【アイアイタイガー】終わりがあるから美しい【10thワンマンライブ】
ひょんなきっかけから、生まれて初めて女性アイドルのライブに参戦してきた。
アイアイタイガーさんの10thワンマンライブ「マジカル・タイガー・ツアー」だ。
このワンマンライブで、飯田菜々さん・夏目ちよさん・雨宮みきさんの3人はグループから卒業した。
本当に素敵なライブだった。
アイドルは儚い存在で、その儚さからしか生まれない光を、全身いっぱいに浴びるような空間だった。
なぜアイドルオタクではない私が、卒業ライブに参戦することになったのか。
今回は、アイアイタイガーさんとの出会いやライブの感想を、少しだけ語らせていただきたい。
1.出会い
先述したように、私は特段アイドルオタクというわけではない。
一応K-POPは好きで、若い頃はライブにもぽつぽつ参戦してはいたが、それでもかなりユルい方のオタクだったと思う。
そんな私がなぜアイアイタイガーさんにハマったか。
きっかけはこちら。
『Touch!Kawaii Party!!#2』というイベントに、ご縁あってスタッフとして参加させていただいた。
そこで出会ってしまったのだ、女性アイドルのエネルギーに。
彼女たちはなにより「ひたむき」だった。
ステージの端から端まで駆け回り、アイドルの命とも言われる前髪が額に張り付くほど汗かき、ファンひとりひとりと視線を交わして歌を届ける。
少女たちの「ひたむきさ」を至近距離で浴びた私は、「アイドルって、しゅごい…!」と釘付けになっていた。
地下アイドル(という呼び方が失礼だったらごめんなさい…今回は便宜上「地下」と呼ばせていただきます)ならではの、距離の近さ。
それゆえに、歌やダンスのミスすら克明に見えてしまう。
しかし、「ひたむきさ」の前ではそんなミスなど些細なものにすぎない。なんなら「生ライブならではのスパイス」ですらある。
技術よりも才能よりも、ひたすらに一生懸命な姿こそが、人の心を打つのだなと、強く強く実感した。
「私もカッコつけずひたむきに生きなきゃな」と、人生の教訓を学んでしまうほどに。
2.数年ぶりの推し
で、
いつの間にか私は、彼女たちの中のひとりに一目惚れしていた。アイアイタイガーの「みき姉」こと「雨宮みき」さんだ。
終演後には、いちスタッフにも関わらずチェキを申し込みに行ってしまったほどだ。
なにせ人生初のチェキ。
正直、何を話したのかほとんど覚えていない。
「たった1,500円払うだけで、さっきまで舞台に立っていたキラキラ輝くアイドルと隣で話せる」というチェキ文化への驚きがデカすぎて、話す内容や態度を冷静に考える余裕などなかったのだ。
(えるしってるか、K-POPスターって5秒握手するためだけにウン万払わないといけないんだぜ…)(私はそれがアイドル界の当たり前だと思ってたんだよ…)
運営の方に案内されるがままにチェキブースへ。
テンパることしかできない七生。
「あっ、あの、あの、えっとその、じっ人生ではじめて、チェキ、と、とるので、あの、ぜんぜん、なにしたらいいか、えっと、その、わかんないので、その…」
とかいう、アラサーにもなってウブなキモオタ大全開!な話し方をしてしまったことだけは、ほんのり覚えている。
なにせ頭の中は「近すぎる!!!!可愛すぎる!!!!」でいっぱいだったのだ。
今こうして冷静に文章にして思うが、思春期男子みたいだな。時を戻したい。恥ずかしすぎる。
言い忘ていたが、もちろん出演者の皆さん全員が素晴らしかったことは大前提。
その中で、どうして雨宮みきさんにひときわ惹かれてしまったのかは上手く言語化できない。
歌もダンスも素晴らしかったし笑顔が天使顔負けなくらい可愛いし…みたいなことを言おうと思えばいくらでも言えるが、みなさん同じくらい素晴らしかったもの。推しって不思議ですね。
とにもかくにも、私はこの日、数年ぶりに推しができる瞬間を味わせていただいたのでした。
3.そして、卒業ライブ
8/23にアイアイタイガーさんにハマり、8/30に卒業ライブ。
ファン歴わずか7日間という、世界中の新規オタもびっくりの新参者だ。
会場にいた人たちの中でいちばんの新参者だった自信がある。
そんな新参者なりに、行きの電車の中で一生懸命アイアイタイガーさんの曲を聴きながら新宿KeyStudioへ。
前後左右の壁一面に映し出される映像に、開演前からずっとドキドキさせられた。
▼会場の雰囲気
私はありがたいことに最後方の関係者ゾーンで観劇させていただいたのだが、彼女たちの輝きは色褪せることなく届いてきた。
6色のペンライトの海の中、歌い踊る6色の笑顔。
『Touch!Kawaii Party!!#2』でも感じたことなのだが、地下アイドルはファンとメンバーが一緒に作り上げていくという側面がかなり強いと思う。
卒業ライブということもあり、ファンの想いもひときわ強かったことだろう。新宿KeyStudioの中は、「今日この瞬間を絶対に忘れない」というエネルギーで充満していた。
いわゆる「TO」の方々がコールを先導する姿など、あまりの新鮮さと熱さに背中が痺れる感覚すら走る。
そんなファンの熱量の中、新参of新参の私は7日間で習得した振り付けとコールに拙いながら身を委ねているうち、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。
最後の曲、そしてアンコールへと、「終わらないで」とどんなに願っていても時間は経ってしまう。
ライブ終盤ではメンバーが涙に声を詰まらせるシーンもあった。
ファン歴7日間の私ですらもらい泣きしたくらいなのだから、長年のファンはたまらなかったに違いない。
彼女たちがこの日この瞬間まで繋げてきた物語を想像しただけで、胸を打たれずにはいられなかった。
そして私は、身をもって経験した。
「終わりがあるから、彼女たちはこんなにも美しいのだ」と。
儚さと美しさは表裏一体だ。
日本人が桜を愛してやまないのは、その最たる例のひとつだろう。
「青春」を特別に感じるのも、若き日が一瞬で過ぎゆくことを皆知っているからだろう。
かつてIZ*ONEが解散直前の『Panorama』で、およそ人とは思えないようなルックスとパフォーマンスを爆発させたのも、そしてその姿をファンが忘られないのも、儚く散る未来を見据えていたからだろう。
終わりは悲しい。できることなら卒業してほしくない。本当は、これからもずっと6人を応援させてほしい。
だけど彼女たちは、2024年8月30日、儚くも見事に散る花だったからこそ、唯一無二の光を放っていた。
当記事タイトルの「終わりがあるから美しい」は、私の本心の半分。もう半分は、「さみしいから卒業しないで」だ。
きっと他のファンの皆様も、同じような気持ちだろう。
だけど私たちは知っている。「いつか色褪せてしまう 永遠はないとわかっていても見たい」のだと。
これからは3人になるアイアイタイガーさんのことも、卒業し新たな道に進む3人のことも、スポットライトの射す方へと、微力ながら応援していきたい。
2024.08.31 七生真緒(ナナセマオ)