
変革の波に乗ること
北京は、ぼくにとって一番馴染み深い大都会だ。北京に戻り、出版業界の友人たちと集まると、いつものように業界内のさまざまな話題で盛り上がる。今回驚いたのは、変化がこれほどまでに大きかったこと。ある編集者は夢を追いかけるために退職し、また別の人はIT企業に転職して、より大きな発展の場を求めたいという。さらに、海外に移住して新たな生計を立てた人もいる。友人たちとの交流の中で、気持ちが少し複雑になった。いい本を出版するために、皆さんはハイテンションで、素晴らしいアイデアについて熱く議論した日々を思い出す。
その時に感じた全身全霊を込めたわれわれの喜びは、忘れがたいものだ。何故か、王羲之の「蘭亭序」の一節「快然自足、不知老之将至(心地よく満ち足りて、老いが訪れるのも忘れる)」が頭に浮かんできた。

今では人事は変わったが、それでも出版への情熱を友人たちと分かち合い続けることができるのは、やっぱり嬉しい。ちなみに、妻とぼくが日中両国で使っているスマホケースは、すべて「蘭亭序」のデザインだ。