エーラー式クラリネットはド#が命取り
昨年10月に不覚にも転倒して骨折したこともあり、大分サボってしまいましたので、久しぶりにエーラー式クラリネットのことを書きます。前回のタイトルがファが命でしたが、今回はド#が命取りです(やっと4回目)。
五線上のド#(ソ#)のスプーン・キィは、エーラー式クラリネットは嫌なキィです。何故かというとボエム式よりスプーンが大きく、そして重く、そしてトリル時の反応も悪いのです。
謎の突起物?
こちらの動画ではド#(ソ#)⇔レ(ラ)のトリルを紹介してます。実はエーラー式にはド#(ソ#)のスプーンに謎の突起物があって、この突起物を右人差し指でおさえると楽になります。
ではこのド#(ソ#)のスプーンが何故、ボエム式のスプーンより大きいのか?には理由があります。それはエーラー式の下管のスプーンはボエム式のように左右連動していないからなんです。
鬼門(ミ→ド#→ミ、シ→ソ#→シ)
前回の動画でも書いた通り、エーラー式の下管のスプーンは左右が連動していない為、スプーンからスプーンへは指滑らしによって瞬間移動しなくてはなりません。下管だけでも大変なのですが、上管のこのド#(ソ#)のスプーンから下管のスプーンへも指滑らしする箇所が為、大きいのです。
その指滑らしする箇所が下の譜面にあるミ→ド#→ミ、シ→ソ#→シです。
これは5度の跳躍なので時々出てます。下の動画ではフォークで回避する裏ワザもご紹介します。レッスンでバレずに演奏できたら合格です(笑)。
鬼門(シ→ソ、さらに→レ#の名曲)
さらに、このシ⇔ソ#を使う実際の名曲をご紹介しましょう。ドビュッシー作曲の第1狂詩曲(Première Rapsodie)です。
これをプロは平然と演奏するのだからすごいです。ちなみにこのフレーズこを座演にすると実は簡単に吹ける裏ワザがあります。それを↓の動画で披露しちゃいますね。
鬼門(Mid ド#⇔Low-ド#の交互移動)
下の楽譜はブラームスの交響曲2番1楽章332小節目のところ。知るヒトは知っているのですがこれドソロです。ブルー部分は上述したフォーク奏法でOKですが、レッド部分は左スプーン間を左小指の瞬間移動技術が必要です。
ここはよく見るとほぼすべての音符に#があるのでA管からB♭管に持ち替えて#無視して吹くとあら簡単にできてしまいます。ただ、もしB♭管を忘れた場合は、冒頭のド#(ソ#)のスプーンの不思議な突起物を使う。Low-ド#で突起物を押し、Mid-ドは通常運指で吹く緊急事態方法が使えます。
最後に
このようにエーラー式のフィンガリングは独特で難しいですが、音色は本当に素晴らしいです。無論ボエムでも素敵な音色を出すクラリネット奏者もいます。が、ブラームスをはじめ偉大な作曲家たちはこのエーラー式の響きを聴いて作曲しました。ワタシは、このエーラー式で当時の響きを再現するのも1つの音楽と信じて精進しようと思ってます。
付録1 エーラー式クラリネットの運指表を発見しました。
付録2 上のサイトとは違いますがトリル編がこちらです。