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謙遜が他者を傷つけるとき

前回の投稿、非常に多くの方に読んでいただき、友人知人からもかなり連絡をもらって驚き嬉しく、身の引き締まる思いでもあります。フォローしてくださった方ありがとうございます。早く書くことが苦手なので、ゆっくり、でも深くを心がけて書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。
どれもこれも長いので、そのうち短いのも書いてみようー。

さて。

ターゲット層ではないことを自覚しながら、わたしは『暮しの手帖』を愛読しています。
そのなかに荻上チキさんが文章、ヨシタケシンスケさんがイラストを担当されている「みらいめがね」というコーナーがあり、5世紀4号(2・3月号)に「自虐の落とし穴」という題で自虐の罪深さについて書かれていました。

大学図書館で読んだので手元になく、細かいことは忘れてしまいましたが、主題は
「謙遜のつもりで自虐しても、自動的に関係ない人を巻き込んだ「他虐」になる」
という話だったと記憶しています。

そんなことないよ、とか何とか言ってほしくて「私、太ってるから~」と自虐マウントするのは「ウザいコミュニケーションあるある」になってると思うんですが、
よかれと思ってやっている「謙遜」が自虐になって、しかもそれが他の人を傷つける「他虐」になっているかもしれない、ということ。とても納得したし、思うところがありました。


ひとは他者と比べちゃうことを前提にしてほしい

たとえば、ずっと前にTwitterで見たやり取りをちょっとデフォルメ。

Aさん「この絵、すごく素敵ですね!私もこんな風に上手に描けるようになりたいです」
Bさん「とんでもない。下手くそです。こんなもの、だれにでも描けますよ」

まあちょっと典型的すぎるというか、あからさまですが、
まずそもそも、Aさんの「素敵」「上手」と感じた感性、価値観を否定しています。Aさんにしてみれば「私の”褒め”はどこへ行ってしまったんだ・・・」という感じ。
第二に、Aさんが「私もこんな風に~」という発言からは「私はAさんよりも絵が下手だ」と思っていることが伺えますよね。少なくとも自己評価においては。でも「下手くそです」と言われることで、じゃあそれ以下の私ってなんなん・・・てことになりますし、「だれにでも描ける」ものすら描けない私って・・・となりますよね。これが謙遜と見せかけた自虐、と見せかけた他虐

こんなに長いやり取りでなくても、例えば明らかに痩せている部類に入るひとが、自分の写真を指して

「デブw」

と発言したとしましょう。マウントとるつもりじゃなく、「痩せてるじゃん」と言われたいわけでもなく、自分の中で本当にもっと痩せたいと思っていたとしても。その写真より太っていると自己認識している人はその言葉に殴られるのです。

というか、この例をだすとはっきりすると思うのですが、自虐には終わりがありません。そんなの、比べなければいいじゃん、勝手にそういうの見て勝手に序列つくって比べるヤツが悪いと言うこともできるけれど、そんな精神の強い、自由なひとばかりではないっ。比べちゃうのよ。他者評価を気にする自分イヤだなぁ、人と比べないようにしよう、といくら思っても。「自己責任」ではもうコミュニケーションの崩壊だとわたしは思います。
だからひとの弱さを前提にしてほしい。誰も巻き添えにしない自虐なんてないんです。


お笑いで風刺されてた(拡大解釈)

コーナーを読みながら、この感じどこかで…という妙~~な既視感があって、それで思い出したのがサンドイッチマンの「バーガーショップ」というコントのワンシーン。富澤さんが店員、伊達さんがお客さんです。

富澤「お待たせしました~(商品渡しながら)こちらつまらないものですが」
伊達「なんでつまんねぇんだよ!俺が欲しくて金払って買ったからつまるんだよ!つまるものだよ」

というのがあります。
観客もワハハだったしわたしもワハハだった、でもしかし、これはよく考えてみれば割とリアルなこととして起こっている。この「自虐は他虐問題」を風刺していると私は勝手に解釈しています。笑。

お笑いといえば、お笑いはまあ自虐の嵐です。差別とか悪口とか、セクハラまがいの下ネタで笑いとるみたいのはアウトですけれど、自虐は叩かれにくいですよね。自分のことを言っているように聞こえるから。

見た目の「面白さ」も界隈では武器になる。それを全否定するつもりはないし、励まされる人もいるのだろうし、わたしも自虐ネタに爆笑することもあるけれど、でも誰も、自分さえも踏み台にしないお笑いも可能です。
これからはそっちの方が多くなっていくんじゃないかしら、と思っています。丸くなりすぎるとつまらないというのも、分からなくはないんですが・・・もう、古いのかな。本当に力のあるコンビやグループはそういうのに頼らなくなるし、ひとをバカにして取る笑いは支持されなくなるんじゃないかしらと思います。今は芸人もネタだけでなくて人間性までみられる時代ですから。


自虐のもとは謙遜だから

以前、英語で褒められたときの巧い返し方がわからなくて検索したことがあります。日本語では褒められたら謙遜(という名の自虐)をするのが普通というか角が立たない方法とされるけれど、英語で謙遜表現がちょっと思いつかないというか、日本的なニュアンスが伝わらない。日本って謙遜文化だなーと改めて実感します。

大体どこのサイトでも言われている英語での基本的な返し方は以下の3点。

①感謝を示す
②あなたに言ってもらえて嬉しいと伝える
③謙遜する場合はポジティブに

以来、私は基本のThank youプラス
・That’s so nice/kind of you! That means a lot to me!
・You, too! で褒めかえす
・That encourages me a lot!は好きでよく使います。あなたに褒められて、やる気でちゃうわー!て。

謙遜っぽくするなら、
I’m still learning a lot
とか明るい響きを持ったものに。日本語でも肯定的にありがたく受け取ったよ!というのを大切にしています。

「いやあ、全然そんなことありません」「ひどいもんです」みたいなのを直訳すると悲惨なことになる。身内を謙遜するのも日本特有ですよね。「愚妻」って意味でstupid wifeとか言ったら何事?ってことになりますもん。笑。逆に”My sweet gorgeous daughters xx”と誕生日にFacebookに上げてるのはよく見ます。

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褒められたとき、咄嗟の照れ隠しでいやいやいや!とんでもない!と言いそうになるのをグッとこらえて、まず「ありがとう」と言う。ポジティブに返すことをこれからも心がけるようにしたい。「これわたしも気に入ってるんだ!」「役に立てて嬉しい!」とかとか。
ときどき「お前は褒められ慣れている」と言われますが、そういうわけではないです。否定しないだけです。笑。

(あ、えっ、、てか逆にみんな心の中では「日本人ならそこは一旦否定しろよ!!!w」って思ってんのかな・・・??!そういう意味?!ま、そういう意味だったとしてもスタンスは変えませんけどね。。)


……ただ、褒めているようで褒めていないひとというのもごくごく稀にいるんですよね~。これは、明らかに困らせようとしてるなとか、イヤミ・当てこすりのような褒め方っていうか。言い方悪いけどさ。そういうとき何言っていいか本当わからない。
日本語って(英語に比べて)そこまで皮肉が浸透していないっていうのもあるのかも。うまく相手を褒め、返せるようになりたいなーー。

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あべ まおこ
*不定期更新* 【最近よかったこと】東京03単独公演「ヤな覚悟」さいこうでした。オタク万歳