「好き」の積み重ねが人を大人にする(?)
サムネは筆者近影。撮影者:高校時代からの友人。
これまで、自己紹介記事というのは書いてきましたが、自分の生い立ち?みたいなものを書いた記事は出していなかった気がします。というわけで、やってみましょう。
その前に、軽く自己紹介のおさらいを。
0.自己紹介
ペンネーム:水無瀬紫(みなせ ゆかり)
在籍:京都大学法学部4回生
趣味:読書、日本舞踊、ジム通い、着物さがし、ピアノetc
好きな食べ物:アヒージョ、おばんざい、日本酒、ザッハトルテ、苺etc.
美味しいものはみんな好きです
苦手な食べ物:脂っこい食べ物(肉の脂身や二郎系ラーメンなど。美味しいんですが胃が疲れます)
好きな音楽:ショパン、ドビュッシー、リストのピアノ曲。King Gnuや米津玄師さん、YOASOBIも好きです!
座右の銘:あたかも100万年生きるかのように生きるな(マルクス・アウレリウス「自省録」より)
推し:紫の上、七海建人、中宮定子、土方歳三、エリザベート(オーストリア皇后)、オードリー・ヘップバーン(多いしゾーンが広い)
憧れ:両親、北条政子、藤原公任(ほぼ唯一「こんなふうに生きたい」と思える人)
1.環境(周りの人々)
私の人格形成において大きな影響を与えたのは父と母、そして祖父でしょう。
この三人が無意識ながら与えた環境が、筆者を重度の歴史オタクへと育て上げました。
発端は祖父でした。
祖父は京大出身で、今は俳句教室をやっています。
幼いながらに、祖父が詠んでいる「俳句」というものに興味津々だった筆者。
祖父は筆者を
「よーし、まず百人一首を一緒に覚えよう!覚えたら、じいじと勝負だ!」
と沼に引き摺り込みました。そこからは早かったです。
百人一首の50番台に、女流歌人が並んでいるところがあります。
その中の一首に、私は目を止めました。
めぐひあひて 見しやそれとも 分かぬまに 雲隠れにし 夜半の月かな
そう、紫式部の歌です。
作者の紹介文に、もちろん「源氏物語」の名前がありました。
私は母に訊きました。
「この『源氏物語』っていうのはどんな話なの?」
「光源氏っていうかっこいい主人公が、色々な女性たちと恋愛する話だね」
「へぇなんか面白そう!」
当時、筆者は確か10歳ほど。若紫とほぼ同年代でした。
不健全ですね!
そこから「私も『源氏物語』を詠んでみたいよー!!」と駄々をこね、「ビギナーズクラシックスシリーズ」の源氏物語を買ってもらったのでした。
2.二人の「推し」との出逢い
かぶりつこうとする勢いで読む筆者。ある登場人物に惚れ込みました。
それが、紫の上。
彼女こそ、私の人生初めての推しです。
(※ちなみに、初めての推し(歴史上の人物ver.)もあとで紹介します)
推し(①)のココが好き!
・容貌は春に咲く桜になぞらえられるほど清らかで美しい
・和歌の才もある(才色兼備)
・血のつながらない娘を育てる優しさも持ち合わせている。
・それでいてとっつきにくいというのではなく、光源氏が他の女君(特に明石の君)と関係を深めると、ちょっとやきもちを焼く。
その嫉妬も決して見苦しいものではなく、どこか愛嬌がある。
完璧か。まあ、光源氏が理想の女性として育て上げたのですから当然と言えば当然ですけれども。
長らく「光源氏の一の人」と自他共に認めていたのに、女三の宮の登場によってその立場も心も乱されるものの、最後は娘や孫たちに囲まれ露のように儚く旅立っていく。
その幸福と不幸がないまぜになったような人生に筆者の心は掻き乱されました。
10歳のいたいけな少女が出会っていいキャラではありません。「脳を焼かれる」とはこういうことを言うのでしょうね。
何もかも持ち合わせ、それでも幸せとは言い切れないところも含めて、今も紫の上が一番好きです。「人の幸せって何なんだろう」と考えさせられます。
話を10歳ごろに戻すと、紫の上が好きすぎて、作中に出てくる紫の上の和歌を写経して、お守りのように持っていました。うーん恥ずかしい。
さて、では筆者の人生初の歴史上の推しは?
平安繋がりです。
ということで…藤原定子ですね。
いや、清少納言じゃないんかいという話ですが。
清少納言も好きです!ただ、枕草子に描かれた定子さまがあまりに…美しくて知的で優しくて、私もお仕えしたくなるほど魅力的な方で。
定子さまが出てくる小説を読んだり、和歌を書き写したり(また?)していました。
どうやら筆者は、憧れの人の和歌を写経する癖があります。
推しが紡いだ言葉を携えることで、その人になれるとでも思っているのでしょうか。
推し(②)の尊いエピソード
①
定子さま「私のことを大切に思ってくれているかしら?」
清少納言「ええ、もちろん」
(誰かがくしゃみをする)
定子さま「あぁ、あなたは嘘をついたのね。悲しいわ(当時はくしゃみ=嘘をついている、と考えられていた)」
清少納言「誰よ!!くしゃみなんてしたの!!」
②
中関白家が凋落し始めた頃、清少納言は交友関係の広さから道長側のスパイではないかと疑われたことがありました(ドラマでも描かれていましたね)。
流石の清少納言も、メンタルがブレイクしている様子。なかなか定子さまの元に戻りません。心配した定子さまから手紙が届きます。
手紙というか、山吹の花びらが一枚包まれていました。
そこには、
「言はで思ふぞ」とだけ記されていました。
これには元ネタとなる和歌があり、古今和歌六帖の
「心には 下ゆく水のわきかへり 言はで思ふぞ 言ふにまされる」
を踏まえています。
この和歌は、
「私の心の中には、表面からは見えない地下水が湧きかえっているように、口には出さないけれどあなたのことを思っています。その思いは口に出して言うよりも深いのです」
という意味だそうです。定子さま…🥲
定子さまの結末を知った筆者は、世の不条理を感じたのを覚えています。
オタクが二次創作をしたくなる気持ちがとてもよく分かりました。
伊周が花山院と揉めなければ。
道隆があと10年長生きしていたら(ああ、でもそれだと道長が権力者にならない=「源氏物語」も生まれない。オタクの葛藤です)。
一条天皇と仲睦まじく暮らす定子さまと、その様子を見守る清少納言。
これらを一通り妄想した後で、史実を読んで「ととのう」わけです。
これが、オタクにとってのサウナです。
3.オタクの行動力は、山よりも高い
エピソード①
オタクは、時にとんでもない行動力を発揮します。
筆者は日本史が好きなのですが、芸能や音楽などにも興味があります。
この二つのハイブリッド、すなわち日本の伝統芸能なんかはもう大好物です。
例えば、古典の沼にハマり始めたのと同じ頃に読んだ源義経の伝記漫画に静御前が出てきました。
もう話の道筋が見えてきたでしょうか。
そう、「白拍子」というものに夢中になりました。男装で舞う麗人。やはり小学校4年生が知ってはいけない扉でした。
義経と別れたのちに吉野山で捕らえられて、鎌倉へと送られることになった静御前。義経について取調を受けますが、白を切り続けます。
頼朝・北条政子夫妻から、「京都一の舞姫に、鶴岡八幡宮で舞を奉納して欲しい」とお願いされ、渋々ながら承諾します。
しかし、そこで折れる静ではありませんでした。
静はこのような和歌を口ずさみながら舞います。
吉野山 峰の白雪 踏み分けて 入りにし人の あとぞ恋しき
(吉野山の雪を踏み分けて行ってしまったあの人=義経が恋しい)
しずやしず 賤の苧環 くり返し 昔を今に なすよしもがな
(静、静と義経様が私の名を呼んでくれた昔を、今にするすべがあったなら)
そう。静は敵だらけの中、源氏の氏神に対して義経を慕う歌を歌ってみたのです。
これにはもちろん頼朝は激怒。しかし妻である政子が、
「石橋山の戦いの後、あなたの帰りを待っていたときは、今の静と同じ気持ちでした。義経殿の寵愛を忘れるようなら、貞女とは決して申せますまい。面白くない気持ちは分かりますが、ここは曲げて下さい」
と取りなしたことで、静は褒美を賜ったとか(「吾妻鏡」に記されています)。
この「女性としての、芸術家としてのプライド」のようなものに深く感動した筆者は、「私も静御前のように舞えるようになりたい」と妄言を吐き始めます。
しかし、流石に日本舞踊を習うわけにはいきませんでした。ピアノも習っていましたし、そろそろ中学受験の足音が聞こえていたからです。
火がついたのはわりかし最近のこと。
2022年の大河ドラマ…そう、「鎌倉殿の13人」がきっかけでした。
地元が舞台の大河ドラマということで筆者は大変盛り上がりました。
しかも、源義経役は大好きな菅田将暉さん。
もちろん、「静の舞」のシーンもありました。
静御前役の石橋静河さんはダンサーでもあるので、舞姿の美しいことと言ったらもう…。
歌声も自前というのですから本当にすごい。
筆者は画面越しに見惚れてしまいました。
下火になっていた静御前への憧憬の念が復調したのです。
そして決意しました。
「そうだ、日本舞踊を習おう」。
アルバイトでお金を貯めていたこともあってか、両親は「自分のお金から出すなら好きなことやりな。その代わり学業が第一」ということで認めてくれました。
ありがとうパパとママ。
そんなわけで日本舞踊を習い始めてから2年。
家から近いお教室でもあるので無理なく通っており、なんならお稽古の時間は癒しになっております。
実は先月から、静御前をモチーフにした演目「賤の苧環」をお稽古しています。
最近ようやく「しずやしず」のところまで辿り着きましたが、まだこれも中盤です。
知ってはいましたが、全体で20分近くあるかなり長い演目です。
お稽古が終わると汗だくになるので、かなりいい運動になります。きつい姿勢も多いのですが、それも含めて美しく見せなくてはいけないので、日々トレーニングをして体力と筋力をつけています。
エピソード②
過去記事をお読みになった方は察してくださるかと思いますが、筆者は『呪術廻戦』が大好きです(ハマってから一年弱の新入り)。
一推しは、「ナナミン」こと七海建人です。
だってかっこいいじゃないですか…クールに見えて実は情に厚く、それでいてパワーゴリラ(ギャップの3段攻撃)。
ちなみに、公式(ファンブック)で趣味は自炊だと書かれています。
この一言でオタクの寿命は延びる。
推し語りはこのくらいにして本題です。
去年の秋から今年の2月中旬まで、原宿で「呪術廻戦大交流展 渋谷事変」が開催されていました。渋谷事変は、七海さんの見せ場(血涙)でもあるので行く以外の選択肢はありませんでした。
たとえ私が京都に住んでいたとしても、です。
ほぼ「呪術廻戦」のために帰省したようなものです。ついでにホテルとのコラボにも行ってきました。推しは活力。(詳しくは、前記事参照)
5/23から京都のロフトで、呪術廻戦グッズ祭りが開催されているのですが、開幕から1週間のうちに2回訪問しています。もちろん推しのグッズ買い占めオタクをしています(お財布の許す限り)。
高専時代の推しと、大人になってからの推しを並べてニコニコしています。
さらに推し(二次元)に釣り合う人になるため、年末年始で肥えた体を戻すべく(+「賤の苧環」に耐えられる筋力をつけるべく)ジムに通い始めました。
そうはならんやろ(なっとるやろがい)。
近々ダイエット記事も書いてみたいなあ。
大したことはしていませんが。
体重よりは見た目に重きを置いており、その見た目がだいぶ変わってきました!
どんなトレーニングをしているのか、気をつけていることは何かなどを書きたいと思います。
「いつからこんなオタクになっちゃったんだろ…」と自虐することがままあるのですが、
物心ついた時からオタクでした。
三つ子の魂百までとも言いますし、潔くこの定めを受け入れましょう。
万年オタク生活、決して悪いものじゃありませんよ。
君もオタクにならないか?