Vibrato Ep2から考えるTRIGGERの「寂しさ」【ネタバレ含】
【アイナナ考察記事についてのお願い】
・「二次創作」としてお読みください。ストーリーの展開を保証するものではなく、公式やキャラクターを貶めようとするものではありません。
・アイナナに関するすべての情報を把握しているわけではありません。個人の妄想と願望を大いに含む、一解釈であることをご理解ください。
大変ご無沙汰してしまった。
アイナナ四部の2月配信が発表されたり、ナナライ2ndの開催が発表されたり、Vibrato Ep2が配信されたりと大きな動きがあったアイナナ。とりわけTRIGGERにとってはVibrato Ep2の配信は一大事である。ということで、今回も勝手に考察を繰り広げてみたい。ネタバレと独断と偏見満載だが、ご容赦願いたい。
Vibrato Ep2はYoutubeで無料配信中である。
TRIGGER結成秘話の2回目とのことだが、時間軸でいうとデビュー曲発売後、結成半年くらいの出来事ではないかと推察する。それ以上経過してしまうと、ジャイマ優勝が現実味を帯びすぎてしまう。
Vibrato Ep2を見て私が抱いた感想は、TRIGGERの絆の大本にあるのは、それぞれの「寂しさ」である、ということだ。
前回では龍くらいにしか表現されなかった寂しさが、今回は楽・天でも表現されている。こんなに寂しげなふたりの表情は、静止画のゲーム中でもアニナナ一期でもついぞ見たことがなかった。なんとも切なげで、大変キュートなのである。ぜひこの表情だけでもご覧いただきたい。
なぜ楽と天が寂しげな表情をしたのかといえば、
「龍が全然しゃべってくれない」
からなのである。本人たちは大変悩んでいるのだが、なんと!なんとかわいらしい理由だろうか。悶えてしまったのは私だけか。ストーリー1部の彼らから、いったい誰がこんな様子を想像できただろうか。
ということで、三人の「寂しさ」をそれぞれ考察してみたい。
1.龍の「寂しさ」
一番わかりやすいのは龍である。家族と離れて暮らし、東京での過ごし方も、TRIGGERでの立ち位置も見えないでいる。作中の絵から察するに、まだホテル暮らしなのだろう。その不安定さから「寂しい夜だ…」と明言しており、わかりやすい。
2.楽の「寂しさ」
続いて楽である。以前の記事で楽の家族問題には触れたが、やはり今回もそこである。ただし、Vibrato Ep2でより明らかになったのは、八乙女親子の不仲はひとえに「ディスコミュニケーション」故だということだ。あとは八乙女パパが楽以上に繊細であるのが原因といえよう。
楽は以下2点を周囲(および父)に理解されないことを寂しがっている
・母の実家の存在、およびその家業を楽しいと思う自分
・女好きの遊び人Jr.ではなく、父に「金になる」と思われている自分を保つために努力をしていること
特に実家の家業について龍に話したときに、おそらく史上初めてではないかと思うのだが楽が頬を赤らめてはにかんでおり、これを理解されたことがどんなにうれしかったのかがわかる仕様になっている。「じいちゃん」の語感が最高にかわいい、ぜひきいていただきたい。
それだけ普段は周囲(おそらく友人なども少ないだろう…)に理解されず、孤独を感じているのは間違いない。そもそも楽は交友関係が広そうに見えて狭い。今回も冒頭で「普段は仲良くないのに、客の前でべたべたできない」と天に文句を言っているが、人間関係に融通が利かないのだ。センターとして認めている云々とは全く違う問題である。
ただ、一度懐に入ってしまえば、絶大な信頼をよせてくるし、積極的に絡んでくる(トリガー警察のラビチャで、千をサシ飲みに誘うくだりのところに、楽の不器用さがよく出ているので、未読の方はぜひ読んでもらいたい)。ということで、まだTRIGGERがこの一線を越えていないことが、この場面からわかるのである。
3.天の「寂しさ」
最後に天だが、相変わらず彼は難解である。
Vibrato Ep2でおそらく初めて「高校飛び級、今大学生(通信とか?)」という事実が明らかになった。七瀬陸には到底垣間見えない秀才さ、本当に彼らは双子なのか…それだけ努力の人ということだろう。龍も同じ感想を抱いているが「謎が多い」のは相変わらずで、今回も序盤では弟属性の幼児に手を振るときに笑顔を見せる程度しか人間味を発揮しない。それでも、天にこの飛び級経歴を吐かせたことは、龍の「受け入れ属性」が成しえたことである。楽には絶対にできなかったことなのだ。
ZOOLの特別ストーリーなどを読む限りでは、天はずっと九条とマンツーマンで歩んできたのだろう。それはつまり、同じ立ち位置の人間がいないということだ。九条とて家族とは違う。天はひとり海外で、家族を突き放し、陸に恨まれつつ、ひとりで頑張ってきたのだ。TRIGGER結成の日、楽にセンターとして認められ、ようやく「集団の中の立ち位置」を手に入れたはずなのに、その集団は一個体にはなっていない。楽は一線を超えてこないし、龍はしゃべらない。相変わらず天はひとりで、不安定である。天の寂しさはそこに起因しているのだろうと思うのである。TRIGGER内部に限っての話だが、天は意外と「かまってちゃん」なのである。トリガー警察のラビチャ等でも垣間見えるが、家族に準じる認定をしたTRIGGERおよび七瀬陸につれなくされると、わかりやすく拗ねたりするのである。これだから九条天は…!
4.まだひとつになっていないTRIGGER
一個体であるはずなのに、まだひとつではない。
でもほかの居場所を探す気なんてないから、寄り添っていたい。自分を受け入れてくれるのは、このTRIGEERというグループのはずだから。分かり合いたいのに、わからない…という不安と期待とが入り混じる様子は、広いスタジオでちまっと固まる彼らの様子に見える。
最高にかわいいじゃないか。(ぜひご覧いただきたい)
その三人の足並みがそろうのは、チャリティライブのくだりである。
チャリティライブに関して納得いかないのは、TRIGGER全員共通の感情であったのは間違いない。本人たちも自覚があっただろう。それなのに龍は明言しない。本人が言うように、これは楽と天に遠慮して…というところが少なからずあったし、自分の立ち位置がわからなかったからである。しかし、ここで楽と天がめったに見せない「寂しさ全開」の表情をするおかげで、龍は「兄」という立ち位置を見出し、行動できるようになる(ただし、第三部に入るとこの「兄」立場すらも龍は超えていくのが見どころである)。
この場面、もちろん楽と天は言い合いをするし、いつも通り楽が先陣を切って八乙女パパに直談判に行こうとする。以前の記事で述べたが、TRIGGERは「船」。楽はその動力と舵なので、最初に動くのは当然。同じ状況になったのが、楽曲盗作問題の時である。思い出していただきたい。
楽は盗作の情報をひとりで抱え込み、「俺はTRIGGERを辞めさせられるかも」と言い、部屋を出ていこうとする。天は止めずに悪態をつく。ここでも今回同様龍が止めるのだが、止めた後の言動が違う。アニナナでは「話せ、楽。天も心にもないことを言うな」と、しっかりコミュニケーションの場を開拓してくれるのである。なんたる成長…
その片鱗は今回のVibrato Ep2にも見えている。龍は八乙女パパのところに乗り込んでいくのだが、第一声を発するのは龍ではない、天なのだ。しかも「嫌がるメンバーがいるのにライブはできない」と、暗に「楽が嫌がってるから…」と言っているのである。このやろう!このツンデレめ!この天の姿勢は、盗作問題で「楽と龍が好きな曲だと言ったから黙ってた」というところにつながる。
とにもかくにも、龍が行動で示したおかげで、天は本心を俎上に出すことができたし、楽は八乙女パパの本心を垣間見ることができた。コミュニケーションがうまくいきはじめたのである。龍は「船」の本体。乗員たちがコミュニケーションをとる「場」そのものなのである。何度も言うが、TRIGERRが同居するのが龍の家なのも、そういったあたりが影響しているのだ。
そしてTRIGGER結成のお祝いの場に戻ってエンディング…
時間軸としては、結成2年後、アイナナとのブラホワ対決直前である。第三部にはまだ入っていないという点も重視しておきたいところだ。
アイナナたちが乱入してきたところで、天は帰ってしまうのである。この行動ができるようになったところに、天がいかにTRIGGERに居場所を見いだせたかがわかると思うのである。ただここに「ゼロを超えて…」の例の発言があるのが、三部前だなあというところなのだ。TRIGGERにいること=ゼロを超えることではない、というのがわかり始めた第三部。それを達成するためにTRIGGER一丸となって頑張るのが第四部…というのが見えたVibrato Ep2終盤であった。
4.二階堂大和と八乙女楽
最後に小ネタも少しだけ。
リバレが動いてる…ということに感動を覚えたのは私だけではないはずだ。アニナナ2期、少しも早くお願いしたいところである。
そして二階堂大和二階堂大和である!また最後の最後でこの男はまったく…アニメ公式絵としてはおそらく初提供である楽とのサシ飲みの様子が提供され、身もだえたのも私だけではないはずだ。
交友関係が狭そうな楽がここまで大和に親しげなのは、紡を最初に口説いたあたりで「遊んでねぇよ!」と言えたことが大きいと思うのである。TRIGGER以外では、大和、そのあとにナギ三月にも明らかにしている。あとは同い年。これも大きいだろう。第四部では父親問題でより距離が縮まっているので(Vibrato Ep2ではまだ大和が敬語を使っている)、二人の絡みも増えることを期待したい。
楽と紡の問題については以前の記事で、アイナナが乙女ゲームと一線を画するための要素だとしたが、今回もそれが貫かれていた。悪いが楽、君の想いはずっと通じない。むしろ、紬の話題は二階堂大和召喚の触媒のようにもなっており、やはり、公式はあらゆるファンに向けてのサービスを怠らないのだなと実感したのであった。ありがたいことである。
また長々と書いてしまったのだが、今回もまた強調したいのは、TRIGGERは本当に魅力的なグループだということである。このいびつさがたまらない。
その根っこの部分がよくわかるVibrato Ep1&2、課金できないのがもどかしいほどのクオリティで無料配信中なので、アイナナをご存じない方でもぜひ見てほしい。この2話だけでも、TRIGGERの魅力は十分伝わるはずである。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!