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【同性愛】 だれにも言えない恋バナ
大学のときの仲良し同級生、4人が集まっての飲み会。
お互いが出会ってから早くも10年ほど。30代がもうそこに見えてきた私たち。お酒が入ると、話題はどんどんとプライベートなことに発展していく。
「みんな、最近どう?」
それぞれが口々に話し始める恋愛話。
いつになったら話そう、いつになったら話せるのだろう。
いつになったら、こんなにもドキドキしながら、気合を入れずに自分の話ができるようになるのだろう。
私は、お酒に酔いきれない頭で、ずっとそんなことを考えていた。
僕と君では何が違う?
おんなじ生き物さ 分かってる
でもね、僕は何かに怯えている
みんなもそうならいいな
パートナー、結婚、子ども
出会ったとき、みんな18歳だった。専攻が同じで、授業が必然的に同じになることから仲良くなった4人組。いつも一緒にお昼ご飯を食べて、4人で授業を受けて、キャンパスを移動していた。そんな日々から早くも10年が経とうとしている。
久しぶりにみんなで会おうか
そんなLINEがグループチャットに投げかけられて、4人で予定を合わせて会うことになった。新型コロナ禍でずっと直接会えていない分、それぞれの近況の変化など知らないことばかり。
居酒屋に行って、みんなでお酒を交えながら昔話で大笑い。そんなこともあった! あのとき講義に遅れるって走ったら、休講でさ! ゼミのメンバーで、あの子が一番早く結婚するとは思わなかったよね!
30代がもうすぐそこまで見えてきた私たちの話題は、昔話から自然と近況のことへと移っていく。
みんな、最近どう?
そんな一言から、それぞれが近況を話し始める。仕事のこともあるけれど、主にはパートナーや結婚のこと。
みんながそうなように、私も、仕事にセクシャリティに、自分の道に悩み続けて歩んできた。まだその道の途中だから、その道の最果てに辿り着くその日まで、私は自分に生まれてきたことを嘆きたくはない。
がむしゃらに生きて 誰が笑う?
悲しみ切るには早すぎる
いつも僕は自分に言い聞かせる
明日もあるしね。
やっぱり、言えない
A「大学時代に付き合ってた彼氏、覚えてる?」
「覚えてる!」「結構イケメンだったよね」「バイト先で知り合った人だっけ」
B「もう結婚を前提にお付き合いする年齢だから」
「そうだよね、」「結婚の時期とかも話してるの?」「相手もそういう感じ?」
C「結婚したら子どもが欲しいんだって」
「ってことは産休かー」「体力的には大変だよね」「そういえば、職場の同い年の同期もさ……」
私「好きな人がいたんだけどさ、」
「どこで出会ったの、職場?」「イケメンだった?」「初めて聞いた!」
話を続けていくと、相手が同性であることが分かってしまう。ここですべて言ってしまおうか、それとも。大学で出会った10年来の友だち。私の大切な友だち。みんななら、きっと私を拒絶したり拒否したりしない。でも、恐い。
10年も黙ってきた。ならばこのままいっそ、そのままで。
私も、人に言いたい。すべてをさらけ出したいほど、積み重ねてきた抱いてきた気持ちがたくさんある。少数派だから、共感は得られないかもしれない。同情なんて不要だけれど、同情を呼ぶかもしれない。反応を困らせてしまうかもしれない。気を使わせた付き合いに変わってしまうかもしれない。
お酒が入っていても、仲良しグループでも言えない。言いたくない。どうして。
得ては失う日々 意味はある?
伝わることのない想いもある
だから僕は時々 寂しくなる
私が、異性愛と変わらず抱いていた大切な想い。相手にすら、他の人にすら話したことのない想い。心のなかでずっと燃え続けていた確かな灯火(ともしび)。最後は自分で息をそっと吹きかけて、消火した灯火。その痛みを、苦しみを、愛しさを誰が知っているんだろう。
同情じゃなくて、共感が欲しいだけなのだけれど、いつも相手に気を使わせてしまう。私が打ち明け始めると、いつも場の空気がなんとなく固まってしまう。心のシャッターを目の前で閉じられる瞬間を目にすることもある。
でも、誰かを好きでいる気持ちに変わりはないと思う。いや、そう思いたい。自分が抱いていた気持ちが、否定されるようなものではないことを、私は知っている。でも、自信がなくて、支えてくれる物語や歌詞も少なくて、この気持ちを肯定してくれるものは、自分でよく探さないと出会えない。
街に溢れている光景のなかには、まだ全然見えてこない。
街に溢れている光景のなかに、異性と手を繋いでいるあなたを見たとき、それが「正しい」なんて思ってしまった自分が、自分で可哀想だと思った。
僕らは知っている 空への飛び方も
大人になるにつれ忘れる
限りある永遠も 治りきらない傷も
全て僕のこと 今日という僕のこと
でも、一番にあなたの幸せを願っていた自分の気持ちをちゃんと知っている。この日本で結婚ができる異性の相手と、好きな相手と結ばれたことに対して「おめでとう」と言える自分で良かったなとも思う。
あぁ なんて素敵な日々だ
誰かを好きでいる今日も
頬濡らし眠れる今日も
あぁ 嘆くにはほど遠い
狭い広い世界で
僕らは唄う
結ばれるも結ばれないもある
A「実は去年、別れたの。しばらく一人でいいかなって思ってる」
「5年付き合ってたんだっけ」「一人も楽しいよ」「きっとすぐまた良い人が見つかるって」
B「結婚したいとは思うけど、まだ結婚したくない自分もいる」
「ちょうど仕事が乗ってるときだもんね」「大学生のとき、世界一周とか行きたいって言ってなかった?」「絶対に結婚っていう時代でもないから良いじゃん」
C「実は、来年に結婚式を挙げようかと計画中で」
「え、おめでとう!」「結婚式、絶対呼んでよ!」「友だち代表で私たちスピーチとかしようか!?」
みんなもそうなら
少しは楽かな
僕だけじゃないと
思えるかな
それでも、希望は探せばあるかもしれない
A「私たちの専攻って女子ばっかりだったからさ、出会いがそもそもなかったよね」「わかる」「だからバイト先の先輩ねらったんでしょ?」
「でも私、女の子から告白されたことあるよ」「えっ!?」「だれ?!」「それは絶対に言えないけど、卒業式の日」「いや、でも分かる。女の子にモテそうだったもん」「今だから言えるけど、大学でスポーツ大会あったじゃん? あのとき、めっちゃカッコよかったよ」「それで、その相手とはどうなったの?」
冬に咲く花に
命が芽吹くよ
駆けるは 雪の大地
青すぎた春を
忘れずに居たいと
語るは 友との地図
駆けるは 人の旅路
いつだって、精一杯生きてきた。
自分の居場所を作ろうと、賢く隠すことも覚えて、でも、ちゃんと自分の気持ちに向き合ってきた。この気持ちは一体なんだろうと自問する日々にも、答えを見つけようと必死にもがいた日々も。自分を隠していた過去の私も、本来の自分に戻った私も。私に生まれたからこそ辿り着ける居場所を見つけて、さらには作り出そうとしている現在進行中の私も。
僕らは知っている
奇跡は死んでいる
努力も孤独も報われないことがある
だけどね
それでもね
今日まで歩いてきた
日々を人は呼ぶ
それがね、軌跡だと
もし次に好きになる相手が現れたら、私は絶対に想いを伝える。もちろん状況にもよるけれど、伝えなかったら伝わらないことは事実だから。
相手の気持ちは、こちらがいくら想像を巡らせても、本当のことは分からない。答えなんて出るはずがない。だから、これからは伝えるべきだと思った相手には、伝えようと思う。
勇気を出して伝えてくれたあの日の、あの子の告白が、今でも私の勇気になっているように。
ああ なんて素敵な日だ
幸せに悩める今日も
ボロボロになれている今日も
ああ 息をして足掻(もが)いている
全て僕のこと あの日の僕らのこと
4人で会って、分かったこと。みんながお互いの幸せを願っている。
みんな、幸せになれ。本当にそう思ってる。
だから、それと同じように、私は自分に思う。
私も、幸せになれ。
相手の幸せを密かに願ってきたように、今度は私が私の幸せを願おう。
そしたら、きっと、いつかそれが相手の幸せにつながると思うから。
僕と君とでは何が違う?
それぞれ見てきた景色がある
僕は僕として いまを生きてゆく
とても愛しい事だ
みんな、幸せに生きて!!
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いつも「スキ!」もコメントもフォローも、本当にありがとございます。
ただでさえ猛暑なので、よく食べて、よく寝て、よく笑って素敵なお盆をお過ごしください。