FAO事務局長に屈冬玉氏が再選
国連食糧農業機関(FAO)は2023年7月2日、事務局長に中国人の屈冬玉氏が再選したと発表しました。任期は8月1日から2027年7月末までの4年間。他に立候補者はおらず、信任投票の結果、賛成多数で承認されました。屈氏は農業・食料システムがより効率的で強靱、持続的になるよう変革を目指しているということで、手腕が問われることになります。
FAOの資料によると、屈氏は1963年に中国・湖南省のコメ農家生まれ。湖南農業大学で園芸学、中国農業科学院で植物育種やゲノム学を学び、オランダのワーヘニンゲン大学で環境科学の博士号を取得しました。「アジアの魂」と「グローバルなマインド」を体現し、モットーは「シンプルな人生、しかしシンプルな仕事ではない」だそうです。既婚で、現在は娘が1人、孫息子が1人いるそうです。
中国の農業農村省(MARA)次官を経て、2019年6月のFAO事務局長選に立候補しました。屈氏のほか、カメルーンとフランス、グルジア、インド出身の計5人が立候補し、加盟国による投票が行われた結果、屈氏は投票した191カ国のうち108カ国から支持を獲得し、2019年8月1日に9代目の事務局長に就任しました。
今回は屈氏のほかに立候補者はおらず、7月1~7日に加盟国による信任投票が行われた結果、182カ国のうち168カ国が屈氏の再選を支持しました。ブラジル人の前任者は2期8年、それ以前は10年以上も務める人もいたため、再選は珍しいことではありません。
屈氏に対しては、FAOが2020年10月に農薬業界団体「クロップライフ・インターナショナル」との連携を強化したことで、「農薬業界寄り」との批判も一部に出ています。それでも今回の事務局長選に対抗馬が出ることなく、9割以上の国が信認したということは、加盟国からそれなりの評価を得ていると言えそうです。