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いざ帰り道

帰り際、
カレが急に寄りたいと言った神社も
立ち寄ってみた。

こちらは先程のお寺とは違い
参拝者はまばら。
というかそのうちに我々だけに。

本殿にお参りしたあとカレの希望で
社の後ろまでまわりこむ。

紫陽花の茎がところせましと生えている。
季節が違えば相当綺麗なはずだ。
あとで調べたらここの神社も紫陽花が
有名だとか。
梅雨の頃訪れてみたいものだ。

紫陽花の茎を眺めながら、

紫陽花の季節だったら、…
と言いかけたところで、、、

急にカレがワタシの前に回り込み、
ぎゅーっと抱き寄せられた。
そして、そっとキスをされた。

カレ?!
わざわざ、キスがしたかったのか?!
神様に見られないように社のうしろっかわに
まわりこんでまで?!

後ろにまわってもみられてるぞ。
こんなところでキスなんて罰あたりだぞ。

むむ?
そもそも境内でキスしたら罰があたるのか?
誰が決めた?
キス自体悪いことではない。
場所が神社だから?

いや、不倫のキスだ。それが悪い。
ならW不倫のふたりが神社を詣るのも悪い?
そんなことはないこともないはずもない?

もう何を言っているかわからない。

ワタシなんかがモニョモニョと
考えたところで答えはでない。

結局のところ、
神様にとって我々は幼稚園児みたいなもので
良し悪しなど全くないと思う。

幼稚園児が何をしようが、神はヨシヨシと
許してくれる。

神社で?キスがしたかったの?
えっちゃんと?
そぉかぁ。ヨシヨシと。

神の心は寛大だ。

ねぇ、寛大な神様。
どーか我々に罰をあたえないで。
そして、カレとずーとずーとずーと
一緒にいられますように。
そしてそして、ずーとカレのお尻の穴が
みられますよーに。お願い♡

お尻の穴とは?!
この場でなんてことを願う!?
あーあーカレよりワタシのが罰あたりか。

ま、幼稚園児だし、
おしりおしり♡と言っていても
おかしくもなく、かわいいもんか。

おら、おしりみたいぞぉ。
ほっほーい。
ぶりぶり~ぶりぶり~ω ω ω ω
てな具合に。

園児に罰は当たらない!
と、思う。

なんちゅーポジティブ園児。

それほどでもぉ。
ぶっらじゃー!

超絶ポジティブで、
クレヨンえっちゃんになりながら
社の正面に向かって歩いていると、
境内の建物の屋根に一羽の鳥がとまるのを
見かけた。

普段は見かけることがない鳥だ。
全体的に黒いが
所々赤い様子も見受けられる。

珍しい鳥だなぁとふたりで眺めていると、
鳥の方もチラチラこちらを見ている様子。

鳥の視野は広い。
こちらを直視はしないが、
向こう側を見ている様子で、
実はこちらを観察中。
鳥も我々の事が気になって仕方ないようだ。

🦜なんだ。このふたり。
さっきはこっそりキスをしてたな。
バレてないと思うな、見てたぞ。
中年男女が見つめ会い
抱きしめあってキスか。
その雰囲気、さては夫婦ではないな。
不倫か。
おそらくWだな。しらんけど。
ま、オトナはヒミツを守る!
だから今回は口外しないでおいてやる。

と言いたげに見えた。
イアーゴのように悪党鳥ではなく良かった。
※イアーゴ:ジャファーに飼われている鳥

むしろその鳥がイアーゴなら、
カレとワタシのふたりを
永遠に魔法のランプに閉じ込めてほしい。

なん万年もこすられることもなく
ランプの中に閉じ込められ続けたい。

ぎゅうぎゅうに詰められたい。
江ノ電の満員電車のように。

そんなことをぼんやり考える、
相変わらずお花畑全開脳なワタシだ。

我々の前にやってきた鳥は、結局のところ、
なんという鳥かわからず仕舞いだが、
記憶に残る鳥だった。

しばらく鳥を観察し、その場を離れた。

駅へ向かう途中なんとも気になるカフェを
発見。
カレが入ろうと提案してきた。
🧞お茶でも飲んでいくかい?

え?!まだ食べる?!まだ飲む?!
流石の食いしん坊のワタシも無理だ。
さっき境内の休憩所でお茶とお菓子を
食べてきたばかり。

でも、カレが言うのならと店内へ入ると、
夕方なのに大盛況。

待ち時間が大いに発生しそうな雰囲気。
時間も時間。
帰りを気にしなくてもいい独身同士なら
気兼ねなく入れるが、Wで既婚の身。
これは諦めるしかない。

それにカレは大の待ち嫌い。
言っておこう!あなたが待てるはずがない!

そう思うとあのGWの蕎麦屋の
超超超行列に並んだカレは奇跡だ。

あのカレが並ぶなんて…
今思うとあり得ない。
逆にゾッとする。笑

あともうひとつ。
カレってエピソード。

今回のいきなりカフェといい、
カレってこーゆーイキナリなところがある。

時々してくる急な提案。
突拍子もなくカラオケへ行こうと言ったり。
急に踊ろうと誘ってきたり。
この店いいかもと急に入ったり。

イキナリなカレ。

嫌いではない。むしろスキ。
そーゆーところも大好き。
もう全部スキ。
スッキスッキスキスキス。
クリティカルにヒットなほど好きだ。

結局どんなところも大好きなんだ。
これは病かな。
どうやらこの病治りそうもない。
つける薬もなさそうだ。
困ったなぁ。

待てないカレと困った病持ちのワタシは、
カフェを諦め、くるりと駅の方へ向かった。

しばらくホームで待っていると
往路同様の満員の江ノ電が到着。
乗り込むふたり。

車内では…
往路同様に腰に手をまわし
ぎゅーーーと引き寄せられる。

カレのしっぽらへんに身体があたる。
心も子宮もキュンとしてしまう。

ワタシもカレの腰に手をまわしぎゅーーー。

満員電車をいいことに
もっともっとくっつきあってしまうふたり。
困った中年男女だ。

ガタンゴトンとするたびにしっぽ付近に
急接近。

カレはスイッチが入ってしまったようだ。

復路のグリーン車ではキスとおさわりが
とまらない。とまらない。
もうとまらない。
いつぞやの新幹線を思い出す。

この日もキスだけにとどまらずおさわりも…
してきたな。

カレはなかなかのワルだ。
それを受け入れカレのをおさわりをする
ワタシもなかなかのワルである。

ワルでクズだ。ふたりして。

ワルでクズのワタシの持論。
指定券ありの車内で隣同士に座り、
夢中でキスする中年男女は
不倫に違いない。
これは間違いないと思う。
真っ黒クロスケだ。

鎌倉帰りのカレのしっぽ、うずいてる。
ピクンピクンしてる。
きっと近いうちに会いたいとお誘いが来る。
カレのことはだいたいわかってきた。
つもり。のつもり。

ワルでクズだけど、やっぱり純愛。

クセツヨなところも、
イキナリなところも、
ゴウインなところも、
キマグレなところも、
ヨクバリなところも、
ツンデレなところも、
ヘンタイなところも、
すべてすべてだぁいすき。

このまま二人が
すてきな世界を見つめて
あなたといつまでも

カレと魔法の絨毯にのって遠くまで
行きたい。
誰もいない遠くまで。

わーはっはっはっはっはっ

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