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日本の平面直角座標系をやさしく解説

日本では、国土の測量や都市計画、建設工事などに使用するための「日本の平面直角座標系」が存在します。これは、日本の国土全体をカバーするために、国土地理院が定めた特別な座標系です。



1. 日本の平面直角座標系の特徴

  • 日本の国土を19の座標系(系番号)に分割

  • 測地基準として「世界測地系(JGD2000, JGD2011)」を採用

  • 各地域ごとに異なる「原点(基準点)」を設定

  • 直角座標系(X, Y)を使用(通常の直角座標系とは軸の向きが異なる)


2. 19系に分割された座標系

日本の国土を効率よく測量できるように、東経によって19のエリア(系)に分割されています。
それぞれのエリアには「系番号」が割り当てられており、それぞれの系ごとに異なる原点が設定されています。

※引用元:国土交通省 国土地理院HP

系番号  中央経度(°)  主な対象地域

  • 1系 129°30′ 長崎県・佐賀県・福岡県西部

  • 2系 131°00′ 福岡県東部・大分県・山口県

  • 3系 132°10′ 島根県・広島県

  • 4系 133°30′ 香川県・愛媛県・岡山県・鳥取県

  • 5系 134°20′ 兵庫県・徳島県

  • 6系 135°00′ 京都府・大阪府・奈良県・和歌山県・兵庫県東部

  • 7系 136°00′ 石川県・富山県・福井県

  • 8系 137°00′ 岐阜県・愛知県・静岡県西部

  • 9系 138°30′ 長野県・山梨県・静岡県東部

  • 10系 140°00′ 茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県

  • 11系 140°50′ 千葉県

  • 12系 142°00′ 東京都・神奈川県

  • 13系 144°00′ 北海道西部

  • 14系 145°00′ 北海道東部

  • 15系 146°00′ 北海道北部

  • 16系 142°15′ 沖縄本島

  • 17系 127°30′ 宮古島

  • 18系 124°00′ 石垣島・八重山諸島 19系 131°00′ 北海道の稚内周辺

見逃しやすいのですが、 福岡県は2系、3系が混ざっています。


3. 平面直角座標系の座標の計算方法

通常の直角座標系(x, y)とは異なり、日本の平面直角座標系では以下の点に注意が必要です。

  • 原点は各系ごとに異なる

  • X軸は南北方向(経度方向)

  • Y軸は東西方向(緯度方向)

  • 測量座標の原点は地理的な中央経度(上記の表の「中央経度」)を基準にする

(1) 変換方法

緯度・経度(φ, λ)から平面直角座標(X, Y)に変換するには、ガウス・クリューガー投影(正角横メルカトル図法)を使用します。
変換式はかなり複雑ですが、国土地理院の公開している変換ツールを利用すれば、数値変換が可能です。


4. 平面直角座標系の用途

この座標系は、日本国内での測量や建築設計、土木工事、地理情報システム(GIS)などに広く使われています。

(1) 測量・地図作成

国土地理院の地図や、GPSを活用した測量などで利用されています。

(2) 土木工事・都市計画

  • 道路や橋梁の設計

  • 鉄道や建物の施工計画

  • 河川の管理や防災計画

(3) 災害対策・防災

  • 地震や津波の被害予測

  • 洪水ハザードマップの作成

  • 土砂災害の危険区域の特定


5. 世界測地系との関係

かつて、日本では「日本測地系(Tokyo Datum)」を使用していましたが、現在は国際的な基準である「世界測地系(World Geodetic System, WGS84)」に移行しました。

日本の平面直角座標系も、現在は「JGD2000(2000年版)」や「JGD2011(東日本大震災後に更新)」といった世界測地系に基づいた座標系を採用しています。


6. まとめ

  • 日本特有の平面直角座標系は、国土を19の系に分割して定義されている。

  • 各系ごとに異なる原点と中央経度を基準に座標を計算。

  • X軸は南北方向、Y軸は東西方向と定義。

  • 測量、建築、都市計画、災害対策、GPSシステムなどで活用されている。

  • 現在は「世界測地系(JGD2000/JGD2011)」を基準にしている。


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