ガイドブックには載せられない、ニース旅行で驚く10のリアル事情!
南仏コートダジュールのリゾート地ニースといえば、美しく青い海と空、恵まれた温暖な気候、華やかなカーニバルというのがガイドブックの決まり文句ですが……
ここでは在住者の視点から、そのリアル事情を暴露します! 旅行でニースを訪れる方、ガイドブック通りの美しいイメージを壊されたくない方は、ブラウザの「戻る」ボタンで戻られることをおすすめします。
それでもあえて、真相を知りたい方は以下にお進みください!
1. アルプスを越えると、そこはアフリカだった
ナポレオンは「ピレネーを越えると、そこはアフリカだった」という名言を残していますが、「アルプスを越えてニースに来ると、そこはアフリカ」です! フランスの地中海沿岸という土地柄、アフリカ、特に北アフリカ(フランスの旧植民地だった、モロッコ・チュニジア・アルジェリア)からの移民の多いこと。街を歩いていると、「ここってフランス?」と首をかしげたくなるかもしれません。おいしいケバブやクスクスが食べられるだけでなく、窓を全開にした車のカーステレオから大音量で流れてくるのは、こぶしの効いたアラブポップスです。歩いていたおじさんのスマホの着信音がアザーン(イスラム教の礼拝の時間を知らせる呼びかけ)だったのには驚きました。
2. ドッグフレンドリー過ぎる街
ニースは飼い犬が大変多い街です。晴れた日が多く、犬の散歩にうってつけなのでしょう。観光エリアや大通りは、市の清掃車と散水マンが毎朝水をまいてきれいにしていますが、その他の道は……犬のトイレです! しかも、歩道のど真ん中に堂々と! 歩きスマホやウインドウショッピングは危険すぎてできません。一応、犬のフン放置は罰金の対象なのですが、取り締まっているところを見たことがありません。夏の間は雨がほとんど降らないため、小の方もニオイがすごいことになります。日本の犬の飼い主マナーを輸入したいくらいです。
3. 水道水は超硬水
蛇口をひねればコントレックス(フランスの超硬水ミネラルウォーター)が飲めます(笑)というのは冗談ですが、ニースの水は石灰分の多い超硬水です。ホテルにバスタブがあっても、肌と髪がよほど丈夫でない限り、長風呂はしない方が無難です。フランス人はシャワーしか浴びないというのが納得できる水質で、肌はカサカサ、髪はパサパサになります。ちなみに石灰で真っ白になる水回りのお掃除には、酢を使います。
4. ベストシーズンは夏以外
大抵のビーチリゾートでは夏がベストシーズンですが、ニースの夏、7月・8月は、暑い・混雑する・高いのデメリット3点セットで、おすすめできません。日本の夏より湿度は低くても、海からの湿った風で湿度は80%を超えることもあり、日射しが強烈で日なたの暑さは容赦なく、天気予報で30℃でも体感温度は+5℃、日なたではそれ以上とかなり暑くなります。炎天下のビーチで過ごしたり、街歩きをするのはきついです。特にアフリカから熱波が来ると、35℃近く、体感温度は40℃近くと耐え難い暑さになり、外にいると熱中症や脱水症状など体調にもかかわってきます。また7月・8月にはニースでバカンスを過ごそうと、世界中から旅行者が詰めかけ、大変混雑します。旧市街は夏休み中の原宿・竹下通りのようで、100mを歩くのに何分もかかります。観光スポットや飲食店は混雑で殺気だっていて、観光客向けではないお店(地元のカフェやパン屋など)はバカンスで閉まるところもあります。そしてホテルなどの宿泊費は閑散期の約2倍、日本からの航空券代も跳ね上がります。海水浴を楽しまれたい方には、バカンス客のピークを避けて暑すぎない6月か9月がおすすめです。海水浴をしなければ、10月~5月も比較的暖かく晴れの日が多いので、混雑を気にせず落ち着いてじっくり観光を楽しめます。
5. ニースのAirbnbの実態
お手頃な価格で、暮らすように滞在できる旅行者向けアパート賃貸サービス、Airbnb。最近は利用される方も多いと思います。ニースのAirbnbの多くは、9月~5月頃は学生向けの家具付き賃貸アパート、学生が実家に帰ったりバカンスで留守になる6月~8月頃は、旅行者向けに、普段の月額家賃相当を1週間の宿泊費として貸します。つまり、約4倍! 基本は学生用の物件なので、価格の割に設備がショボかったりします。また、リーズナブルなAirbnbの多いニース・ヴィル駅周辺は治安がよくありません。
6. 海沿いなのに、魚介類がおいしくない
ニースはかつて漁村でしたが、漁業は廃れてしまいました。わずかに残る漁師が獲る魚介類は、高値で高級レストランやコネのあるレストランに引き取られます。あとは、他の地方からの冷凍輸送品です。ニースの観光エリアで北フランス産の冷凍ムール貝を高値で出しているレストランは、まさにぼったくり。イタリアに行けばニースの半額でおいしくて新鮮な魚介類が食べられます。
7. フランスとイタリアのいいとこ取り・悪いとこ取り
イタリア国境に近く、19世紀にフランスになる前はサルデーニャ王国(現在のシャンベリー、ニース、トリノを結んだ範囲と、サルデーニャ島)だったニースは、良くも悪くもイタリア色の濃い街です。旧市街はまさにイタリア。ピザとジェラートを食べながら、赤や黄色の街並みを散策するのは楽しいです。
フランスと言えば、おいしいバター! イタリアと言えば、おいしいオリーブオイル! ニースではその両方を堪能できます。名物料理はピザやパスタなど、ほぼイタリアンです。
そしてこれもイタリアっぽいのですが、お店でお釣りを間違えられるのは日常茶飯事。ごまかされていると思っていましたが、店員さんにあまりに悪気がなく、不注意のようです。お釣りを多くもらっても、「それくらいいいから取っておいて」と言われる始末。テキトーさが、まさにイタリア。
8. 観光客は絶好のカモ
事情や相場を知らずに、高値でも払ってくれる観光客はナメられています。観光エリアの飲食店は、値段の割においしくないところもあり、味の違いは分からないだろうとテキトーな料理を出し、接客も観光客仕様。リピーターになるわけでもなし、Googleマップなどで悪いレビューを書かれても弁解の余地あり。ミシュランガイドの覆面調査員が来たらどうするんだろうと思ってしまいます。観光客向けのお店でなくても、外食費はイタリアの約2倍です。ニースでは外食はほどほどにして、イタリアで本場のイタリアンをリーズナブルに味わうのがおすすめです。ニースから電車で1時間で、イタリアに行けます。
9. スリに注意!
イタリアよりは少ないですが、混み合う市場や観光スポット、トラムやバスなどで、スリが多発しています。スリは年中いますが、観光客の増える夏場は、スリのかきいれ時なのです。
10. それでも海は青かった
ガイドブックには載せられないリアル事情を覆すのが、ガイドブックの写真どおりの美しい海です。地形と太陽の光と空気が生み出す独特の海の色合いは、ニースでしか見られません。旅行前に上記9つの点を知っておいて、海沿いと観光エリア、大通りを見て回る分には、がっかりすることもそれほどないと思います。もしがっかりすることがあったら、海に流してしまいましょう!
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