旅の帰り
ふたりは二日間の旅を満喫できた。
今回の旅は、観光だけでなく、
特に食事にもこだわった。
こだわりにこだわった結果、
グルメなカレも大満足してくれたようだ。
よしよし。よくやったワタシ。
旅程を考えてくれてありがとう!
と心から感謝された。
カンシャエイエンニ!とまで言わしめた。
カレは三つ目のエイリアンだ。
だとしたら~、
UFOキャッチャーにいたら、カレだけ狙いで
いくら課金してでもお持ち帰りしたい。
そして奥さんの元にはかえさないぞ!
な~んて。
ま、喜んでもらえただけでワタシは嬉しい。
練った甲斐があった。
さぁて、帰りの列車。
この中でも話し合いは続く。
ふたりは寝不足なのに眠らない。
結果、数時間ずーと起きていた。
寝不足なのに、中年なのに、
なかなかしぶとく強いふたりだ。
二人掛け席に隣同士に座ったふたりは、
周りを警戒しながらも大胆にイチャイチャ。
窓を覗き込む振りをして、キスをしまーす。
と、カレの解説ありのチュー。
あーぁ、目も当てられない光景だろう。
中年不倫カップル確定の行為に違いない。
いやいやいや、
これはただのイチャイチャではない。
手を繋ぎ、キスをしながらの話し合いだ。
え?これは話し合いなのか?!
そう、ふたりはいたって真面目だ。
正真正銘の話し合い。
過去には職場のソファーに腰掛け、
真っ裸で真面目な話し合いを
したことがある。
専らはだかシチュエーションには
強いふたり。
真っ裸でも話し合いに集中できる。
これはふたりの強みかもしれない。
こーゆー面接でもあるなら、
この強みをつよく主張できるだろう。
(どこの?何の?どんな面接だ?ナイナイ)
今回は車内。勿論真っ裸ではない。
服も着ている。真面目な話し合いだ。
話し合いの内容まとめると、
カレからのワタシへ、気持ちが
伝わっていないことが不安と不満に繋がる。
もう少しカレからワタシを想う言葉が
どんなかたちでもあればありがたいのだ。
ふたりは家庭がありながらもこの関係を
続けるワル(WARU)でクズ(KUZU)なやつ。
通称WK(頭文字をとってみた)。
なんか昔宮迫がこんなユニットやってたな。
それだけではワタシは満足がいかない。
WKだけなんていやだーーー!!
WKだけでなく、JIがほしいのだ。
はははーん。
まるでダイゴのようになってきている。
頭文字会話。ウィッシュ。ウィッシュ。
はーい、早速伝わらない。
JIとはなんですか?
とすかさずカレに質問された。
JIは、、、
純愛(JUN I)のことです。
・・・・・。
ハハハ。
カレに笑われた。
笑われてしまったが、ワタシは本気で
純愛を求めている。
純愛を求めると破滅の不倫だが、
ワタシが目指すは不滅の不倫だ。
相手のことが好きで思いやるという
その気持ち。
それだけ満たされる。
お花畑脳の典型か?!
カレがワタシのことを好きだという
気持ちがあればこの関係は永遠に
続くだろう。
なぜならば、ワタシはカレにゾッコン
だからだ。
カレはワタシがカレに飽きる。
もしくは、共通の話題(知人)が(い)なくなり、
話題に尽きて関係が終わる。
と、想定しているようだが、、、
ワタシはちょっとやそっとでは飽きない。
カレは夫婦間は子どもという共通の話題が
あるから続く。
我々は徐々に共通の話題がなくなるから
続かない。と言うが、
共通の話題がないと続かないなんて、
それは続けることを共通の話題に託し、
なんとか共通の話題でひっぱり、
ひっぱり綱引きを頑張っているから、
なんとか続くという状態なんだろう。
と思う。
JIがあれば共通の話題なんて不要だ。
共通の話題でひっぱり綱引きを無理に
続けなくてもよい。
というのがワタシの勝手な見解だ。
それにしても、
離れる選択肢にもカレの意見はない。
ワタシに主体性があるところに納得が
いかない。
カレとしての意見はどうなんだろうか。
気になる。
気持ちを整理していて気づくこともあるな。
あ、思い出した。
カレからの手紙に書いてあった。
ワタシが何でも一番、一番を求めると
workとprivateのバランスが崩れ、
潮時だと感じる。と。
カレの終わりはそれか。
ワタシが一番であることを求めるため
無理難題を言うこと。
あの日、そうだったように。。。
会えない日にどうしても会いたい!
とワガママを言った。言いまくった。
それだ。
しかし、それを越えて今に至る。
あの時別れたままにしておいたら良かった
のかと考えることもある。
と、彼はツインルームで言った。
でも、結果は別れられなかった。
離れたくなかったのだ。
それはふたりとも。
夜の話し合いにおいてもなお
別れられなかった。
またもやふたりとも。
きっと我々はWKだけではないのだ。
それは、カレにもJIがあるからこそ。
だと信じたい。
しかしながら、JIだけではいかないのが
現状。
だって、既婚者同士だもの。
この世のルールを逸脱した関係である以上、
我々はワルでクズなのだ。
WKとJIの両方を所持してやっと
我々の完成形となる。
これが不倫でなければ、JIだけなのに。
カレを堂々と愛することができるのに。
悔しい。
悲しい。
虚しい。
まぁウジウジ言ってても仕方ない。
現状を受け入れて、
今の最善を尽くすしかない。
ワルでクズと純愛の両立。
それには覚悟も必要です。
と言われた。
覚悟。
かくご。
カクゴ。
KAKUGO。
CAKUGO。
重い言葉だ。
この世のルールを守る覚悟。
つまり家庭を守る。という覚悟だ。
ワタシにとって必要な覚悟は、
家庭を維持し続ける覚悟。
これが一番重い課題だ。
家庭の維持は子どもたちのためなら!
とできるが。
夫のことを子どもたちの父親としか
思えないこと。
ワタシは、
これをどう受け止め、受け入れるか。
彼も同様に、妻にトキメキや愛おしいという
感情はなく、家族というチームの一員。
と、Dragon Ashの人の叩かれた一言のような
発言をする。
カレはどのように受け止め、受け入れて
いるのだろう。
トキメキや愛おしいという感情がない
ということ。
あんなに過去には大好きだった夫のことを
もう愛おしい存在だと思えないこと。
子どもたちの父親としてしか
大事に思えないこと。
心に重りがのし掛かる。
この重り、ワタシには辛く、苦しく感じる。
カレはどのように上手に昇華させている?
ときめかないことを、愛おしくないことを
どう心に落としている?
それに対する申し訳なさは?
全ては子どものためと割りきっている?
と、だらだら考えてしまうワタシ。
だらだらしていたら灰になる?!
Drag on ash