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見晴らしのいいベンチ/木漏れ日の落ちるベンチ
どこに置くかが大事
日々ベンチの写真を撮っていて思うのは、「置けばいい」というものではなさそう、ということ。例えば、車ばビュンビュン通っているそばにベンチがあっても、怖くてあまり座りたくない。
「いいな」と思うベンチは、ちょうど座りたくなるような場所に置いてある。
それに気づいたのは、チーズが有名なフランスのロックフォールを旅していたときのこと。山間の小さな村で、道を間違えて舗装されていない山道に入りこんでしまったら、ふいにベンチが現れた。
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こんな人気のない場所に誰が置いたのかわからないけれど、「ここからの眺めが最高なんだよ」と教えられた。どう見ても、風景を楽しむために置かれたベンチだった。
以来、「なぜそこにベンチが置かれているのか」を考えながらベンチを観察するようになり、いろんなパターンを発見した。
景色のいい場所にはベンチを
見晴らしのいい場所にベンチを置くのは、定番中の定番。
眺めのいい場所があっても、立ち止まっていられるのは、せいぜい数十秒。腰を下ろしてゆっくり眺めたい。なんならコーヒーを飲んだり、軽食をとったりしたい。だから、ベンチがあってほしい。
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朝日や夕日、夜景など、特定の時間帯に特等席になるベンチも。
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家庭菜園を備えたタイニーハウスが並ぶ「コロニーロット」の一角。
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ライトアップされた橋ポンデピエールがきれい。
木漏れ日が落ちるところ
「木かげ」もベンチを置く場所として最高だ。木の枝や葉の隙間から光が落ちてくる、日かげと日向のバランスが絶妙なのだ。ときどき葉が風に揺れて、かげが揺らぐのもまたいい。
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木漏れ日が落ちる並木道は本当に気持ちがいい。ここでしばらくベンチに座っていたけれど、人の行き来が途絶えることはなかった。
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冬になれば木から葉が落ちるので、暖かい日差しが届いてぽかぽか。木陰のベンチはどの季節も心地いい。
一方、「惜しいな」と思った例も。
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木陰のベンチではあるけれど、高い建物に密接しているために、太陽の光がベンチまで届かない。寒々しくて、本能的に「気持ちよさそう」「座りたい」と思いにくい。
ベンチは「設置すればいい」というものではない。じゃあ「木漏れ日が落ちる木の下に設置すればいい」かというと、例えば騒音がひどかったり悪臭がしたりする場所だったら、やっぱり座りたいとは思えない。世界に同じ場所が2つもないように、すべてがケースバイケース、ということになる。
その場所の特徴を見極めることなく、機械的に置かれたベンチは結果的に使われなくなることが多いんじゃないかな(偶然うまくいくパターンもあるとは思うが)。その点、「ここにあったら心地いいだろう、便利だろう」と、きちんと想像して置かれたベンチを見ると、うれしくなる。
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それに、たとえ気の利いたベンチがなくても、ロケーションがよければ、人は座れるところに座る。そういう光景も好き。
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【番外編】
青森県八戸市にある八戸まちなか広場「マチニワ」は、建物の設計によって、木漏れ日のような光が生み出されていた。
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中央にある水色のシンボルオブジェは「水の樹」という名がついているので、天井は樹の枝葉をイメージしたのだろうか。
マチニワの前は何十回と通っているが、いつも地域の人がくつろいでいる。天井から落ちるほどよい太陽の光が、一役買っているんじゃないかと思って見ている。