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2億5800万人が深刻な食料不安に直面 コロナやウクライナ紛争で増加

国連や欧州連合(EU)などでつくる「食料危機対策グローバルネットワーク」は2023年5月3日、食料危機に関する年次報告書を公表しました。2022年に深刻な食料不安に直面した人が全世界で2億5800万人と、前年比34%も増え、調査を始めた2016年以降で最多になったという内容です。国の数もアジアやアフリカを中心に58カ国と、前年の53カ国から増え、最多となりました。従来からの紛争や気候変動に加え、新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻も影響し、世界の食料安全保障が悪化していることが浮き彫りとなりました。こうした国々への食料支援の重要性を強調しています。

国連のアントニオ・グテレス事務総長は報告書の序文で「2億5000万人以上が深刻な飢えに直面しており、餓死寸前の人もいる。これは受け入れられないことだ」と危機感を募らせています。国連の持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる飢餓ゼロ目標に向けて、前進どころか後退しているとして、「われわれは間違った方向に進んでいる」と警鐘も鳴らします。その一方で、「共同で行動し、変革に向けて取り組めば、誰でも、どこでも、食料と栄養という最も基本的な人間のニーズをわれわれは手に入れられるようになる」として、事態の改善を急ぐよう呼び掛けています。

報告書は食料不安を以下の5フェーズに分類した上で、3~5を「急性食料不安」(Acute Food Insecurity)と位置づけ、緊急食料支援が必要だと訴えています。この対象が2億5800万人ということです。

◇食料不安の5段階
フェーズ1 None/Minimal 不安なし、ごくわずか
フェーズ2 Stressed 緊張状態
フェーズ3 Crisis 危機
フェーズ4 Emergency 緊急事態
フェーズ5 Catastrophe/Famine 破滅的状況、飢饉

急性食料不安に直面する人口が最も多いのは、コンゴ民主共和国で、2640万人となりました。以下、エチオピアが2360万人、アフガニスタンが1990万人、ナイジェリアが1950万人、イエメンが1730万人と続きます。これらの上位5カ国で全体の40%を超え、特に状況がひどいことが分かります。

最もひどいフェーズ5に直面しているのは7カ国の37.6万人で、このうちソマリアが21.4万人と半分以上を占めました。ほかには、南スーダンやイエメン、アフガニスタン、ハイチ、ナイジェリア、ブルキナファソが含まれています。

急性食料不安の原因としては、紛争が1億1710万人(19カ国)と最も多くなったものの、前年の1億3900万人(24カ国)から減りました。アフガニスタンや南スーダン、シリアなどが含まれます。

2022年に急増したのが経済的ショックで、8390万人(27カ国)と前年比2.8倍となりました。新型コロナウイルスのほか、ロシアのウクライナ侵攻の影響による食料価格の高騰や穀物輸出の減少が大きな打撃となりました。異常気象も5680万人(12カ国)と、前年比2.4倍に急増しました。アフリカ東部の干ばつやパキスタンの洪水、アフリカ南部の洪水や干ばつなどが含まれています。



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