【劇場版 酒呑童子 十一組の刺客 第二章】を観に行ってきた。
こんなに寒いのに、冷たい夜風が心地よく感じるぐらい、心からあたたかい気持ちになっている。
これが、ただの仕事帰りなら、「寒い…早く家に帰りたい…」となっていたであろう。
しかし今日は違う。寒さも、過労による足の痛みも、全く不快に思わないし、嫌なことは全部忘れた。
家にも帰りたくなかった。家のドアを閉めて部屋に入った途端に、さっきの楽しかった時間まで閉ざさねばならない気がして。まだ楽しい時間に別れを告げたくなかった。
…これが余韻というものか。
だからもう暫く外に居たかったが、こんなご時世だし良くない気がして、真っ直ぐ帰った。
家のドアを閉めた瞬間から、その日のことが脳から蒸発していってしまうから、
蒸発しきる前に、なにか少し書いておきたいと思って、これを書いている。
帰り道、頭の中には「充足感」という文字がハッキリ浮かんだ。
ここ数年でもなかなか感じ得ていなかったような、すごい充足感を感じた。
こんな感覚になるのは、初めて一人でお笑いライブを観に行った時以来かもしれない。
あの日、終演後。会場の外へ出た時に吹いていた風、車の走る音、街灯、信号…見えるもの感じるもの、すべてが心に刺さって、景色にキラキラ加工が施された。
あの新鮮さ、ドキドキ感とかは、あの時にしか感じられないものだけど、今日はそれと同じくらいに高まった気がする。
シュテンドウジのネタ三本、ゲストのアゲインさんのネタ三本…ワクワクしながら観ていた。よく考えてみたら、ひとつのライブで同じ芸人さんのネタを三本も観れるって、あまり無いことだと思う。
企画のコーナー。超楽しい。今までにあるようで無いような、面白い企画。お二組も楽しそうにされてるので、より一層楽しいと感じる。平和な空間、平和な時間だった。
知り合いを引きずってでも連れていきたい、って冗談半分で思っていたけど、本当に引きずってでも連れてきたほうが良かったかも、って思うぐらい楽しかった。
シュテンドウジ、一生に一度は観なければ後悔するであろう。一生に一度、なんて言わず、早めに劇場で観るべき存在だと思った。
半ば強引にでも見てほしい存在。観てほしい劇場版。そこで漫才に魅せられてほしい。
…大袈裟に聞こえるかもしれないけれど。
少なくとも私は、シュテンドウジを観れる世界線に生きていてよかったと思っている。