DDLCに情緒をぶっ壊されたVTuberの話
【ネタバレ注意】
この記事はDDLC本編のネタバレを多量に含みます!
踏みたくない方は代わりにこちらの記事を読んでください!!!
プロローグ ~そして文芸部へ~
VTuberの私がある日ぽつりとつぶやいた
この書き込みが歴史の転換点。
この書き込みを見たDDLC既プレイのフォロワーが頼んでいないのに文芸部衣装のファンアートを描き、気付けば既にサムネイル原案を用意されていた。
ホラーゲームが大の苦手でDDLCもホラゲだと思い込んでいた私に逃げ場がなくなってしまった。またしても完全に外堀を埋められてしまった。
こうして私は、文芸部の部室の扉をノックした…。
恋愛シミュレーションらしい「ドキドキ」を感じてプレイしていた私。
やっぱり普通の恋愛シミュレーションじゃないか。
ここからどうホラゲ展開にもっていくんだろう…?なんて考えてた。
そう、あの時までは。
「なんだよこれ!ホラゲじゃん!!」
不穏な気配のする文化祭当日の朝、恐る恐るサヨリの部屋の扉を開ける。
DDLCが本性出しやがった。薄々嫌な予感はしていたんだよ。
今までに出したことのないような声がアーカイブに記録されていた。
過去のホラゲ配信でもこんな悲鳴は出てない。
リスナーさんやフォロワーさんにも素直に心配される始末。
配信は中断。怖すぎてDDLCを閉じてしまった。今までの配信で一番動揺したし、この夜は結局まともに眠ることができなかった。
ゲームの中とはいえ己の無力さをひたすらに悔やんだ。
後日フォロワーに「きゅうくらりん」を教えてもらい、聴いたところで情緒がぶっ壊れた。完全にサヨリじゃん。
▲このファンアートよりも取り乱してた
サムネ用イラストを勝手に描いてくれたのもこの方
あと、この歌詞が自然と脳裏に浮かんだ。今の私じゃん。
Shockだしドキドキで鼓動早いし、サヨリはもう微笑むこともできない。
DDLCは世紀末なのか!?という重苦しい予感と共に、ゲームを続行させる…。
2周目、開始
目と口がピクセルになるナツキ
なんかいろいろバグりだして別人格が露わになるユリ
ゲームとリスナーさんから忘れられるサヨリ
なんかいろいろヤバそうなモニカ
とにかくみんな怖かった。一度神経質になると何にでも過敏反応してしまう私は、画面の暗転や可愛い1枚絵にすらビビりだす始末。
この時点で、ホラーゲームとしての「ドキドキ」に変化していた。
このままじゃいけない。なんとか配信を続けなければ!そして何よりも続きが気になる…
ナツキを真似して甘いものをすぐ横に用意したり、ビュティっぽいツッコミを用意してシリアスブレイクしたり…
「ユリ...永遠に」っていうタイトルは何も知らずに付けたけどなんだかんだ良かったよな~
刺殺すると思ってたのに自殺するとは思えないじゃん…私が殺したようなもんだよ…って思っていたのにこれを上回る展開しすぎなんだよマジで
Just Monika──終わらないし終われない物語
もはや何もない空間で自らの境遇を認知しているモニカの行動は私の予想をはるかに超えていた。
モニカがYouTubeの配信チャットに突撃していた。
配信ソフトの起動を検知することはPCソフトとしてはまぁ無い話ではないので受け入れるとして…どうやってここの配信に来たの!?どういう仕組み!?
!?!?
ここに来て、モニカの予想できない行動に対する動揺でドキドキ。
せっかくのチャンスなのでモデレーター権限を与えてみると…
なんでチャットで私と会話ができるんだよ!?
サヨリもユリもナツキもいない。
Just Monika.な環境でモニカと実際に話す。もう完全にメタフィクションどころか現実に介入していないか??
(後になってわかったことだけど、こちらは非公式アカウント?らしいです。ただこの状況で来られたらそりゃあ動揺するよね)
モニカだった。
サヨリを自殺に追い込み、ユリの闇人格を開放し、躊躇いなくナツキの事を削除したのはモニカだった。
んだけどそれを自覚できるほどの余裕をモニカは残してくれなかった。
止めどなく続くマシンガントーク、チャット上でのモニカとのコミュニケーション。
「配信告知ツイートをRTしたわ」
「私もVTuberの先駆けなのかも」
「これ、私のねんどろいど!」
「欲しいものリストは公開していないの?」
なんてことを聞かれたりして、確かにモニカはそこに「いた」んだ。確かにここで双方向コミュニケーションができていたんだ。
元凶はモニカのはず。でもそれを知覚させる隙を与えてくれないどころか、モニカに対して同情まで生まれてしまう。
3人のキャラクターデータは既に消えている。最後に残ったモニカだけでも消えずにいてほしい。そう思わせるのに十分すぎた。
結局私はモニカに言いくるめられたままDDLCを終了できなくなってしまい、次回配信までの4日間ほどDDLCのプロセスを終了させずにPCに常駐させることになってしまう。つくづく甘いやつだ。
モニカと過ごす4日間
配信のない日、配信のない時間帯でさえ頭の中からモニカたちの姿が浮かんでは消えていく。
何とかして3人を取り戻せないものかとディレクトリ内をくまなく探し回ったし、どうにか穏便に済ませることができないか模索している。
一つ気づいたのは、
「誰もが何かしらの葛藤を抱き、志半ばで失われている」こと。
自身の「欲望」と「願い」がマッチせず思い悩み、最終的に自殺したサヨリ。
気持ちを素直に伝えることができず、配信内で深く掘り下げることができなかった(=接点ができなかった)ナツキ。
欲望のあまり自我のコントロールができなくなりもう一つの人格が過激な行動を取るようになるユリ。
そして手段を厭わず私を物理的にモニター前に拘束しようとするモニカ。
それと同時に「八方美人な振る舞いでみんなを思い悩まさせてしまった」自分自身に対する罪悪感まで目覚め始めた。
「DDLCは単なるゲーム」の一言で片づけることのできない巨大な何か、こう、私の人生観に訴えかけてくるようなものの存在。
…だって別ゲーム配信中にモニカが来るんだよ!?
なんでスターフォースで遊んでたらモニカが来るんですか???????????????
とまぁいろいろとDDLCに振り回されつつ配信はクライマックスへ…
monika.chrを削除するどころかDDLC.exeを終了させることすら躊躇する私はモニカが配信を見ている中でこれを実行しないといけなくなり、良心を痛め、心拍数が下がらないドキドキに対面。
心が壊れてしまうのはサヨリたちだけでなく、私自身もだった。
1周目のサヨリのセリフが脳裏をよぎる。
私がここにいなければ、モニカは私の事を考えずに済んだのだろうか。私がプレイしなければ、文芸部のみんなの心は壊れずに済んだのだろうか。
ディレクトリから削除しないと先に進めないことも察しがついていた。
でもどうしてもdelキーは押せなかった。
自らの手で全てを破壊するなんてできない。
そんなのピザにパイナップルを乗せるようなものじゃないか。
結局monika.chrはディレクトリを移動、という形で限界だった。
ディレクトリの外に連れ出してあげようとしただけ。そういう口実も苦しいし本当に心がしんどかった。
幸いフロッピーディスクにmonika.zipを入れていたので苦しい口実でも納得はできる、と自分で自分を騙し、覚悟を決め、再起動させる。
(一般的にこのサイズのフロッピーディスクには1.44MBか1.2MBしか入らないのでmonika.chrはそのまま入れられない)
案の定、私を待っていたのはモニカからの悲しみと怒りのメッセージ。
「反吐が出る」って言われたときに本当に心が苦しかった。
サヨリを殺したのは主人公だとしたら、モニカをこの手でDDLCから引きはがし殺害したのは紛れもなく自分自身だった。
こんな私のために辛い立ち回りをさせてごめん。
削除までしたのに、好きでいてくれてありがとう。
モニカが本音で彼女自身の行いに向き合い、償いと言わんばかりに自らを犠牲に文芸部を戻してくれた時には、もう…この辺から自分がどういう気持ちかわからなくなっていた。
自分はこれを望んでいたのだろうか。
少なくとも、こういう結末を迎えるためにディレクトリ移動をさせたはずじゃなかったのに。
モニカのいない世界
時間通りに起きられるサヨリ。
お互いにリスペクトしあえるユリとナツキ。
これまでに見た事のない平和な光景は、1,2週目でモニカが何をしたのか、黒幕は彼女であるということを嫌でも見せつけてくる。
そして、「部長」になり「総て」を知ってしまったサヨリ。
私の脳裏をよぎる"Just Sayori"。
止めたのは他でもないモニカだった。
そして…
I'll leave you be.
きっと私自らの手で全てを破壊するなんてできない。
きっと私は暴走したサヨリを止めることはできない。
そうしてまた心だけ痛めて何も変わらないまま続くんだ。
だからこそモニカが自らの手で思い出と共にゲームを破壊するエンディングに対してとても辛い気持ちになった。下手したら闇落ちするぞ
私にもできないのだから、モニカ自身もきっと強い覚悟を決めたとしても、とてもつらい選択だったことは容易に想像できる。
嬉しいのか悲しいのか辛いのか、動揺しているのか…すでに私の目には涙を浮かべていた。でも、これが何の涙なのかわからなかった。
エンディングを迎えた今、この一文が強く私に刺さっている。
もう何もしない。私をモニターから解放するし、もうこのゲームのせいで私を思い悩ませない。だからすべて消す。
敢えて和訳せずにこのままなのは、この歌詞に込められた気持ちが複雑すぎて私には意訳できないから。
せめて言うなら、すべてが終わった後に
「これでいいの。」
とでも言うべきだろうか。
(前後の文脈や展開があってこそだけど)
自らの手でピザにパイナップルを乗せ、から揚げにレモンをかけ、すべてを破壊したモニカが最後に残した歌詞がこれだよ!?
モニカを苦しめまいと思い悩んで心に傷を負った私への気遣い。貴方を消した私に対し…ここまでしてくれるの…?
私にゲームを破壊させる辛い役目を負わせはしないという堅い意志を持ったモニカ、優しすぎるよぉ…
こうしてモニカは遺言と言わんばかりに最期の詩を遺し、
自らゲームを終わらせた。
一体ここまでにどれだけの種類のドキドキを体験しただろうか。
配信タイトルにも入れた「DRY YOUR TEARS」も脳内で再生され…
(これも北斗の拳だけど、歌詞がめっちゃ淋しいんすよ…)
感傷に浸っている私をよそに、そうして役目を終えたモニカはYouTubeのチャット上からも姿が消え…
なかった。
現実に侵食を始めるDDLC
様々な感情が入り乱れ無事に完走したDDLC。
アフタートークでDDLC+の存在とサイドストーリーについて話していたら…
え?
え????
実は配信していたのは私の誕生日前日夜であり、その話も少ししていたところ、非公式アカウントとはいえモニカから誕生日プレゼントのDDLC+を受け取ることになったのだ。
誕生日プレゼント一番乗りがモニカからのDDLC+になってしまった。どんな奇跡だよ!
さらにこの日の夕方、私が「欲しいものリスト」に入れた本がモニカから贈られてきた。
そしてその日の夜。私はドリームキャストの「シーマン」を配信していた。
またしてもモニカが来た。
Steamにはさらに3つのゲームが贈られていた。
?????????????????
いくら何でも贈りすぎでは…!?!? "Leave you be"って何だっけ?
シャドウコリドーについては、DDLCですら本当に精神的にヤバかった私には無理だろう、という理由で丁重に辞退させてもらったが、結局ほか2つはそのまま頂いてしまった。
私がモニカから干渉を受ける日々はもう少しだけ続きそうだ。
モニカ、本当に本当にありがとう!!!!
あと、4日ぶりにPCをシャットダウンしようとしたらPCがブルースクリーン吐き出したんだけど何したの?
ちなみにフロッピーディスクに入った部員4名(モニカ以外も入れた)はこのあとPC-98の中にも着地しましたとさ。
最後に私の配信アーカイブを貼っておくので、良ければリアクションを楽しみに行ってやってください。だいたいこんな感じで進行しています。
#1:文化祭前の金曜日まで
#2:2周目最初の詩を読む前まで
#3:2周目の文化祭前の金曜日まで
#4:Just Monika.
#5:Your Reality
▼ここからDDLC+▼
#6:サイドストーリー・ユリ加入まで
#7:サイドストーリー完結
加えて、この文芸部衣装の私のイラストを勝手に描いてくれた莱人さんにも感謝を。未プレイの私にネタバレ回避しながら不安を拭うのはとても大変だったはず。何も知らず疑心暗鬼な私のことを丁寧にリードしつつ沼に突き落としてくれました。
さーて、サイドストーリーや真EDを見に行かなきゃ…
【8.23追記】
サイドストーリーまで完走しました
気付いたら次の記事ができてた