Party(1984)


インド映画の巨匠と言っていいだろう、ゴビンド・ニハラニが80年代に作った群像劇。かなり面白かった。歌って踊るインド映画ではなく、インド版「ゲームの規則」と言っていい、インテリ階級によるほとんどヨーロッパ映画。

ある女性の文化人が開いたパーティに作家や劇作家、学者や大学院生が集まってきて、「夏の夜の夢」のような複数の恋愛劇を描きそうにもなるが、女性の目線でドラマが進行するのが興味深い。夫に相手にされなくなって半狂乱になりながら自分の老いを認識する中年女性、フェミニズムについての持論を熱心に語るが全くモテない若い女性、学者の道を取りやめたらしい若い美しい女性はパーティーの女主人に「お前はパラサイトだ」と言い放つ。社会の表には立てない女性がドラマの主役になる構成がうまい。硬くなりそうな話に、別部屋でチルしてる大学生の集団みたいなのが出てきて、what a feeling が流れる。突然アメリカの80年代になるが、インドはそんな雰囲気ではまだない、むしろヨーロッパの60年代みたいだという塩梅も面白い。

元は舞台劇らしく、いかにもそれらしい群像劇。撮影もほとんどリアルタイムらしいが、舞台の記録映像のようなものでは全然ない。部屋に閉じこもった女性のドアを叩く手のクローズアップ、細かい手の挙動を合図にしたはやいカットバック、ドラマの視点人物移動や、感情を発散する俳優の「タメ」の演出につかわれる長回し、どれも映画として効果的だ。

終盤におもむろに政治の話が顔を出し、この「パーティ」の裏で命を落としたかもしれないと囁かれるアムリットという人物が話の中だけに登場する。この暴力の挟み方がルノワールっぽい

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