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見晴らしのいいベンチ/木漏れ日の落ちるベンチ

どこに置くかが大事

日々ベンチの写真を撮っていて思うのは、「置けばいい」というものではなさそう、ということ。例えば、車ばビュンビュン通っているそばにベンチがあっても、怖くてあまり座りたくない。

「いいな」と思うベンチは、ちょうど座りたくなるような場所に置いてある。

それに気づいたのは、チーズが有名なフランスのロックフォールを旅していたときのこと。山間の小さな村で、道を間違えて舗装されていない山道に入りこんでしまったら、ふいにベンチが現れた。

こんな人気のない場所に誰が置いたのかわからないけれど、「ここからの眺めが最高なんだよ」と教えられた。どう見ても、風景を楽しむために置かれたベンチだった。

以来、「なぜそこにベンチが置かれているのか」を考えながらベンチを観察するようになり、いろんなパターンを発見した。

景色のいい場所にはベンチを

見晴らしのいい場所にベンチを置くのは、定番中の定番。
眺めのいい場所があっても、立ち止まっていられるのは、せいぜい数十秒。腰を下ろしてゆっくり眺めたい。なんならコーヒーを飲んだり、軽食をとったりしたい。だから、ベンチがあってほしい。

チェコのプラハ。まちを見下ろす丘の道。
フランスはブルゴーニュ。ロマネ・コンティのぶどう畑を見下ろす。
北海道美瑛の丘の上にあるお菓子屋「フェルム・ラ・テール」の庭。
フランスのマルティグ。湖のほとり。
フランスのコリウール。海辺に向かって腰掛ける人々。

朝日や夕日、夜景など、特定の時間帯に特等席になるベンチも。

スウェーデンのストックホルム。
家庭菜園を備えたタイニーハウスが並ぶ「コロニーロット」の一角。
フランスのボルドー。ガロンヌ川沿いに並ぶベンチに人々が集う。
ライトアップされた橋ポンデピエールがきれい。

木漏れ日が落ちるところ

「木かげ」もベンチを置く場所として最高だ。木の枝や葉の隙間から光が落ちてくる、日かげと日向のバランスが絶妙なのだ。ときどき葉が風に揺れて、かげが揺らぐのもまたいい。

ミネラルウォーターで知られるフランスのエビアンにて。
城壁に囲まれたまち、フランスのカルカソンヌにて。
フランスのナルボンヌにて。毎週マルシェで賑わう通り。

木漏れ日が落ちる並木道は本当に気持ちがいい。ここでしばらくベンチに座っていたけれど、人の行き来が途絶えることはなかった。

冬の岩手県盛岡市にて。

冬になれば木から葉が落ちるので、暖かい日差しが届いてぽかぽか。木陰のベンチはどの季節も心地いい。

一方、「惜しいな」と思った例も。

木陰のベンチではあるけれど、高い建物に密接しているために、太陽の光がベンチまで届かない。寒々しくて、本能的に「気持ちよさそう」「座りたい」と思いにくい。

たぶんベンチは「設置すればいい」というものではないし、「木の下に設置すればいい」というものでもない。じゃあ「木漏れ日が落ちる木の下に設置すればいい」かというと、例えば騒音がひどかったり悪臭がしたりする場所だったら、やっぱり座りたいとは思えない。世界に同じ場所が2つもないように、すべてがケースバイケース、ということになる。。

その場所の特徴を見極めることなく、機械的に置かれたベンチは結果的に使われなくなることが多いんじゃないかな(偶然うまくいくパターンもあるとは思うが)。その点、「ここにあったら心地いいだろう、便利だろう」と、きちんと想像して置かれたベンチを見ると、うれしくなる。

フランスのサン=テュラリー=ド=セルノンの広場

それに、たとえ気の利いたベンチがなくても、ロケーションがよければ、人は座れるところに座る。そういう光景も好き。

上の写真と同じ場所。ベンチがなくても木の周りに座る人たち。

そういえば、建物の設計によって、木漏れ日のような光が生み出されている例もあった。

青森県八戸市の中心街にあるオープンスペース「マチニワ」。








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