薔薇の名前 ※詩の朗読台本です。
あなたに見初められた時から、私は薔薇として、美しく、強く咲きたいと思っています。
(一呼吸置く)
それなのに、あなたは夜になると私の花びらを1枚1枚丁寧に剥いていく。
シーツの海をぐしゃぐしゃにお互いにしながら、月夜に鳴いて、言葉のない世界に飛び込み、
(一呼吸置く)
私は愛してるとだけ、心に刻む。
(一呼吸置く)
夜露に濡れた花びらをもう一度掻き集め、
色を染め直す私を見ながら、あなたは去っていく。
…ねぇ、私の名前を知ってますか。
薔薇は美しく、誰でも知っている花の名前です。けれども、あなたが私を知ろうとしなければ、
本当の私の名前を知らないままなのでしょう。
他の薔薇と同じ様に。
(一呼吸置く)
その事が嫌で、悔しくて、
薔薇(女)なんかやめてしまいたいのに、
狂おしいほどあなたが好き。
そんな私の名前は、名前は…。