アニメ「チ。地球の運動について」が面白い
久々の本記事投稿です。今回ご紹介するのは、10月からNHKで放送が開始されたアニメ、「チ。地球の運動について」。
以下、「チ。」と略します。
タイトルだけだと内容を想像しにくいですが、15世紀ヨーロッパを舞台に、地動説に惹きつけられた人々と、それに対峙する人々の話です。
筆者は昨晩最新話(4話)を見ましたので、そこまでの内容を含みます。
未視聴の方はご注意ください。
それではオタクによる紹介文を始めたいと思います。
1.キャラがいい
とにかくキャラがいい。12歳で大学への進学を認められるほどの神童である主人公・ラファウ、彼を地動説の世界へと誘うフベルト、ラファウの養父でかつて地動説の研究をしていた(フベルトの師匠でもある)ポトツキ、そして、冷徹だが子煩悩な一面もある異端審問官・ノヴァク。
4話から登場した代闘士・オクジーも、「生まれてきてすいません!」と連呼したり、「天国最高!早く行きたい」と据わった目・早口で呟いたりとかなりパンチの効いたキャラです。
ナナミン、尾形とCV津田健次郎さんのキャラに魅了されてきた筆者は、同じく津田さんが声を務めるノヴァクに興味津々です。
いきなり第一話でノヴァクが拷問を行うシーンがあり、筆者は震えました。でも良い声でいらっしゃる。
この作品は地動説側の人間たちの物語なので、ノヴァクは立ち位置としては悪役になるのですが、記号的な悪人ではなく「仕事だるい」「娘が待ってる」というような発言をしたりと人間味がある。
ノヴァクは「こいつらを苦しめてやるぜ」という人ではなく、「大切な娘が暮らす世界の秩序を守りたい」という思いで行動しているんですよね。
とても魅力的なキャラだなと思います。悪役を記号で終わらせない作品は信用できる。
2.予測不可能な展開
アニメ勢のみなさんは、キャラ紹介のページを見て、「ふーん、このラファウって子が主人公なのね。この子が自分の頭脳で無双していくのかな」とお思いになったことでしょう。
偉そうな口を利いていますが、筆者もそう信じて疑わなかったアニメ勢なので3話の展開には面食らいました。
何が起こったのかお話ししましょう。
主人公と思われていたラファウは、1話で地動説に出会い、2話で地動説を信じるようになり、3話でその研究がバレて裁判にかけられ、それでも地動説への思いを断ち切らず、拷問を受ける前に服毒自殺したのでした。
誰が想像できたでしょうか。
まあ主人公補正でどうにかなるだろうと思っていた筆者が甘かった。
真の主人公はラファウではなく、「好奇心」もしくは「知性」だったわけです。
この作品は特定のキャラの英雄譚ではなく、「知の継承」を描くものだったと気づいた時の衝撃といったら…。
3.深みのあるセリフ
「チ。」の舞台は15世紀ヨーロッパであり、地動説をめぐる人々の人間ドラマを描いているわけですが、セリフの内容は21世紀日本に生きる我々にも響くものばかり。
とくに印象に残ったセリフを2つ挙げましょう。
一つ目は、「不正解は無意味を意味しない」というセリフ。
この言葉は、フベルトからラファウに引き継がれたものです。
何かに取り組んで、その結果が芳しくなかった時、私たちは「全てが無駄になった」と思い詰めがちです。しかし、そうでもないのです。取り組んだことそのものや、過程にも価値があるし、自分にできなかったことは誰かが引き継いでくれるかもしれない。
「不正解」と断じられることを恐れがちな我々を励ましてくれるような、背中を押してくれるようなセリフです。
二つ目は、「君たちだって信じたいだろ?この世界は生きるに値する素晴らしい何かだと」(うろ覚え注意)です。
これは、オクジーたちが移送した異端者が発した言葉。
「この世界で幸福になれるのは、生まれた時点でその資格を持っているごく一部の人たちだけ。だから天国には希望しかない」と厭世的な気持ちになっていたオクジーにとって、この言葉はどこか目覚めさせられるようなものだったのではないでしょうか。
さて、オクジーがラファウから地動説を引き継ぐものになることは3話のラストシーンのおかげで読めたので、彼がここからどのように地動説と向き合っていくのか注目ですね。
そして、誰に引き継がれていくのか…
動く「地」球、異端者とされた者たちの「血」潮、飽くなき「知」の探求。
様々な「チ」を巡る物語から目が離せません。
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