見出し画像

布団にもぐりつ

布団に潜りつ われは思ふ:
明日こそサウナの火を起し
わが身に至福を与えんやと、
歩みて、泳ぎて、洗ふた後に、
暮の紅茶に われを招かん。
篤き言葉で 労わんやと:
げに勇ましき をなごかな。
そなたを信じて やまぬものよ

- エーヴァ・キルピ –

フィンランドの女性詩人 Eeva Kilpi の詩の拙訳です。がんばっている貴女への応援歌。

Nukkumaan käydessä ajattelen: 
Huomenna minä lämmitän saunan, 
pidän itseäni hyvänä, 
kävelytän, uitan, pesen, 
kutsun itseni iltateelle, 
puhuttelen ystävällisesti ja ihaillen, kehun: 
Sinä pieni urhea nainen, 
minä luotan sinuun. 

—————————————

もう一篇
「犬が夜半に帰ってくる時」

犬が夜半に帰ってきて
いつもの場所に丸くなり
やがて眠りに落ちると、
犬の魂の暖かさがじわじわと
家中の部屋に広がっていく

Koira tulee illalla kotiin
Kun se kiertyy paikalleen
Ja nukahtaa,
Alkaa sen sydänlämpö levitä
Huoneisiin

コイラ・トゥレー・イッラッラ・コティーン
クンセ・キエルテュー・パイカッレーン
ヤ・ヌカハター
アルカーセン・スュダンランペョ・レヴィタ
フオネイスィーン

彼女の作品の中でもこの呪文のような響きの詩がいちばん好きで、諳(そら)んじられるようになりました。

以前14年間、犬を飼っていましたが、犬がやってくると、本当にラジエーターのように優しく部屋全体の雰囲気が暖かくなるのです。

フィンランド語はローマ字を読むように基本的にスペル通りに読みます。抑揚もアクセントも強くないその呪文のような感じがこういう詩の雰囲気に合うのかも知れません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?