黒澤先生と楽しいフォークロア
狐者異
「ああ、いたぞ。克実君、君の足元にある網を取ってくれ」
押入れの天井点検口に上半身を突っ込んでいる人物の尻が俺にそう言った。こっちを見ずに網を受け取ろうとする手が宙を掻く。
はい、と俺は宙を掻いていたその手首をつかんで金属製の柄のついた網を手渡した。先生は網を天井裏に入れ、しばらくごそごそと天井裏で動いた後「よし」と呟いた。
「あの……先生?一体何がいたのですか?」
俺の隣にいる小柄な女性が不安そうにそう訊く。
確か先生の持つ講義の受講生──だったか。俺は先