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いたわりますか
大丈夫、大丈夫…
人は、無意識のうち、心の中でポジティブ・ネガティブにかかわらず、毎分300~1000の言葉をつぶやいているという。
中でも、ポジティブなフレーズには、自分にやり抜く力を与えることが
アメリカ陸軍の研究でも証明されている。
うまくいく人に共通する習性。
たとえば、営業のお仕事。断られることが日常の保険の外交員。調査によると、楽観主義傾向で上位10%の外交員は、悲観的傾向で上位10%の人たちより売上が88%多かったという。
こう聞くと「なんだ、ポジティブシンキングの話か」と思うかもしれないが
ちょっと違う。
いわゆるポジティブシンキングは、ネガティブ要素を考えないような概念。
しかし、ネガティブ要素を排除すると、全体の力も落ちるというのが最近の考え方。
ネガ要素も自分の一部であるため、ネガポジ揃って初めて力を発揮する。
大切なのは、ネガを排除せず、受け入れること。
では、ネガもポジも受容すればうまくいくのかというと、それだけではない。
テキサス大学で教育心理学を教えるクリスティン・ネフ准教授によると、うまくいくために大切な要素は「自分への思いやり」だという。
仕組みはこうだ。
自分を思いやっていると、失敗しても成功の妄想を追う必要も、改善の見込みがないと落ち込む必要もない。「やめときゃよかった」などと、できない自分を責めて後悔することもない。
自分を思いやることを「セルフ・コンパッション」というが、セルフ・コンパッションのレベルが高いと、自分が置かれている状況を客観的に見つめられる。
一方、自尊心のレベルが高いと、時に自分を偽り、欺き、自分にとって大切な意見に耳を貸そうとしなくなることがある。
現実を受け入れることは、自分を否定することになるので、臭いものには蓋をして、自分の価値を認めることばかりに執着しようとする。
自分大好き「ナルシシズム」と「自尊心」との間には密接な関係があるが
「ナルシシズム」と「セルフ・コンパッション」と間に相関関係は無い。
脳の検査で使うMRIで、自分を許している人の脳を見ると、他人を思いやるときに反応する領域が活性化していることがわかっている。
家族、友人、仕事のパートナー。良好な関係を保つのは、自尊心よりセルフ・コンパッションが優れていることは言うまでもない。
かつてみんなが気持ちよく歌い上げていた「♪ありのままで~」は、わかりやすい。
自然体の自分に満足していれば、人からも好かれる。自信過剰は他人に共感されにくい。
自分への思いやりを育むと他人への思いやりも増すことが神経科学の研究で
証明されている。
自分を許すことは、自信を保ち続けるより簡単。記憶を盛って書き換える必要もない。
実は、人間は「自分の良い評判を聞くこと」が好きであるのと同じくらい、「本当のことを聞くこと」も好きだ。
しかし、本当の話を聞くとショックを受けることがあるため、聞きたくない場合もある。一方、セルフ・コンパッションが強ければ、真実を耳にしてもへっちゃらだ。
「耳が痛い話」に無理やり耳を貸して、自分の糧にしようという姿勢はえらい。でも、ストレスが増える弊害もある。
自然体で聞けるのがいい。これからは、根拠の少ない自信を持つくらいなら、自分を思いやる方が「うまくいく」への近道かもしれないな。
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