、アニメ好きではない、あいつらとは違う」という考え方をしていました。

そういうこともあってシリーズを遊ぶことは全く無く、遊んでいた友達もたぶん周りにはいなかったので、ゲームの感想を聞くことも無かったです。そもそもサクラ大戦はセガサターンやドリームキャストで発売されてたので、それらのハードを持ってない自分としては購入の選択肢にすら入らないわけです。ましてや自分から遠ざけてる作品ですから、ハードごと買うなんてあり得ない。とにかく縁の無いゲームでした。

しかしそんな考えも年月が経てば変わっていくもので。ここ数年はますますいろんなゲームに興味を持つようになり、それはサクラ大戦も例外ではありませんでした。あるとき、「サクラ大戦も有名なシリーズやけど結局やったこと無いよなぁ、やってみようかなぁ…でも1・2はPSPか…最新機種で遊べるようにならんかなぁ」と考えたこともありました。

そして2019年の3月末(正確な時期は覚えてませんが、確認したらこのころに発表会があったようです)、「新サクラ大戦」が発表され、確かツイッターでもトレンドに上がり、嫌でも目にする機会がありました。ゲーム情報サイトでもその記事を一応見ていました。

そのときに歌やキャラクターが公開されていて、ヒロインの天宮さくらを見たとき、「あ、かわいい!」と思いました。そのときはただそれだけだったんですが、発売直前に見かけた開発スタッフのインタビュー記事を読んだりしてるうちにだんだん惹かれていき、「これはぜひ発売日に買いたい」と思うようになりました。

ただ、発売日の12月13日はFEサイファ19弾の発売日でもあったし、しばらくはそっちに夢中だから買ってもやらないだろうなと思っていたので、ひとまずはスルーすることに。とは言え約2週間後に買っちゃうんですが…w

というわけで2019年の年末にようやくサクラ大戦シリーズに触れることとなりました。はじめの出会い(当時は偏見まみれでしたが…w)から約20年越しの再開、とでも言いましょうか。


■世界観・ストーリー

本作は「“太”正時代」という、実際の大正時代をモチーフにしつつも、蒸気技術が発達、霊力が存在、ロボットが登場するという架空の時代が舞台です。時代モノのようで、SF的な要素もある世界観ですね。旧シリーズもそういった世界観でしたが、当時は「なんだか変な組み合わせだなぁ」と思っていました。今なら「斬新だ!」という評価が出来るんですけどね。

ストーリーは旧シリーズの時代から10年後、降魔大戦で旧帝国華撃団のメンバーがいなくなり、今は新メンバーがいるものの全然上手くいかず。帝国華撃団も落ちぶれたもんだな…という状況をどうにかするべく、旧メンバーであり"歌劇団"の支配人となっている神崎すみれが神山誠十郎を呼び、隊長に任命して立て直す、というものです。

この「落ちぶれたやつらがのし上がる」という話、けっこう好きなんです。他の作品などでもよくある流れですが、弱者の底力とか、明確な長所・短所があるキャラ同士が噛み合って目標を達成するとか、見ていて気持ちがいいんですよね。

本作も大体はそういう流れで話は進んでいくんですけれども、イマイチ努力と成果がつり合ってないというか、「え、あの努力量でもうこんなにすごいことになるの?」という違和感があったり、意外性や驚きもなく、かなり強引だったり唐突だったりする展開もあったり、毎度毎度似たようなことで落ち込んで、ある一言がきっかけで盛り返して…というのもたくさんありました。はっきり言って、陳腐でツッコミどころ満載です。

こう書くとつまらないんじゃないかと思われるかもしれませんが、強引な展開だけど面白いからまあいいかと許してしまえる勢いというか、エネルギーをこの作品からは感じられたので、「なんじゃそりゃ」と思いつつも楽しんで進めることが出来ました。

とまあストーリー全体としては概ね不満はありませんでしたが、終盤の超展開だけは物申したくなりました。幼少時の天宮さくらを助けたのが実は未来から来た自分だった、という話はなるほどなーと思いました。ただ、その直前でなぜかよく分からないけど突然タイムスリップするのはさすがに謎でしたね…。もう少し、もっともらしい理由や流れがあってもよかったと思います。前述した通り、自分はこういうめちゃくちゃな展開があっても勢いで受け入れてしまえたので深く突っ込まず許容しましたが、他の人は「なんだよそれ!」ってなったかもしれません。

そして世界観というか、用意されているゲームの設定についても気になりました。3月に発売された設定資料集を買って読んでいると、「え、こんな細かい設定まであるの!?」と驚かされたので、これだけ用意があるならもっとゲーム内に盛り込んで活かすことが出来たんじゃないのかと思いましたね。DLCでそれらを活かしたエピソードを配信など出来たんじゃないかなと。

■キャラクター

本作は魅力的なキャラクターがたくさん登場します。親密度を上げることで特殊な会話イベントが発生するので、自然といろんなキャラに話しかけたりキャラのことを知っていきます。

最終的にはどのキャラクターも良いキャラやなぁという感想に落ち着いたんですが、中でもいちばん好きだったのは、やはり天宮さくらですね。このゲームを遊ぶきっかけにもなったキャラでしたが、実際に遊んでみてもそれは揺るぎませんでした。他は西城いつき、本郷ひろみ、村雨白秋、神山誠十郎辺りでしょうか。

さくらはとりあえず何やっててもかわいい(暴論)し、服のデザインも水色とピンクで明るくて綺麗なのが良かったですね。また、声も好きでした。担当する佐倉綾音さんについては以前から存じてましたし聞いたこともありました(幻影異聞録シャープFEなど)が、本作を遊んで以降、より意識するようになりましたね。

ひろみは、のほほんとした性格と喋り方が気に入りました。いつきもけっこう好きでしたね。それで思ったのが、自分はこの2人のキャラデザインを手掛けたいとうのいぢさんの絵が好きなのかもしれないなぁと。話はそれますけど、これを機に「涼宮ハルヒシリーズ」に触れてみるのもいいかもしれませんね。

村雨白秋はまともそうに見えてときどきギャグを挟む変なキャラが好きでした…が、作中でそれほど目立たなかったのは残念でしたね。とはいえ後にアニメ版で大活躍してたので、今では特に不満はありません。

神山も基本的には真面目なキャラですが、選択肢次第で変人にもスケベにもなれるのが面白かったですね。

逆にイメージが悪かったのは上海華撃団のシャオロンとユイ。初見では口が悪くボロカスに言われるんですが、にこやかな表情をしてる3Dモデルも相まって、笑いながら罵られてるように見えて余計不快でした。勝利すると「認めてやるよ」といった感じで打ち解けてすっかり仲良くなるんですが、あまりにもあっけなさすぎてなんだか違和感がありましたね…。

敵キャラが少なかったのも残念でした。下っ端で早々に退場しそうな朧がずっと出てくるとは思いもしなかったので、「こいつ、いつまで生き残ってるの?」と。

■音楽

まずメインテーマが素晴らしいです。旧作の「檄!帝国華撃団」をベースにアレンジされ、シリーズ再始動という感じに仕上がっています。あまりにも気に入りすぎて、この1年間にもう何十回と聴いてしまいましたw それにしてもこの曲、改めて歌詞を見ると若干ネタバレに感じられる部分もあるんですが、大丈夫だったんでしょうか…w

ゲーム中で流れるBGMも良いものが多かったです。中でも「帝劇・夜のテーマ」は落ち着いていてずっと聴いてられます。後に知りましたがこの曲、旧作でも同様に夜の帝劇で流れていたようですね。

これだけ音楽を絶賛してるだけあって、サントラ(6月発売、執筆当初は発売予定すらアナウンスされてなかった)も当然買いました。よく聴くのは全体の1割ぐらいですけども…w

ただ、本作は隊員ごとにテーマ曲があるんですが、歌付きのものが流れるシーンがほとんど出てこず、印象に残らなかったのは残念だなと思いました。もう少し聴く機会があっても良かったんじゃないかなと。

■グラフィック・演出

さすがPS4と思わせる綺麗さなのと、設定資料集などのインタビューでも言及してましたが、シーンごとにこだわって作ったというだけあって演出の完成度は高いです。ただ、一部のキャラは3Dモデルが2Dイラストやムービーシーンと比べて「若干違うな…」とか「なんか着ぐるみのかぶり物みたい…」と感じることもあったので、そこはもうちょっと近づけたり上手くデザインしてほしかったですね。

■ゲーム内容

本作はアドベンチャーパートとアクションパートに別れています。アドベンチャーパートはその名のとおり、劇場や周辺の街などを動き回ってイベントをこなしたりいろんな人と会話したりして進めていきます。

団員たちとの会話ではLIPS(Live & Interactive Picture System)と呼ばれる時限式の選択肢が登場します。これは過去作にもあったもので、選択肢によってその後の会話の展開が変わり、それに応じて好感度が上下します。これがまた難しくて、キャラクターごとにどういう返し方をすればいいかが違うので、瞬間的にしっかり考えなければなりません。「こう言えば好感度が上がるだろう」と思って選んでも、意外な返し方をされて下がってしまい「えぇ…」となることも。また、明らかに下心満載だったり恥ずかしいセリフ、変なセリフの選択肢もあって、ある種のウケ狙いをすることも出来ます。中にはそれで好感度が上がることもあったり。ちなみにクリア後に知ったのですが、制限時間いっぱいまで放置してどれも選ばないという選択肢もあります。

そうやってアドベンチャーパートが終わるといよいよアクションパート。霊子戦闘機(りょうしせんとうき)と呼ばれるロボットに乗り込み、降魔(敵、魔物)と戦います。

システムはシンプルで、無双シリーズのような一般的な3Dアクションゲームです。旧シリーズはシミュレーションだったので、過去作とはここが大きく違うところです。アクション自体はそう難しくありませんが、ちょっと変わった感覚なので慣れるまで難しかったですね。特に空中にいる敵を攻撃するとき、ジャンプのスピードが速すぎるのと高すぎるため、敵と同じ高さで攻撃するのがやりにくかったです。(後にアップデートでロックオン機能の追加などがされたようです)

また、敵の攻撃をギリギリで回避することでスローモーション状態になり、その状態で敵を一気呵成に攻撃するというシステムがあります。これも他のゲームでもよくあるやつですね。タイミングがけっこう難しいので、自分はボタン連打で運よく避けることを狙ったりしてました…w

難易度は決して高すぎることはなく、少し簡単かな? という程度でした。一部のボスだけ少し強かったですが、他で詰まったところは特にありませんでした。なので、アクションが苦手な人でもあまり心配はいらないと思います。


■総括

全体的に練り込み不足を感じる作品でした。かなり頑張って作られたんだろうとは思いますが、2019年の作品であることを考えると完成度が高いとは言えません。

しかし、個人的にはキャラクターが魅力的で、音楽も素晴らしく、グラフィックも綺麗で、光るものがあって可能性を秘めた作品だと思っています。このままシリーズ再始動が頓挫してしまうのはもったいないので、ぜひとも続編を作って巻き返していただきたいですね。2の発売を期待してます!

※9月にサクラシリーズと銘打たれた「サクラ革命」が発表されましたが、もちろんそちらも期待しています!

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