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ルイーズブルジョワ展

先日東京に行ってきました🗼

アート好きの旦那に連れられ六本木の森美術館へ。
「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」
という長いタイトルの展覧会である。

展覧会のキャプションを読むと、一気に心惹かれてしまった。なぜなら、この作者は長年精神疾患に苦しめられていたからだ。

最初の部屋から、グロテスクな造形物がたくさん並ぶ。娘、女性、母、妻としての自分を数多く表現した作品には、ルイーズブルジョワの感じる苦悶、差別、葛藤などが狂気的に伝わってくる。

中には映像作品もあり、ルイーズブルジョワ自身が歌?詩?を語っているものがある。

She abandons me. (彼女は私を捨てた)

その部屋には代表作の「ママン」がある。彼女が思う母親を表した蜘蛛の作品だ。

六本木ヒルズの前にあるやつと同じ

その後も女性や家族を表した作品が続く。

彼女は家族、特に父親に大きな軽蔑を抱いていた。しかし、同時に愛されたいという矛盾した感情を持っていたという。そのような葛藤を表す作品も多かった。

家族の後ろにナイフが仕込まれている

展覧会の半分以上はかなり刺激が強く、正直今鬱に苦しんでいる人は見るべきでないと思う。それくらい作者の苦しみが露骨に表れていた。

しかし、この言葉を見て私はとても勇気をもらった。

亡くなった夫のハンカチに刺繍してあるらしい

I have been to hell and back.
And let me tell you, it was wonderful.
(地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ)

この展覧会のタイトルにもなっている作品である。
長年重い精神疾患(多分統合失調症)に苦しめられていたルイーズブルジョワが、年齢を経てからこのような作品を作っていることに私は感動した。

私の病気は彼女に比べれば僅かなものだったかもしれないが、少し気持ちが理解できるからこそ、重みのある希望の言葉だった。

最後にはこのような作品もあった。

最後の作品

少女の頭が木になって伸び、枝の先には実が実っている。血の塊みたいなものもあるけれど、確実に希望を感じる。辛いこともあるけれど、こうして自分の枝を伸ばしていきたいと思った。

これまで数々の展覧会に行ったが、これほどまで感動したのは初めてだった。図録も購入した。

うつ病になったからこそ一層楽しめることもある。世界が広がる。そう思える。

これからもアートに限らず様々なものに触れ、世界を広げて、死ぬ時に良い人生だったと思えるようにしたい。

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