だって、かわいいんだもん – ① みちのくいとしい仏たち
奈良・安倍文殊院の善財童子。
お団子ツインヘアにぷっくりほっぺ。胸の前で手を合わせ、ちょっと後ろを振り返る。
仏像って、かわいい。
そう思うのは、不謹慎だろうか。
でも、2024年1月末に訪れた『みちのくいとしい仏たち』展で、その価値観は決定的となる。
江戸時代、青森・岩手・秋田で地元の大工や木地師によって彫られた木像、いわゆる「民間仏」が勢揃いした展覧会だったのだが、会場である東京ステーションギャラリーは、あちこちから聞こえてくる
かわい~い
であふれていた。みな、心の声を抑えることができないでいる。
素材感、フォルム、表情、すべてが素朴で、抱きしめたくなるほど
いとおしく、見ているだけで気持ちがほぐれていく。
この『かわいい』と思う気持ちは、なんなんだろう。
改めて辞書で調べてみると…
うん、すごくしっくりくる。
目にする民間仏は、どれも邪気がなく、愛情を持って大事にしたい、守りたいと思わせるものばかりだ。それぞれのお堂でみなに大切にされ、愛され、かわいい、かわいい、と声をかけられ、ますますかわいくなっていったに違いない。
そして、展示の解説ワードや図録、グッズに至るまで、学芸員の方とこの展覧会に携わったすべての方々の愛情をひしひしと感じる。
もう、躊躇することはない。
仏像は、かわいいのだ!
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