前職は小学生の戦場の「先生」だった
私は、以前も書いただろうか…
短大で、保育科を専攻するも
周りの学生や、教授たちの
非常識かつ、低すぎる責任感に絶望し
夢半ばで、なんの資格も取得せず
自主退学してしまった
しかし、私の次の進学先で出会った
同期の子からの「人手が足りない!」
という誘いのおかげで
無資格で、しかも正社員ではなく
パートとして、児童会館職員になった
(他地域では
学童保育や放課後支援員と呼ばれている)
先生になる
という夢を叶えたのである
無資格で
しかも、パートで
と聞くと
じゃぁ、先生じゃないじゃないか!と
周りからもよく言われていたが
現場にいてわかったことだが
パートでも
他人の子供を
放課後、預かり、様子を見るという仕事内容は
正社員と何ら変わりなく
強いて違うことと言えば
行事企画や、経費などの計算
他会館との会議などに関わらない事
むしろ、正職員さんは
日々のパソコン業務や、日程の調整などで
事務机にへばりつき
ひぃひぃ言っているのが印象的だったし
子ども達に付きっきりで
遊んだり、変化を察知したり
保護者さんと会話するのも
大体が、パートである私たちだった
そんな中
私は、子ども達と
缶けりをしたり
ドッチボールをしたり
絵を描いたり
話を聞いたり
ものを作ったり
宿題を見たり
たくさん、たくさん子ども達と関わってきた
放課後支援は
基本的に、小学1年生から6年生までの
児童が対象であるため
遊びより何より
一番多かったのが
喧嘩の仲裁や児童に注意、叱ることだった
最初に勤務した、児童会館は
まるで戦場のようで
毎日50人から多いときで100人近い
児童たちがあちこちで
取っ組み合いの喧嘩やら
罵りあい、仲違いのような
トラブルばかり起こしてくれた(汗)
私は割と華奢な体格なのだが
私と同じくらいの体重であろう児童二人の
殴り合いの間に入り
一人は腰に抱え
一人は他の先生が来るまで
片腕でしっかり抑えて
泣きわめく児童達や、野次馬や
目撃者による勝手な証言が飛び交う中
ボコボコになりながら
また違う場所で勃発するトラブルに
振り回されるという
なんともハードモードな環境だった
しかし
私は感情的に
児童たちに
「怒った」ことはなかった
大人である
しかも教育者の端くれである私たちは
感情的に
「こら!やめなさい!」
と、咄嗟に言ってしまうことはあったが……
まず、基本
児童たちの命に関わる危険
怪我をする状況から遠ざけて
話し合う
というのが私たち
大人の役目だった
しかし、そんな余裕が無い時だってもちろんある
そんな時
子どもというのはすごく、よく見ているもので
「ごめんね」
「いいよ」
という儀式的な言葉を交わして
知らん顔して
またフラッと遊んで
また同じようなことで
喧嘩をし、私たちに引っ捕まえられる
私はそんな儀式には
あまり意味は無いと思っていた
もちろん
心からの謝罪や
心からの許しならば話は別だが
儀式的であったり
大人の面倒な目を掻い潜るための作業が
習慣になってしまっては
非常に、将来が不安になってしまうのだ
だから私は
常日頃、子ども達と向き合って
なぜ、この子は泣いたんだろう
なぜ、貴方は殴りたくなったんだろう
ごめんねと言われて納得できるのか
というのを
必死に聞いて、話してきた
そんな中
小5のスポーツ大好きな男の子
りく君(仮)が
大好きなドッチボールでいきなり
年下の体格のいい
ゆうや君(仮)に
血眼で殴りかかろうとした事があった
りく君は
滅多にキレた事がなく
トラブルを起こす子ではなかったため
これはヤバい!
と、間に入って
見事、私がりく君に殴られたのだった
りく君は、一瞬ハッとはしたが
私の後ろにいる、ゆうや君を睨みつけて
涙をボロボロこぼしながら
肩で息をして、今にもまた飛びかかってきそうだった
私は思わず
「りく!今、ゆうやを殴ったら
りくが悪者になるんだよ!
そうなったら、りくが悪くなくても!
私は、りくの味方ができない!
落ち着いて!」と叫んでいた
りく君は、膝から崩れ落ちボロボロ泣いていた
ゆうや君は
館の中でもトラブルメーカーだったため
他のパートさんにお願いし
りく君と別室で話をした
りく君は
「あいつが悪いんだ」
「俺をバカにして笑った」
「ゆうやは年下だから
手加減していたのに悔しかった」
と怒った原因を話してくれた
そして、私は
りく君に言った
わかったよ
殴りたいくらい、腹が立ったんだね
でも、ゆうや君を殴らなくて良かった
さっき、私が言ったことを覚えてる?
すると、りく君は
俺が殴っていたら
俺はもっと悔しくて
また、殴りたくなったと思う
と…
その時、私は
ごめんね
いいよ
では、済まされない事があると
わかってもらえた気がした
そして、りく君のその言葉を聞いて
私の気持ちはちゃんと伝わる
と実感したのだった
それから話し合い
ゆうや君にも条件を出し
お互いルールを守って遊ぶことを
ふたりと約束して
また戦場の様な日々に戻ったのだった
その次の日の事だった
りく君が
折り紙を一枚、ペロッと私に何も言わず
渡してきた
そこには
先生をなぐってごめんなさい
おれをわるものにしないで
話を聞いてくれて、ありがとう
と書いてあった
私は少しうるっとしたが
ありがとう!
と、笑顔で受け取り
今でも
私の大切な場所にきっちりしまってある
そこから私は
子ども達との戦争のようで
一緒に成長していく
毎日に変化していった
長くなったのは
それだけ私の人生において
この関わりが大切なものであったからだ
これからこの
先生としての私の
エピソードを時々書いていこうと思う
まぴこ
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