発声ロードマップと改めて声区の話、そして「ミックスボイス」「地声」の怪

 この記事でも触れた通り私は流星群さんの「6声区論」を前提としており、ミックスボイスなる単語は使いません。6声区論のおさらいをすると、以下は有料記事で使用した画像ですが、特別サービス。

スクリーンショット 2021-06-07 11.36.52

 横の音域に応じてチェスト、ミドル、ヘッドの三つ、さらに地声か裏声かで合計6つで声を分類するというものです。地声・裏声判定や定義は人により異なります。

 で、ボイトレの目的とは何かというと、まずこの6つを満足に使いこなすことにあります。厳密にはチェストの裏声はあまり歌には使いませんが、この6つを押さえておけば間違いがない。

スクリーンショット 2021-06-07 11.39.11

 図にするとこうなります。右側が歌の上手い人で、最終的には全て○を目指すわけです。もちろん○にもレベルの差はあり上を見たらキリがないというか、最終的にプロのレベルになると発声はできて当たり前でどう表現するか、この辺は以下の「ボイトレ5段階説」で触れています。

ミックスボイスってなんだよ2021

 2021/5/30の『関ジャム』LiSA回、とても面白かったのですが、ここでの解説でもミックスボイスという言葉が使われていました。テレビでも出てくる以上、「自分が使わない」だけでは済まない。なのでまとめてみます。
 ミックスボイスとは、

①ミドル(地声)、ヘッド(地声)のこと
 主にネットのボイトレオタクが用いる。つまり地声っぽく高音が発声できているか。アマ同士の不毛な「ミックス判定」は、この定義が使われています。

②クリアトーンのミドル(地声)、ヘッド(地声)のこと
 SLS系ボイストレーナーのミックスボイス、というのがボイトレオタクには一番しっくりくるのですが、わかりやすく言えば平井堅さん槇原敬之さんのような音色のイメージです。逆に言うとロックの発声は高音であってもミックスではない。

③ミドル(地声)とヘッド(地声)の行き来がスムーズ、音色差がないこと
 ミドル(地声)とヘッド(地声)の切り替わりが露骨でなく、綺麗につながっていること。ボイストレーナーがよく使います。この場合は「発声できるか」ではなく、技量の話となります。

④弱めの地声のこと
 この時の「地声」とは「アタックのある声」などと言われたりする、力強い、「地声感の強い地声」のことで、論者の中では「地声、ミックス、裏声という三分法」になっています。最初に出した図だと、縦のところに中間体として「ミックス」を入れています。今回『関ジャム』で出てきたのはこれ。
 ①②と似ていますが、①の場合「地声」はチェスト(地声)のみ、②のミックスは音色だけの話なので強めに出してもミックス、④の場合の「地声」は「力強い発声全般」を指します。

⑤ヘッド(地声)のこと
 ①と似ていますが、この場合はミドル(地声)は「地声」となります。最初からミドル(地声)まで発声できていた人が使いがち。

 まとめると、ミックスボイスだけでなく、実は「地声」の定義も人によって千差万別だったのである。2021年になっても相変わらずボイトレのワードは本当にカオスで、わけがわからんですね。。6声区論は、こういう時のマッピングとしても頼りになり有能。