
2024年の食料価格は2年連続下落 コメは16年ぶり高水準
国連食糧農業機関(FAO)が1月3日に発表した2024年の世界食料価格指数(FFPI、2014~16年=100)は前年比2.6ポイント下落の122.0となりました①②。前年を下回るのは2年連続で、2020年(98.1)以来4年ぶりの低水準となります。新型コロナウイルス禍からの経済回復やロシアのウクライナ侵攻を受けて高騰した食料価格は、緩やかながら落ち着きつつあります。ただ、コメは需給のひっ迫によって16年ぶりの高水準に上昇するなど、品目によってばらつきもあります。
FFPIは、2010年代後半は100を下回る低水準で推移した後、ウクライナ侵攻が起きた2022年に穀物価格の高騰などにより144.5と、過去最高の水準に上昇しました。物価変動の影響を除いた実質でも、2024年は6.8ポイント下落の113.1と、2年連続で前年を下回り、4年ぶりの低水準となりました。

FFPIは穀物と植物油、食肉、乳製品、砂糖の価格指数で構成されています。FAOは実質ではなく名目で説明しているので、以下は名目でみていきます。
2024年の穀物価格指数は17.4ポイント下落の113.5と、2年連続でマイナスとなりました。小麦やトウモロコシの値下がりが主因です。しかし、コメは1.1ポイント上昇の133.1と、3年連続で値上がりし、2008年以来16年ぶりの高水準となりました。
値上がりしたのはインディカ米で、アジアでの需要増加やインドの輸出規制が影響しました。ベトナムの生産減少も押し上げ要因となりました。ジャポニカ米は需給の緩和によって大きく下落しました。
砂糖価格指数は19.2ポイント下落の125.8と、6年ぶりに値下がりました。世界最大の生産・輸出国ブラジルの輸出量が過去最高となったほか、2024~35年度は世界的に増産が見込まれていることが価格を押し下げました。
一方、食肉価格指数は3.1ポイント上昇の117.2と、2年ぶりに値上がりしました。豚肉は中国の需要減少によって下落したものの、牛肉や羊肉、鶏肉が世界的な需要増加によって上昇しました。
乳製品価格指数も5.9ポイント上昇の129.6と、2年ぶりに値上がりしました。世界的な需要の増加に加え、異常気象によりバターの生産が減少し、価格が高騰したことが影響しました。
植物油価格指数も11.9ポイント上昇の138.2と、2年ぶりに値上がりしました。世界的に需給がひっ迫したことが価格を押し上げました。
FAOが同時に発表した2024年12月単月のFFPIは、前月比0.6ポイント下落の127.0と、5カ月ぶりに下落しました。ピークを付けた2022年3月の160.2に比べると、ほぼ2割低い水準となっています。

内訳は、食肉が前月比0.5ポイント上昇の119.0と値上がりしたものの、穀物は0.1ポイント下落の111.3、乳製品が1.0ポイント下落の138.9,植物油が0.8ポイント下落の163.3,砂糖が6.4ポイント下落の120.0と、値下がりしました。穀物のうち、コメも1.5ポイント下落の119.2と、4カ月連続で値下がりしており、下落基調が続いています。