「本の地図」の作り方
そもそも、なぜ「本の地図」を作り始めたのか、ですが、ある日ふと「本を買うとき、こういうガイドが欲しかった」「せっかく読んだ本が頭の中で整理できてない・活かせてない」「どこをたくさん読んで、どこが抜けているのか分かればいいな」と思い、読書=Inputだけではなく、なんらかのOutputを作ろうと、読書記録を図式化=地図化(分布図化)することにしました。
できれば一枚にまとまってくれていると、そのジャンルの読書内容が一覧化できて便利かなと思ったので。他の人におすすめ本を共有するときもわかりやすい。
一冊ずつのそれぞれの本の内容をどうまとめるか、はまた改めて、やり方をご紹介できればと思います。とりあえず、今回は「本の地図」そのものの作り方をお伝えいたします。
1:ジャンルを作る
マンダラートを使って、自分が興味がある・本を買ったジャンルを整理します。(マンダラートとは? 「考具」という名著にわかりやすくやり方が載ってます。※考案されたのはデザイナーの今泉浩晃さんです)
3行×3列の9マスを作って、真ん中のマスにテーマを書き、周りの8マスに関連して思いついたことを埋めていく、という思考発散方法です。
これねー、本当は9マス埋めなきゃいけないんだけど、わたしは埋まりませんでした……。ビジネス系でなくてもいいんなら、埋まるんだけど、わたしの「本の地図」はビジネス・仕事系にしようと思ってたんで、無意識に制限がかかったらしい。(だって、趣味の本はどんな傾向でどう偏ってても管理しようとか思わないし、分布図作ろうとか思わないよー)
とにかく、まずはジャンルを作ります。世間の「図書館内の分類」や一般的な「分類」と紐づいたほうが便利であれば、そのルールに従いますけど、個人の読書記録なら、別にマンダラートで作ったオリジナリティあるジャンルでも問題ありません。
(ジャンルの例→ 「本の地図」vol.2)
2:ジャンル分けする
「本の地図」に載せたい本を「全部」本棚から出します。はい、「全部」(笑顔)。面倒くさいですけど、記憶だよりで作成すると、漏れや書名の間違いがあるので。(漏れや間違いを許容できる方は記憶だよりでもOK)
次に、本を1で作った「ジャンル」ごとに小山にします。とりあえず、似てる内容の本を仲間にしていけばOKです。
これ、やってみるとわかるんですけど、1のジャンルは全部興味があるジャンルだったはずなのに、「あれ、このジャンル、ぜんぜん本がない」「こっちは山のよーになっておる……」って感じで、ムラが出るんです。この時点で「あー、こっちのジャンルは補強が必要だな」とか、自分が本当に好きで興味があって進んで手を伸ばすのはどのジャンルか、などがわかります。
3:書名を電子ふせん化する
面倒くさい、という絶叫が聞こえてきますが、書名だけでいいので、ふせん化・データ化してください。1枚のふせん=一冊の書名です。ふせんって書きましたけど、わたしはJamboard使って、電子ふせんにしました。Excelなら「テキストボックス」にしてね。なぜ手書きではなく、電子ふせんにするかというと、下記①~③のように、後の扱いが楽だからです。
①貼る位置を動かせる(これは手書きでもできるけど、ホワイトボードとか、土台が必要になる)
②ふせんの色をあとで自由に変えられる
③記録した完成形を動かせる
③ですが、手書きのふせんだと作りやすいですけど、最後の「本の地図」にしたときに記録は「写真」(画像)になってしまいます。電子ふせんだと、PDFでもExcelでも、出力形態を変えられるし、完成形をその場でちょいちょい変えられるので、便利です。簡単にバックアップできるしね。
(手書きのふせんは、土台になるスペース(ホワイトボードなど)が必要だったり、はがし方にコツがあったり、メーカーによって粘着力が異なって貼りかえると落ちたりするので、「本の地図」では電子ふせんがディフォルトです)
4:ジャンル別に白紙の「本の地図」を作る
ジャンルごとに白紙のシートを用意して、自分が分布を知りたい傾向を2軸用意・十字に線を引くだけです。
わたしは全ジャンルを貫いた軸が一つ欲しいと思ったので、縦軸に「具体的←→抽象的」の軸は必ず入れるようにしました。(のちにある必然によって、とあるジャンルで、この軸設定は破綻しますが(涙)→破綻した場合の対応方法もあるので大丈夫です)
5:貼るぜ!
いよいよ努力が報われる時が来ました。いま手元のPC(だと思う)に大量にたまった電子ふせんを、1のジャンルごとに4の白紙へ貼り付けていきます。貼り付ける位置は個人の独断と偏見です。
ただし、貼る前に一つだけ、ポイントがあります。
「ゼロ地点」(2軸が交わる十字の部分)に相当する本を決めてから、ふせんを分布していってください。
「ゼロ地点」がないと、「あれ、これはどのへんだろう?」と自分の中の独断と偏見がブレます。また後で見返したときに、「なんでこれがこの位置に分布してるんだ?」とわからなくなります。古の旅人・航海者が北極星を目印にしたように、地図には「定点」が必要です。
6:完成したあと
はい、ふせんを全部、ジャンル別のシートに貼り終わったら、これであなたの「本の地図」は完成です。
見返してみてください。どうですか、予想通りの分布になってますか? それとも「あれ、ここ空白だな」「書名が重なって見えづらいほど偏ってるところがある」「ここ知りたいと思ってたけど、すでに本、持ってるじゃん」「持っている本の内容的に、そもそも最初に設定した軸が間違ってる?」など、いろいろな発見があると思います。
わたしは自分が興味がある! と思っていた「デザイン系」で未開の大地が広がりまくっているのを見て、「あー……ぜんぜんInput足りてない……そりゃオレの作るものがダサいはずだわ」と納得しました。InputなしでOutput出せるのは天才中の天才くらいだよ。いや、ダ・ヴィンチだって解剖図作ったりしてるんだから、InputなしでOutputって、たぶん人類には不可能では。
(完成形の例 → 「本の地図」vol.3)
7:最後に
この「本の地図」はあなたの知識欲の傾向とすでに得た知識(忘れてる情報もあるけど)の傾向の棚卸です。本が増えれば更新されるし、ふせんの位置も変わるでしょう。新しいジャンルができるかもしれません。地図はどんどん広がります。もしかしたら、マンダラートの1マスだったジャンルの内容が増えて深化して、1マスのマンダラート→新たな9マスのマンダラートになって、ジャンルが細分化されるかもしれません。
冒険がどんどん進むみたいで、わたしは「本の地図」の更新が楽しいです。(電子ふせんだから簡単に更新ができます。紙の付箋だと、家族に「邪魔なんだけど!」と言われて、撤去されるという悲劇も起こりかねません)
で、最後の最後に、やるべきことがもう一つあるんです。心の準備はよろしいでしょうか?
はい、では、本棚に本を戻してください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?