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産後うつ記録:臨月から産院生活までに産後うつの助走が始まっていた

✳︎これは娘を出産したあと2年半も産後うつに悩んだわたしの、回復までの体験談です。前回の記事はこちらです。

臨月から産院から産後実家へ帰るまでのことを、ざっくり振り返ろうと思います。

産後うつの原因は、今現在もはっきりとわかっていないそうです。
ただ、産後のホルモンの変動や身体的変化、疲労などといった身体的ストレスと、慣れない育児や孤立など精神的ストレスなどが一因だろうと言われています。

私自身を振り返ると、そのストレスは出産よりも前から始まっていました。
そのころ、特に辛かったり、自信を失ってしまった原因となった出来事は次のようなものでした。

⑴出産予定日を大幅に遅れてしまった

娘が生まれたのは、41週5日。かなり予定日を遅れました。
出産が近い時期になるといつ陣痛が来るのか、破水するのかと、かなり自分の体調に神経質になっていました。その結果、なかなか兆候がないことに対して、強いストレスを感じていました。
また、その間周囲からは「まだ?」「出てきそう?」という声がたくさんかけられました。もちろん私を心配してのこととわかっていても、生まれてこないころに焦りを感じてしまいました。
それが繰り返されるうちに女性ホルモンの不安定さも相まってか、出産前から自分は母親の資格がないとか、わたしが至らないから娘が生まれてこないのだという風に思うようになってしまいました。

⑵陣痛がなかなかすすまず、気まずい思いをした
出産当日は、日付変更すぎに入院をしましたが、その後なかなか感覚が縮まりませんでした。
そのため当時は「前駆陣痛なのに焦って早くきてしまったのでは?」と自分を恥じる気持ちがありました。NSTを確認しにくる看護師さんの、「まだやな」「これでは生まれへんわ」などの言葉が辛く感じました。
もちろん看護師さんは責めているのではなくいのですが、自分が不安なのでネガティブに捉えてしまったのです。
本当にまだ当分生まれないのなら、入院はせずに帰宅になったはずなので、完全に無用な不安だったのですが、その時は混乱していたのだと思います。

⑶分娩台でうまくいきめず、助産師さんに叱られた
出産の痛みは記憶にほとんどないのですが、辛かったのはいきみのがしでした。
体が勝手にいきんでくるので、ひたすら呼吸法に集中して痛みから気をそらしていました。
ところが、分娩台に上がると一転「しっかりいきんで」と言われました。するとパニックになってしまい、いきみ方がわからなくなってしまったのです。
その結果、助産師さんから「習ったやろ!」「目を閉じたらいかん!」「声出したらいかん!」と何度も叱られる始末。しまいには「赤ちゃんに会いたくないの?!」と厳しい言葉も飛んできました。
正直なところ、助産師さんは励ますつもりだったのでしょうが、私はすっかり自信喪失していました。

⑷「人をひとり世界に送り出した」という事実が重かった
これはおそらくマタニティブルーだったのだろうと思いますが、とにかく大きな責任を背負ったと感じました。
また、その事実に対して「幸せ」というよりも、「わたしに務まるのか」という不安の方が大きく、出産した晩は眠れない夜を過ごしました。

⑸赤ちゃんとの関わり方を入院中に学べなかった
当然助産師指導などはあったのですが、お世話ではなく「赤ちゃんとの関わり」がうまくできませんでした。
とにかく泣き出すと不安になってしまい、泣き声が恐ろしくて仕方がありませんでした。母子別室の産院のため、娘に会うのは1日に数回授乳時のみでしたが、その間も「寝ていて」と願って過ごしました。
とにかく、授乳やふれあいタイムで娘がお部屋に来るのがつらくて、つらくて、たまりませんでした。
これもマタニティーブルーだったのかもしれませんが、口に出すと母親失格になってしまう気がして、誰にも相談することができませんでした。

⑹とにかく「母親としての自分」に自信が持てない
退院時に着せた服装について、助産師さんから「寒いのでは?」と指摘されました。その日は雪が降っていたので、助産んしさんは単純に心配してくれたのです。
しかし、わたしは自分が至らない母親であることがバレたと思ってしまいました。とにかく自分に自信を持てず、良かれと思っての指摘に対してもすべて自分を責められたと感じるようになってしまっていました。


このように、そもそも退院までの間に、完全に自信を失ってしまっていました。
今、冷静になって思い返すと、おそらくはマタニティーブルーの要素もあったのだろうと思います。
しかし、初めての出産と育児に神経が尖りすぎていて、「不安は恥ずべきこと」と間違ったおもいこみがありました。「母親になったのだから」という枕詞で、相談や泣き言を自分に許さなかったのが大きな間違いだったと思います。
自分に自信がなかったために、産院のスタッフに対して及び腰だったのも、アウェイ気分を強めて相談を阻んだ要因かもしれません。

もしこれから出産する妊婦さんや、今不安のある産婦さんが読んでくれているなら、少しでも不安に思うことはとにかく相談しましょう。
「出産が怖い」「育児が不安」「赤ちゃんとどう関わっていいかわからない」
こんなことを人に言うことは、きっととても怖いし恥ずかしいし、言いたくないかもしれません。
けれど、実は多くのお母さんがこの気持ちを抱えたことがあるはずです。
それは「自分がダメな人間だから」ではなく、「人生が変わる大きな出来事に臨むのだから」と考えれば当然なのです。

そういうことを相談された人は、「そうなんだね」と受け止めてあげてください。
まずはアドバイスよりも、辛いね、恥ずかしいことじゃないよ、と伝えてあげてください。その妊婦さんや産婦さんが、まずは「自信を失う必要はないこと」を伝えてあげてください。
アドバイスをしてあげるなら、その後にしてあげてください。
自信喪失してしまったり、不安に飲み込まれそうな時、とにかく欲しいのは共感と受容です。

産前産後は、嬉しいことや楽しいことも多いけれど、身体的にも精神的にもとてつもないあストレスを感じます。それが辛いと感じるのは、決して決して、恥ずかしくない。

「世の中にはもっとがんばっている人がいる」とか、そういう比較もいりません。わたしはそういう比較をして、自分はまだがんばらなければいけないのに甘ったれていると、と自分を追い込みました。
けれど、どのくらいがんばれるキャパがあるかは、人それぞれです。それに同じ人でも、環境が変わればキャパも変わるかもしれません。

だから、そのとき辛いと感じたなら、あなたは辛い。
辛いのなら、我慢するのではなくて辛くなくなる方法を探すのが大事です。
周りに打ち明けてみたら、案外周りはあなたのことを「とってもがんばってる!」と思っているかもしれません。
頼れる人がいるなら、頼る。赤ちゃんのためにも、頼る。
「できないこと」「辛いこと」を「できない」「つらい」と認めて受け止めるのが、あの時のわたしには必要だったとおもっています。

次回からは、赤ちゃんをつれて実家に帰り、お世話をする生活が始まってからのことを書いていきます。


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