氷を食べる女上司の話。
アタシは今、バーガーキングでランチをしている。
2コ得500円というキャンペーンをやっていて
お店もそこそこ賑わっている。
ふたつ右に座っている男の人。
サクサク、サクサク・・。
何かをサクサク食べている。
バーガーキングに「サクサク」する食べ物なんてあったかいな。
サクサク。
また聞こえてきた。
サクサク。
ポテトは太目だし、サクサクってこんな聞こえる?聞こえないよね。
サクサク。
あ~見たい。
サクサク。
見ちゃえ。
…。
サクサクの正体分かった。
それは「氷」
ドリンクのふたを開けて、氷をほおばってらっしゃる。
サクサク。
正解が分かって、すっきり。
こみあげてくる笑いとともに、ふと思い出したことがある。
その昔、女上司が、隣の彼よろしく氷をよく食べる人だった。
本当に、勤務中ずっと食べていた。
執務室の冷蔵庫に製氷トレーを持ち込み、氷を自作。
タンブラーになみなみの氷を入れて、
アイスコーヒーを注ぐのである。
それを日中ずっと食べている。
アイスコーヒーなのに食べている、のだ。
その時の擬音はサクサクではなく、
ゴリゴリって感じだったけど。
ゴリゴリ。
今日もゴリゴリ、明日もゴリゴリ。
好奇心からどうしてそんなに食べるのか聞きたいけど
聞いていいものか分からない。
ある時、部の飲み会があって、
そこでもアイスコーヒーに氷をなみなみ入れてゴリゴリ食べていた。
(飲み放題メニューにアイスコーヒーがある店をわざわざ探していたらしい、どんな執念だよ)
今日こそは、と酒の勢いに任せて思い切って聞いてみた。
「あ~、私、貧血なんだよね~」
それと氷を食べるのがどう関係があるのか分からなかったが、
曰く「貧血の人は氷が欲しくなるらしい」のだ。
なんだそれ。
と思ってみて調べてみたら、どうやら無関係ではなさそうだった。
氷食症(ひょうしょくしょう)
さらに笑いながら言っていた。
「冬場でも凍えて震えながら、氷食べてるんだよね~」
おいおい。
お願いだから病院に行ってくれ。