終わりの直前

これはダダダダーンが流れる前の話。
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ふたりは旅に出ることを決めた。

まさかそれがふたりにとって
終わりに続く旅になるなんて。
そんなことは想像もせず決めた。

旅に必要なものの受け渡しで
ワタシとカレは直接会うことになった。

駅で待ち合わせ。
ワタシが珍しく乗り換え降車駅を間違った。
いつもはそんなミスはしないのに。

慌てて次の駅で降りて折り返しだ。
到着が遅れちゃう。

カレのほうが早く到着していた。

スマホを操作しながら改札付近で
待ってくれていた。

普通にスマホをいじりながら
立っているだけなのに、
その待ち姿も素敵だ。
出で立ちに見とれてしまう。
毎度相変わらずのお花畑脳だ。

あー恋をしてしまっている。
芽生えてしまった恋心はなかなか消えない。

恋心 ひそやかに今 夜にはぐれたままで
時の迷路 まよいこんだ 愛を探してる

ワタシは恋ではなくカレの愛を探して
しまっている。
引き返せないところまできてしまっている。

愛を求めるように、目を♡♡にしながら
改札前に立つカレに近づく。

カレはワタシに気付き笑顔に。

ふたりで旅に必要なものを受け取りに行く。
それをカレに渡す。

その日の任務はそれで終了。
のはずが、もう少し一緒にいたいふたり。

カフェ？カラオケ？🍘？
カラオケっていう選択肢もあることに驚き。
普段のカレからは想像もつかない。
なに歌う？気になる！

そんなことを考えて地上を歩いていたら、
もう🍘の近くの駅ではないか。

ふたりでいたら、まぁそーゆーことに
なってしまう。求めてしまう。

🍘に吸い寄せられる。

入っちゃうふたり。

すごく短時間なのに入っちゃう。
３時間もいられないよ。

あ、空室あり。
ボタンをポチッ。
エレベーターでウィーン。
ピカピカ光るドアのノブに手を掛けて。

はいっちゃった。

いつものように求めあう。

ゴロンゴロンタイムで衝撃的な話を聞く。

今回の旅。
ワタシがかなり悪者になっている。
カレが旅立つための準備として、
ワタシを悪者にしている。
それはまわりから疑われないために。

疑われないためだと知ってもショックは
大きい。

悪者と一緒に旅？
鬼ヶ島に鬼と一緒に行く感じ？
鬼舞辻無惨と一緒に鬼狩り？

最悪だ。

まわりから疑われないために
カレは必死なのか。
しかし、そこまで？

心の底から悲しくなった。

無理矢理誘われた。
しかも行きたくない場所。
強引で突拍子もなく突っ走る性格のヤツ。

最悪だ。

まわりから疑われないためにカレは必死だ。
そこまで徹底的に？

悲しくて心が折れてしまった。

急に旅が楽しみではなくなくなった。
むなしくなってきた。
急にカレの前から消えたくなった。

だからうんとうんとカレに嫌味を言った。
嫌味と言うか本心を突きつけた。

ワタシは何なのか？
どういう存在なのか？
え？突拍子もなく突っ走る迷惑な存在？

てことは、今までの関係は？
身体だけの存在なのか？
身体だけの存在なんて悲しすぎる。

それなら、ワタシがカレに寄り付けない
ほどに悪者にしてほしい。
変人で、突拍子もないことをして、
突っ走る迷惑なヤツだと完全に悪者にして。
もっともっともっともっと悪者にして。

ワタシは将来カレと結ばれたい。
それを望んでいる迷惑なヤツだ。
うざい。煩い。消えろ。

ワタシにそう言いきってほしい。

ズタズタにボロボロにしてほしい。
再起不能にしてほしい。
もうカレのことが好きと言えなくなるほどに
息の根を止めてほしい。

あなたにとって迷惑な、
ワタシの恋心を殺して消しきってほしい。

ダダダダーン