「べらぼう」第1話感想
待ちに待った大河ドラマ「べらぼう」の第一話が放送されました。
良かった!!ざっくり項目ごとに分けて紹介していきましょう。
1.主人公がいい
まず主人公の蔦重がいい。
嫌な人に出会っても、「(長谷川=若き日の鬼平に向かって)鼻から屁が出る病になってしまえばいい」「(役人は)八丁堀のクソ」「(自分をいじめる人は)目からしょんべんが出る病になれ」など、クスッと笑えるような言い回しが好きです。
禿がだめにした本の弁償をしようとしない花の井に「けちくせえ~」と毒づきながらも、「朝顔姐さん(幼い蔦重に本や物語の楽しさを教えてくれた花魁)のための届け物」と言われたらなんやかんやで引き受けてしまう人情もある。
吉原の掟をガン無視する長谷川を、逆に良い鴨として取り込もうとするなど、切れ者でもある。
「人を呼ぶ工夫をしないのか」と老中田沼意次から言われたときの、目からうろこが落ちるような表情が秀逸でした。
次回は蔦重版・吉原細見の誕生でしょうか。楽しみです!
2.脇役が豪華
まず、田沼意次役の渡辺謙さんの存在感がすごい。たたずまい、オーラ、物腰、発声全てが完璧。
田沼が出てくるだけでぐっと重厚感が増しました。
花の井役の小芝風花さん。絢爛そのものな花魁衣装に負けない美しさ。花魁道中のシーンは、つややかな美貌に口がぽかーんとなってしまうほどでした。
厠の男(平賀源内)も、すこぶる早口で一癖ありそう。実際の平賀源内は「江戸のダ・ヴィンチ」と呼ばれたほど多才な人だったので、彼の活躍がどう描かれるかも楽しみ。
3.吉原の影から逃げない
森下さんの脚本ということで心配はしていませんでしたが、空腹に耐えかねた女郎による付け火や、死んだ女郎は裸(着物は剥ぎ取って売るため)で投げ捨てられる様子が映されたりと容赦が無い(褒めています)。
吉原を「夢の国」で終わらせず、そこに生きる女性たちの苦しみや悲哀も丁寧に描写されていました。難しい題材だったのに真摯に向き合っているのが伝わります。
インティマシー・コーディネーターの方も参加されているとのことで、安心して見られます。
「子どもに見せられない」という意見も一理ありますが、子どもって大河ドラマを見るものでしょうか?…いや見ていました。ごめんなさい(限界歴史オタク小学生)。
自己完結小芝居は置いておいて、花魁をはじめとした女郎たちの影の部分を知っておくのは大事なことだと思います。
花魁はその衣装の煌びやかさゆえに仮装したいという人も少なくないですし悪いことではありませんが、花魁を「華やかな人たち」「女子たちの憧れ」というだけで片付けてはいけないと強く思います。
「つらいけど飯は食える、それが吉原」「吉原に好き好んで来る女なんていねえ」という蔦重の台詞に全てが詰まっていたと思います。
4.面白い語り
語りを担当するのは綾瀬はるかさん。大火事から逃げ延びた九郎助稲荷の役で、様々な人に化けて江戸を解説してくれる模様です。
いきなりスマホが出てきたのは面白かったですが、江戸の町の構成をよく知らない私には親切設計でした。江戸時代中期は映像作品が少なく、見ている人も少ないだけに、「なにゆうてるかわからん」状態を避ける良い手法かなと思いました。賛否は分かれそうですがね…
と、歴史オタク的には満点に近い初回でした!
視聴継続を即決です。来週も楽しみ!