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背伸びするエーラー式クラリネット

クラリネットの音域は、上級者向けの教則本では、最高音はドまで出てきます。更にフラジオ・トーンといって指使いやブレスによってはもっと高い音が出ます。一方、最低音は基本的にミまでしかでません。これはボエム式もエーラー式も同じです。

クラリネットの音域

最低音ミ♭の謎

しかし、オーケストラでは希にミ♭まで出てくることがあります。
下の楽譜は、マーラーの交響曲7番の第2楽章 Nachtmusikの最後の部分で3番パートの譜面です。ここにミ♭があります。他にも何か所がありました。

マーラーの交響曲7番の第2楽章 Nachtmusikの最後でミ♭が出てきます

実はこの楽譜はB♭管で吹くように指定されてます。しかし、このミ♭がでないのでたいていの方はA管に移調して吹くそうです。ワタシもそうしました(とても難しい譜面になりました)。

背伸びしたエーラー式クラリネット

しかし、エーラー式クラリネットにはこのミ♭を出すためのエクステンション(VERLÄNGERUNG)という仕掛けがあります。こちらがその写真です。これをベルと下管の間に差し込んで半音低いミ♭の音を出します。

エクステンション(VERLÄNGERUNG)

このエクステンションはどうやってミ♭の音を塞ぐかいえば、下管後ろにある親指キィを使います。エーラー式クラリネットは、再低音ミ~ファ辺りの音域が低いので、音程補正用に右親指キィがあります。これを押すとベルにあるホールが開き音程が上がる仕掛けとなってます。

低音の音程補正キィ

このエクステンションは、Leitner&Kraus(ライトナー&クラウス)社かから販売されてます。URLはこちら
エクステンションはこの下管とバレルの間に挟みます。そしてこの音程補正キィとエクステンションのキィを連携させます、

エクステンションにある2つのホール

写真の通りエクステンションには大ホールと小ホールの2つあります。これはクラッチという切り替え器を使います。大ホールはミ♭用、小ホールは従来の音程補正用のホールです。クラッチが右であれば音程補正キィを押すことで大ホールがふさがり、クラッチが左であれば音程補正キィを押すことで小ホールが開くようになってます。

クラッチで切り替える

エーラー式クラリネットはメーカごとに、ジョイント部分等の規格違いがあるので純正以外のパーツを繋げるのが難しいという弱点があります。今回はジョイントが合わず購入を諦めました。ちなみにワタシ知人はわざわざドイツまで行って特注したり、楽器をドイツに送って調整したそうです。

伸びるバレル

もう1つ背伸びできる仕掛けがあります、それがバレルです。ベルリン・フィルのクラリネット奏者のフックス氏が使っているズームバレルがそれ。

これは中央の金具を回すことができて、バレルが縦に長さが上下する仕掛けとなっており、これでチューニングします。

ズームバレル

ワタシのエーラー式クラリネットは、上管とバレルの接合部分が、他のメーカ(ヴーリッツアァやセゲルケ)と比べて長いため、ズームバレルをつけても2ミリほど接合部分が余るので諦めました。

左がワタシのエーラー式クラリネット、ジョイントが長いです

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