10代の青春には、語り合える場所が必要だ 「ベンチのあるまち」フランス編③
前回紹介したまちニームは歴史が古く、ローマ時代の円形闘技場や神殿がいまでも町中に残っています。
こちらは「メゾン・カレ」という神殿。世界遺産にも登録されています。
よく見ると、人々が腰かけています。
上に登ってもこの通り、いくつかのグループが座り込んで話し込んでいます。どうやらこの世界遺産は、たむろす場所になっているよう。
お菓子を食べながらおしゃべりに興じる10代と思われる女子たち。こういう時間、私も若い頃に過ごしてたなぁ、と思い出しました。
好きな子のこと、友達との関係、将来の夢、家族の悩み・・・話が尽きることはありませんでした。友達と延々と話すことで、感情の整理がついたし、「一人じゃない」と感じられて元気になれたもの。振り返ると、語り合う時間は、人格形成において必要な時間だったなと思います。
ところ変わって、こちらはニースの広場。夜、若い子たちがベンチに座っておしゃべりをしていました。たぶんこの子たちも10代。男女で集まって、青春真っ只中という雰囲気です。
大人にはバーや飲み屋があるけれど、お金もなければアルコールも飲めないこれくらいの子たちが夜に集まりたいとき、確かにベンチは便利ですね。
こちらは、エクス・アン・プロヴァンスというまちでの夏のひとコマ。ニースと同じように、やっぱり若者がベンチで過ごしていました。
ひるがえって日本。こういう広場やベンチはあまりないので、夜はコンビニの前で若者がたむろしていたりしますが、迷惑行為のように言われています。確かに、縁石などに座り込んでいたら邪魔だし、そもそもコンビニの前は人が留まるように設計されていません。
では、コンビニの前にたむろす若者は、どこへ行けばいいのでしょうか。
夜は屋外で過ごさずに、帰宅するべきなのでしょうか。
日本のどんなに小さなまちでも、スナックをはじめアルコールを提供する店は必ずと言っていいほどあります。夜に、大人が行く場所はあるんです。
けれど、遊び盛りの若者が行く場所はあまりありません。彼らが夜に集まれるベンチがあってもいいんじゃないかな、とフランスを見ると思います。
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