発達に遅れのある子供のための学習できる身体づくり
はじめまして。Maoris療育セラピスト竹村です。
私は日本とアメリカで「発達に遅れのある子供たち」の教育者を務めて約19年になります。これまで約500名以上の子供たちと関わってきました。
小学生の頃、自閉症の子供たちへの「イルカ・セラピー」をテレビで見たことがありました。今思えば、発達に遅れのある子供たちへの支援を志したのは、これが原点だったのでしょう。
それから大学生になった私は、テレビと同じフロリダの海で実際に「イルカ・セラピー」のインターンとして1ヶ月間インストラクターをつとめることになりました。
野生のイルカや子供たちと一緒に泳ぐといったセラピーを通し、「発達に遅れのある子供たちを支援していく」といった自らの人生の方向性に確信を深め、今日にいたっています。
コロンビア大学大学院では“Early Child Development Education & Special Education(早期教育及びスペシャルエデュケーション)”を専攻。
発達心理学、教育哲学、認知行動療法、幼児教育、倫理論、特別支援教育といった教育者にとって必要な学識を深め、教育学修士号をとりました。
実地研究では、困難を抱える子供たち(障がい、貧困、家族問題、マイノリティ)のためにボランティアで教育支援を行い、科学的な臨床研究データを活かした環境作りや個々の特性に合わせた学習サポートを提供しました。
教育者として社会に出てからは、発達に遅れがある子供たちに
・応用行動分析
・認知行動療法
・モンテッソーリ教育
・コミュニケーションが苦手な子供たちへの教育メソッド(TEACCH、PECS、ソーシャルスキル)
といった専門的なテクニックを取り入れたセラピーを行ってきました。日本でいう療育に近いものかもしれません。
しかし、長年の間、大勢の子供たちやそのご家族に関わる中で、「机上の認知的教育やスキルだけでは、子供の発達には不十分」であり、時にはそれが「子供たちにとって負担やストレスになってしまう事」に気が付くことができました。
子供たちを十分に発達させるために必要なのは、大人たちが提供する専門的なスキルを「吸収できる脳や身体」だったのです。
私はこの気づきをもとに、「身体づくり」と「専門的テクニック」といった双方からのアプローチで子供たちの発達を促すといった現在の教育スタイルをうみだしました。
【子供たちの発達に必要なもの】
上述の通り、子供たちを十分に発達させるためには、「情報を吸収できる脳や身体」が必要となります。
例えば、子供が補助輪なしの自転車を乗りこなせるようになるためには、
・ボディイメージ
・目と手の運動が協応
・姿勢の保持
・両足が交互にスムーズに動く
ができることが必要です。
しかし、足を交互に動かそうとすれば姿勢が崩れて、手がふらふらしてしまうというように、身体の「調整能力」がまだ出来ていない子供たちには、いくらテクニックを教えてあげたところで、子供にとってはその時間が苦痛となり、ストレスがたまるでしょう。
逆に言えば、そういった子供たちには、テクニックではなく、まずは身体が動くようになる練習をさせてあげればよいのです。
子供が何かを学ぶときには、その「学びを吸収するための身体能力が出来ている事」。それが発達を促進していく最低条件であると、この自転車の例からわかっていただけるかと思います。
【オンラインサークルで目指したい発達】
Maorisのサークルでは、発達に遅れがある子供たちに対して、「学習できるまでの身体づくり」を目指し、そのために自宅で出来ることを情報としてご提供していこうと思います。
ここで言う「学習できる身体」とは、「学校で授業を受けることができる身体」のことです。
・長時間正しい姿勢を維持して座る
・座った姿勢で鉛筆を握り、黒板を見ながら、ノートに板書をする
・先生の話を聞き、理解して、指示に従う
・自分の困っていることや意志を言葉で表現できる
・いかなる環境でも落ち着いて通常通りの行動ができる
・お友達と適度な距離感を保ちながら遊ぶ
など、これはまだ一部ですが、学校で学習するという行為には、そのための身体の発達が必要になります。
これから毎月その方法となる知識をご提供していきますので、ぜひご自宅の生活に取り入れていってください。
この先、脳と身体の関係、そして体の発達順序についてはサークルメンバー記事となります。