もしかして、わだ君?
大休憩には1年生と一緒に校庭に繰り出した。
こんなに気持ちの良い、カラッとした晴れは久しぶり。こういう日は外がいい。
鉄棒に辿り着くと、そこには先客がいた。
よく喋る男の子だった。
「こうやってさー、こういうかっこうをしてると、空と地めんがはんたいになっちゃうみたいなんだよねー」
その子は、膝の裏で鉄棒にぶら下がり、手を地面付けた格好をしていた。
「あーわかる」
わたしも小さい頃、同じようなことを考えていたな。何だか変な錯覚を起こすんだよね。
降りてきた彼を見てみると、あれ?どっかで見たことのある顔。
「わだ君?」
「うん、そーだよ。わだはるま」
彼はフルネームを名乗り、そのサラサラヘアを靡かせていた。
この子のお兄ちゃんには、世話になっている。私ではなく、私のクラスの子が。よくちょっかいを出しては「やめろよー」と言われている。
兄も女の子にモテそうな綺麗な顔にサラサラの髪だけど、2年生のこの子も兄に勝るとも劣らないイケメンだ。しかも、とにかくよく喋る。
程なくして、なかよしタイムの終わりの音楽が流れてきた。
みんな一斉に昇降口に向かって走り出す。